住宅用火災警報器の設置が義務化されると聞きました。設置基準や費用を教えてください。(建設業)

 住宅用火災警報器(以下住警器)の設置義務化の開始時期は一部の市区町村で例外はあるものの、平成18年6月から全国の市町村の火災予防条例等で新築の一般住宅や共同住宅などに住警器の設置の義務付けが開始され、既存住宅では5年間の猶予期間を設けて義務化されています。最も遅い市町村でも今年5月末で期限をむかえ、6月からは新築住宅、既存住宅にかかわらず、全国の市町村で設置義務化されています。

 一戸建て住宅、共同住宅の住宅部分、長屋住宅、店舗併用住宅の住宅部分など、すべての住宅が住警器設置義務の対象となります。ただし、既に自動火災報知設備やスプリンクラー設備などが設置されている住宅は除かれています。設置を義務付けている住宅内の具体的な場所は、寝室や階段部分のほか、市町村によっては、付加条例で台所や居室などへの設置を義務付けている場合もあります。さらに住宅の部分以外の場所にも、住警器等を設置するように努めなければならない旨の努力義務規定を設けている自治体もありますので、所轄の消防署で確認いただくことをおすすめします。

 住警器は以上のように「住宅の用途に供される」建物に設置が必要です。したがって、例えばマンションの1室を事務所の用途で使用しているような場合、法的にはその1室に住警器の設置は必要ありません。反対に、店舗や事務所であってもそこで寝泊まりしているような場合には、住宅の用途に供されていることになりますので設置が必要です。また店舗併用住宅の場合、住宅部分は設置が義務付けられますが、店舗部分は義務付けられません。なお個人の住宅に住警器を設置することは自己責任のため、違反した場合の罰則規定は特にありません。

「NS」マークが適合品の証し

 現在市販されている住警器のタイプは、火災からの煙を感知し、長寿命(10年)の電池式で「火事です!火事です!」などと音声で知らせる単独式のものが一般的であり、価格は3000~4000円のものが多いようです。また住戸に複数の住警器を設置した場合、その中の1個が火災を感知し警報を発した際、他のすべての住警器が「他の場所で火事です」などと知らせる無線連動式では2個セットのものが1万8000円程度で市販されています。

 なお、住警器は自分で簡単に取り付けることができますが、別途料金を支払えば取り付けてくれる販売店もあるようです。住警器は基本的には煙を感知して火災を知らせる「煙式」を購入してください。台所での火災を予防した事例が数多くあります。ただし、台所で調理の煙などに反応するおそれがある場合には「熱式」の住警器を設置することもできます。

 住警器を購入する際は、国により定められた規格に適合したものを選んでください。現在、この規格に適合していると確認されている機器には、日本消防検定協会が鑑定に合格したことを示す「NS」マークを貼付しているので、購入の際の目安としてください。住警器は部屋や階段などの天井または壁に設置しますが、感知のおくれを防止するため、壁、梁、照明、空調などの影響を避けるよう設置基準が示されています。

 住警器の設置方法や販売店情報などの詳細に関しては消防庁、地域の消防機関、または日本火災報知機工業会のホームページなどをご参照ください。

掲載:『戦略経営者』2011年6月号