02 連携

実質無利子・無担保融資の返済が本格化する今、
金融機関が会計事務所に求める「伴走支援」とは

鹿児島相互信用金庫・鹿児島興業信用組合・鹿児島県信用保証協会
『TKC会報』2025年2月号

目次

    実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済が本格化し、地域中小企業の早期の経営改善や自立した資金繰り管理が急務となっています。
    本記事では、鹿児島相互信用金庫、鹿児島興業信用組合、鹿児島県信用保証協会のトップ層との対談から、金融機関が今、会計事務所に求めている役割を紐解きます。
    また、「経営者保証に依存しない融資の促進」や「継続的な経営改善・伴走支援」を見据え、地域金融機関と会計事務所が密に連携し、顧客企業を支える「顔の見える関係」の重要性をお伝えします。

    地域金融機関と会計事務所の連携は、地域中小企業を支援していく上で極めて重要です。
    継続的な対話を通じて「顔の見える関係」を構築するため、鹿児島県内の金融機関とTKC九州会(鹿児島支部)とのトップ対談が開催されました。
    本対談では、経営者保証改革プログラムへの対応状況や、経営改善支援、決算書等の電子データ提供サービスの活用状況などが議論されました。

    1.鹿児島相互信用金庫:資金繰り管理ができる経営者を育てる

    ゼロゼロ融資の返済が始まり、地域中小企業は依然として厳しい状況に置かれています。
    金融支援を行うとともに、取引先が自ら資金繰り管理を行えるように、経営者を育てる取り組みが進められています。

    「取引先・金融機関・会計事務所で連携した支援が必要と考えています」

    • 資金繰り管理能力の向上
      財務状況をタイムリーに把握する体制づくりや、経営計画の策定支援を行う会計事務所に対し、経営者の資金繰り管理能力を向上させるための助言が期待されています。
    • 経営者保証に依存しない融資の促進
      経営者保証ガイドラインの要件を満たす取引先には、保証を求めない融資を積極的に実施しています。保証を外す際には金融機関と取引先との信頼関係が必要であり、経営者の考えが分かる資金繰り計画が求められます。
    • TKCモニタリング情報サービス(以下、MIS)によるタイムリーな状況把握
      取引先の状況を把握するため、会計事務所からの決算書等の電子データ提供サービス(MIS)を活用し、正確な決算書の受領による業務効率化にもつなげています。

    2.鹿児島興業信用組合:決算書の信頼性確保と伴走支援

    経営者保証ガイドラインの要件を満たす取引先に対して、経営者保証をつけない融資は定着しつつあるものの、赤字や債務超過の取引先については、経営者保証をつけないことが難しいケースも存在します。

    「赤字や債務超過の取引先は経営改善が必要であり、会計事務所と連携して伴走支援をしていきたいと考えています」

    • 経営改善に向けた連携
      保証をつけないためには早期の経営改善が不可欠であり、会計事務所と連携した伴走支援が重要視されています。
    • 財務状況の正確な把握
      ゼロゼロ融資の返済開始に伴い、粉飾決算が増加傾向にあります。試算表や決算書の作成が正確にできていない取引先もあり、自社の財務状況を正確に把握できるよう、会計事務所による支援が求められています。
    • 決算書の内容理解と信頼性
      粉飾決算を防ぐ観点からも、決算書等の電子データ(MIS)による受領は大変有効です。さらに、決算書の信頼性を担保する税理士の添付書面を確認することで、金融機関側が決算書の内容を深く理解することができます。

    3.鹿児島県信用保証協会:日頃からのモニタリングと早期支援

    ゼロゼロ融資の約定返済が困難となり、条件変更を余儀なくされる中小企業や、代位弁済が増加傾向にあります。

    「経営改善支援は条件変更先のみならず、今後の経営に不安を抱える正常先にも必要であり、そのためには日頃からのモニタリングが重要です」

    • 成功事例の増加に期待
      自社の財務状況をタイムリーに把握する体制の構築や、経営改善に注力できる会計事務所に対し、積極的な支援と成功事例の創出が期待されています。
    • 条件変更審査でのMISのデータ活用
      会計事務所が作成する決算書は信頼性が高く、電子データによる受領件数も増加しています。特に条件変更の審査において、これらのデータが有効に活用されています。
    • 早期経営改善計画の策定
      経営改善を必要とする中小企業に対し、早期の経営改善計画策定などの継続的な支援が求められています。

    4.地域の持続的発展に向けた「顔の見える関係」

    これら金融機関からの期待に対し、会計事務所側からは、経営改善には単なる記帳代行ではなく、数字の「見える化」に向けた自社での適時・正確な経理体制の構築が必要不可欠であることが説明されました。
    自社の足元の財務状況を正確に把握することが、経営改善を図るための第一歩となります。
    金融機関と会計事務所が相互に知見を共有し、協力して中小企業へのプッシュ型・伴走型支援に取り組むことが、企業の持続的な成長と地域経済の発展に繋がります。

    今後も金融機関と会計事務所が「顔の見える関係」を深化させ、地域金融力の発揮に向けた連携が期待されます。

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