対談・講演
片山さつき財務大臣を表敬訪問
坂本孝司TKC全国会会長・ロバート・マイヤーDATEV理事長・飯塚真規TKC社長が会談
坂本孝司TKC全国会会長と飯塚真規TKC社長とともに、来日中のドイツDATEV社の理事長ロバート・マイヤー博士(Prof. Dr. Robert Mayr)が、片山さつき財務大臣を表敬訪問した。当日はドイツにおける付加価値税の引き下げ策などについて意見交換が行われた。
とき:令和8年3月31日(火) ところ:財務省大臣室
片山さつき大臣を囲んで。右は坂本孝司TKC全国会会長、左はロバート・マイヤーDATEV理事長と飯塚真規TKC社長
冒頭、坂本孝司TKC全国会会長が、マイヤーDATEV理事長を紹介した。続けて、2月10日の大臣閣議後記者会見において、片山さつき財務大臣が株式会社TKCの協力のもと、ドイツにおける付加価値税制度改正とその対応状況について情報収集ができたと言及されたこと(会報『TKC』2026年4月号)への感謝を述べた。
片山大臣は、コロナ禍においてドイツ政府が時限的に消費税(付加価値税)を19%から16%へ、軽減税率を7%から5%へ引き下げた経験に強い関心を示され、ドイツでの減税時の価格転嫁の実態や中小企業における経理実務の状況、消費者動向などについて、マイヤー理事長に対し相次いで質問した。
これに対し、マイヤー理事長は、当時のドイツのインフレ率は約2%であり、税率引き下げ分がそのまま価格に反映されることは少なかったと振り返った。一方で、コロナ禍により消費者のネット通販が拡大する中、消費税減税は、価格転嫁が困難な中小・零細企業にとって、実質的な負担軽減につながり、資金繰りに余裕を持たせるという点で一定の効果があったとの私見を述べた。
また、ドイツにおける消費税率引き下げの実態について、具体的な数値をあらためて確認の上、TKCを通じてレポートを提供する旨の提案があった。
日本における2年間に限定した食料品消費税率の引き下げに係る政策に関連して、坂本会長からは、日本では制度上、多くの中小企業が消費税の申告・納付を年1回で行っていることから、納税資金を事業資金に使ってしまうなど、資金繰りや納税管理がしにくい現状を指摘し、政策金融や制度融資の必要性と、将来的な「消費税の毎月納付」の重要性を唱えた。また、飯塚真規TKC社長は、日本特有の課題として、過去の長期分割払い等における旧8%と現在の軽減税率8%とが混在しており、さらに国税と地方税の割合が異なるため、これらをシステム上で厳密に分けて経理処理しなければならない複雑さなどを指摘した。

片山さつき大臣(右)とロバート・マイヤー理事長
会談では、ドイツの付加価値税減税の経験を皮切りに、デジタル・インボイスの普及状況や両国の中小企業が抱える切実な課題などについても、有意義な意見交換が行われ、15分間の予定が45分間にも及んだ。最後に飯塚社長が、TKCとDATEVが会計データから中小企業の成長要因を探る共同研究を発足させたことを報告。これを受け、片山大臣は「協力しあって世界経済で生き残っていきましょう」と述べ、会談が締めくくられた。
今回の会談は、昨年5月に自由民主党TKC議員連盟会長代行を務める片山議員からTKC全国政経研究会に要請があり、これを受けて飯塚社長の仲介により、 マイヤー理事長から、コロナ禍におけるドイツの付加価値税率引き下げに関するレポートが提供されたことがきっかけで実現した。
なお、今回の会談を踏まえ、片山大臣から坂本会長に対し、中小企業の経営状況などに関するヒアリングや、中小企業政策についての意見交換を行いたいとの申し入れがあり、5月1日の午前、坂本会長の事務所(税理士法人坂本&パートナー:浜松市)を、片山大臣が訪問。意見交換が行われた。
(通訳/萩原イルカ 構成/TKC出版 石原 学)
(会報『TKC』令和8年6月号より転載)








