02 連携

毎月の経営状況確認から生まれる
質の高いモニタリングと事業者支援

京都中央信用金庫・植村幸弘理事長との対談
『TKC会報』2026年5月号

目次

「モニタリング強化型信用保証制度」が施行された現在、京都中央信用金庫とTKC近畿京滋会は、TKCモニタリング情報サービス(MIS)を通じたデータ連携や、決算書の信頼性を担保する仕組みの活用により、正確な業績把握と事業者支援に向けた協働を進めています。

1. 本部の迅速な融資決裁を後押しするMISデータの蓄積

京都中央信用金庫における融資案件の多くは本部で決裁されており、判断の基礎となるデータの「正確性」と「充実度」が決裁スピードに直結します。

植村幸弘理事長は、MISを通じて税理士から「決算書」だけでなく、「月次試算表」などのデータが蓄積されることは、金融機関にとって貴重な財産になると語ります。紙ではなくデータで提供される数値は、後から改ざんできないため信用性が高く、結果として本部の迅速な融資決裁につながっています。また、MISを活用することで、申込書1枚で保証割引が適用されるスキームも実務で機能しています。

2. 融資判断の基準として定着する「書面添付」

税理士が決算書や申告書の作成プロセスや信頼性を担保する「書面添付」についても、京都中央信用金庫の支店現場までその存在と内容が深く浸透しています。

庫内のチェックリストには「書面添付の有無」を記載する項目が設けられており、日常の運用に組み込まれています。同金庫では、書面添付を「経営者が信頼できる証」として捉えており、融資を行う際の重要な判断基準の一つとして位置付けています。

3. 業界平均値や月次の業績推移を活用したモニタリング

MISで提供される月次試算表に加え、「月次決算報告シート」や「Web BAST(TKC経営指標)」も、金融機関のモニタリングの質を高める重要なツールとなっています。

月次決算報告シートには業績の推移や動向が分かりやすく記載されており、金融機関が企業の現状を把握するのに役立ちます。また、膨大な中小企業のデータからなるWeb BASTを利用し、業界の平均値と融資先の業績を比較することで、融資先が業界内でどのような立ち位置にあるのかを客観的に把握することが可能になっています。

4. 「予兆管理」の要となる毎月の経営状況確認

融資先の「予兆管理」においても、MISやTKCの税理士が毎月企業を訪問する「月次巡回監査」が有効に機能します。企業の実績を毎月正確に把握してこそ、精度の高い資金繰りの予想や的確な提案が可能になります。

短期・長期の借入金の推移を含め、正確な実績をタイムリーに把握できるMISは予兆管理に極めて有効です。特に、財務状況(経営状況の把握)が弱く格付けが中位より下にある企業ほど、毎月企業を訪問して経営状況を確認・指導する税理士の密なサポートが必要とされています。

5. 勉強会の開催を通じた「顔の見える関係」の深化

コロナ禍後も人件費アップ等の課題を抱え、業況が厳しい中小企業が多い中、地域金融機関と、中小企業に最も近い存在である税理士との連携は欠かせません。

今回の対談を通じ、京都中央信用金庫とTKC近畿京滋会は、MISのさらなる有効活用に向けて、支店などの単位で「職員向け勉強会」を開催し、相互理解を深めていくことの重要性を確認しました。金融機関・経営者・税理士の三者による「顔の見える関係」を構築していくことで、地域の中小企業支援に向けた連携体制がより一層強化されることが期待されています。

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