対談・講演

自由民主党TKC議連総会が120名超の参加で開催

とき:令和8年7月10日(金) ところ:衆議院第二議員会館

TKC議連総会に陪席したTKC政経研政策審議委員および事務局

TKC議連総会に陪席したTKC政経研政策審議委員および事務局

新たに46名の議員が入会し、180名を超える議連となる

 自由民主党TKC議員連盟(TKC議連)会長である高市早苗総理体制下で2回目となるTKC議連総会が、衆議院第二議員会館にて開催された。当日はTKC議連会長代行の片山さつき財務大臣、同幹事長の城内実日本成長戦略担当大臣、同事務局長の塩崎彰久衆議院議員をはじめとする議連執行部に加え、小野寺五典党税制調査会長ほか議員本人75名超、代理出席含め120名超が参加し、TKC議連としては過去最大規模での開催となった。また、開会直前に高市会長より城内幹事長へ「緊急の対応事案が入ったため、大変残念ながらTKC議連に出席がかなわなくなった。坂本会長ほか皆さまにくれぐれもよろしく伝えてほしい」と連絡があり、これを受け、TKC議連会長代行である片山さつき財務大臣による挨拶で開会した。

片山TKC議連会長代行

片山TKC議連会長代行

【片山さつきTKC議連会長代行による挨拶】
「さまざまな課題が紛糾する中、TKC議連で皆さまの慣れ親しんだ顔を拝見し、大変ホッとしている。私は、TKC議連会長である高市総理を会長代行としてお支えする立場にあり、その職責を大変重く受け止めている。昨秋以降、『責任ある積極財政』として初となる令和9年度の予算・税制改正等の議論が展開される。単なる税制の枠にとどまらず、金融面を含めた中小企業政策を力強く牽引しているTKC全国会・TKC全国政経研究会の皆さまと我々がしっかりと手を組み、まさに『中小企業が引っ張る日本の責任ある積極財政の成長戦略への転換』を成し遂げられるよう、ともに頑張ってまいりたい」。

 続いて、坂本孝司TKC全国政経研究会(TKC政経研)会長より次の通り挨拶があった。

坂本TKC政経研会長

坂本TKC政経研会長

【坂本孝司TKC政経研会長による挨拶】
「公務ご多忙の中、本日は多くの国会議員の先生方にお集まりいただき心より感謝しています。我々TKC全国会はその創設者である飯塚毅博士が唱えた『租税正義の実現』を哲学として引き継いでおり、税制や会計制度、税理士制度を活用し、日本経済を支える中小企業の存続と発展を支援することで、高市政権が目指す『日本列島を、強く豊かに。』の実現に貢献していく所存です。そのため、本日はTKC政経研による令和9年度税制改正等要望事項の中でも、とりわけ重要と思われる5項目について、国の唯一の立法機関である国会の構成員であられる国会議員の皆さまへご説明申し上げます。ぜひとも、ご理解賜り、強力な立法活動をお願いしたいと存じます」。

 その後、新規入会者の審議が行われ、本年2月の総選挙で当選した議員を中心に新たに46名の入会が承認され、これにより、TKC議連は180名を超える規模の組織へと発展した。

TKC政経研による政策提言に耳を傾ける参加議員

令和9年度税制改正等要望事項(重点5項目)

 次に久田英詞TKC政経研政策審議委員長と松﨑堅太朗同委員より、令和9年度税制改正等要望事項の報告として、次の5項目を政策提言した。

  • 1.特例事業承継税制の恒久化および手続の簡素化
  • 2.消費税の毎月予定納税
  • 3.信用の創出①担保・保証に依存しない融資の推進
  • 4.信用の創出②決算書および税務申告書の信頼性を確保する「中小会計要領チェックリスト」などの活用
  • 5.認定経営革新等支援機関(認定支援機関)の中小企業政策への活用

【久田英詞TKC政経研政策審議委員長による政策提言】
「令和9年度税制改正等要望事項重点5項目のうち、私からは2点をご説明いたします。一つ目は『特例事業承継税制の恒久化および手続の簡素化』です。特例事業承継計画提出期限の延長には大変感謝しておりますが、事業承継は、今後も経営者の高齢化に伴い、絶えず発生する恒久的な課題です。来年末で適用期限を迎える本特例制度について、一般制度に代わる恒久的な制度としてぜひご検討いただきたいと思います。第二に『消費税の毎月予定納税』の推進です。これは事業者いじめではなく、計画的な納税の仕組み作りが目的です。預り金的性格である消費税は滞納が増加傾向にあります。毎月予定納税は、資金繰り管理の容易化、滞納による融資謝絶(倒産リスク)の回避、月次決算を通じた健全経営の遂行、当局の徴税コスト軽減という四つの観点から極めて有益であり、事業者を助ける制度としてご理解いただきたいと存じます」。

【松﨑堅太朗TKC政経研政策審議委員による政策提言】
「重点項目の残り3項目をご説明いたします。第三に『担保・保証に依存しない融資の推進』です。経営破綻時の足かせとなる経営者保証等に依存しないよう、会社法などの法的な裏付けのもと、企業と金融機関との間で『適時に、正確な会計情報』の共有を促したいと考えております。第四に『決算書および税務申告書の信頼性を確保する中小会計要領チェックリストなどの活用』です。金融機関との情報の非対称性を解消すべく、中小会計要領チェックリスト、税理士法第33条の2による添付書面、ローカルベンチマークの3点の活用が欠かせません。第五に『認定経営革新等支援機関(認定支援機関)の中小企業政策への活用』です。我が国の大半を占める売上1億円以下の中小企業を支えるためには、税理士や商工会議所など多様な専門家の現場連携が重要です。適時・正確な記帳を前提に保証料が半額になる『モニタリング強化型特別保証制度』をはじめ、同機関を活用した支援策のさらなる推進をお願いいたします」。

TKC政経研による政策提言に耳を傾ける参加議員

TKC政経研による政策提言に耳を傾ける参加議員

議連に参加した国会議員による主な発言など(要旨)

塩崎TKC議連事務局長

塩崎TKC議連事務局長

※質疑への回答は誌面の都合から一部省略しています。

 TKC政経研による令和9年度税制改正等要望事項の説明を受けて、TKC議連参加議員から次の発言を含めて質疑応答が行われた。

【宮路拓馬衆議院議員(鹿児島1区・当選5回)】
「保証料が半額になる『モニタリング強化型特別保証制度』は非常に良い制度だ。一方で利用実績が少ないのは、毎月のチェックに伴うコストや手間が影響しているのではないか。本制度の利用実績が少ない理由と、今後さらに普及させるための具体的な方策について教えていただきたい」。

【松﨑堅太朗TKC政経研政策審議委員による回答】
「利用が伸び悩む背景には、各自治体の制度融資との兼ね合いがあるとの声を現場からお聞きしております。今後のさらなる普及においては、県独自の補助金で事業者負担を実質ゼロにした長野県の事例のように、国と地方自治体がしっかりと足並みを揃えて地域を支援する体制を展開していくことが重要な鍵になると考えております」。

【鬼木 誠衆議院議員(福岡2区・当選6回)】
「消費税の毎月予定納税は素晴らしい。元銀行員として、消費税を滞納すると融資が受けられず中小企業が行き詰まる現実を見てきた。預り金的性格を有する消費税を毎月予定納税し、月次決算を通じて健全な経営を行うことはTKCの理念とも完全に一致している」。

【岩崎比菜衆議院議員(比例南関東・初当選)】
「これまでのキャリアで中小企業の財務支援を行ってきた経験から、今回の提言は大変素晴らしいと感じている。特に『担保・保証に依存しない融資の推進』に関し、金融機関側が事業の成長性や企業価値を正しく評価できる体制にあるのか、改善の余地があるのではないか。この点に対するTKCの考えをぜひ伺いたい」。

【坂本孝司TKC政経研会長による回答】
「本日配布した資料にもあるとおり、日本の法人の9割超は売上高6億円以下であり、このボリュームゾーンを念頭に置いて検討することが重要だと考えます。金融機関が事業の成長性や企業価値を正しく評価できる体制にあるのか、つまり、目利き力が十分ではないのではないか、とのご指摘については、顧問税理士と金融機関が連携することで解消していくべき課題であると考えています。もう一つ、先生方にぜひご理解いただきたいのは、いわゆる目利き力、すなわち事業性評価のあり方です。多くの中小企業については、財務情報を適切に読み解くことで、その会社の状況を相当程度把握することができます。もちろん非財務情報も重要ですが、現場感覚としては、まず財務情報を基礎に据えることが不可欠であり、この点に大きな認識の乖離があると捉えています。ぜひ、経営者および金融機関の会計・財務リテラシーを高めることにより、実態に即した円滑な中小企業金融の実現を目指す方向で、政策をご検討いただきたいと存じます」。

【西田昌司参議院議員(京都・当選4回)】
「多くの中小企業は赤字で法人税等を払っていない一方、消費税の価格転嫁ができず負担を強いられている。そこで、中小企業の価格転嫁の状況について、実態を教えていただきたい。また、国全体の税収を見ても個人負担が極めて大きく、法人の負担が少ないのは問題だ。特に価格転嫁が困難な飲食店やフリーランスの実態を踏まえ、政策をともに考えていきたい」。

【坂本孝司TKC政経研会長による回答】
「消費税について、『価格転嫁の実態を教えていただきたい』とのご質問ですが、私の感覚では、多くの中小企業の現場において、価格転嫁はできていると実感しています。ただし、売上高が極めて少ない飲食業などでは、価格転嫁が十分にできていないケースもあると考えます。もっとも、これは税制上の問題というよりも、赤字体質、すなわち経営上の課題と捉えるべきではないでしょうか。また、簡易課税制度という措置もありますので、こうした制度の活用をぜひとも促していただきたいと考えます。
 もう1点、重要なのは、消費税の滞納の問題です。配布資料にもあるとおり、消費税と同じ間接税である源泉所得税と比較すると、滞納金額には一桁の差が生じています。これは、徴収・納税のタイミングが大きく影響しているためであり、今回、毎月の予定納税を提案させていただきました。あわせて、消費税は『間接税』であることをあらためて明確に申し上げます。当然ながら、消費税のモデルとなったEUにおける付加価値税も同様に間接税です。源泉所得税は預り金であり、消費税も預り金的な性格を有しており、いずれも実際に税を負担する人と納税する人が異なります。すなわち、納税するのは事業者であるということです。一部に、消費税を『第2法人税』や『直接税』であると主張される方もいますが、それは明らかに誤った理解であると考えます」。

城内TKC議連幹事長

城内TKC議連幹事長

【稲葉大輔衆議院議員(静岡8区・初当選)】
「消費税の毎月予定納税は実施すべきだ。ぜひとも、マスコミや一般事業者、ひいては国民の多くが『責任ある積極財政』の一環であると実感できるような説明をお願いしたい」。

 最後に城内TKC議連幹事長より「皆さまからの五つの提言に対して本日出席したメンバーとともに検討を進める。引き続き、TKC議連幹事長として、TKCの皆さまからのご意見やご要望を政策に反映すべく全力を注ぐ」と閉会の言葉をいただき、大盛況の中、TKC議連総会は終了した。

(会報『TKC』令和8年8月号より転載)