2021年10月号Vol.124

【ユーザー事例1】「来庁しなくてもよい区役所」へカード普及に注力

マイナンバーカード交付予約・管理システム > 東京都江戸川区

生活振興部マイナンバー推進課 課長 藤戸 潤 氏 / 交付事業係 係長 上村智亮 氏 / 計画係 主査 長谷川 乃 氏

住所
東京都江戸川区中央1丁目4番1号
電話
03-3652-1151
面積
49.09平方キロメートル
人口
692,492人(2021年9月1日現在)
東京都江戸川区

──江戸川区では、マイナンバーカードの交付体制強化に取り組んでいます。

藤戸 マイナポイントなどが“追い風”となりカードの取得申請数が急増しました。加えて、コロナ禍での混雑回避のためカード交付は原則、予約制としていることから、〈窓口交付量の向上〉と〈予約機会の拡大〉の両面での体制強化が急務となっていました。そこで交付窓口を新たに2カ所設置するとともに、「TASKクラウドマイナンバーカード交付予約・管理システム」を活用して今夏からカード交付のオンライン予約を開始しました。
 これまではコールセンターで予約を受けていたのですが、受付体制を増強しても電話がつながりづらい状況が続いていました。また、システムを切り替えることで窓口業務が混乱することを避けたいという思いもあり、交付予約機能に限定してスモールスタートしました。TKCさんに無理を言って当初計画を1カ月以上前倒ししてシステムを稼働してもらいましたが、結果的に夜間・休日を問わずネット予約ができるようになり、区民の利便性は格段に向上したと感じています。

「江戸川区新方式受取」で
専用窓口も設置

写真左から、上村係長、藤戸課長、長谷川主査

写真左から、上村係長、藤戸課長、長谷川主査

藤戸 江戸川区では現在、8カ所の交付窓口を設置しています。このうち新たに開設した船堀交付センターとイオン葛西店(期間限定の特設会場)では、本人確認と暗証番号の記入のみを行い、カードは後日簡易書留で郵送する方式を採用しました。こうした「本人限定受取(特例型)」の郵送受取専用窓口を設置する例は他団体でもありますが、多くの場合は必要な端末機や専門知識を持つ職員の不足を理由に郵送方式を導入しています。しかし、江戸川区では窓口の回転数を上げるための仕組みとして採用しました。そのため別に郵送事務センターを設け、そちらで暗証番号の入力や封入封緘(かん)作業をして郵送する──という独自スキーム(江戸川区新方式)も構築しました。
 これにより通常20分程度はかかる窓口での交付手続きが10分以内で完了できるようになり、3倍程度のスピードアップを実現しました。その結果、お客さまをお待たせすることがなくなり、窓口当たりの交付量が増加し、より多くの予約を受けられるようになりました。ネット予約の効果もあいまって、バックオーダーとなっていた膨大なカードの交付にも見通しが立ちました。

──現在の利用状況は。

上村 現在の予約状況を見ると電話とネットが半々です。これまで予約機能に限定してシステムを利用してきましたが、予約管理はもちろん統計作業などでも重宝しています。次は、いよいよカード管理業務での活用ですね。
 現在は、職員がExcel等で作成したシステムで管理しています。現場のニーズに合わせて構築したシステムのため使い勝手は非常にいいのですが、扱うデータ量が大きくなってきたこともあり、今秋をめどにマイナンバーカード交付予約・管理システムへ移行したいと考えています。これにより、管理業務においても効率化が図れると期待しています。ただ、移行にあたってはシステムに合わせて業務フローを見直すなど“プチBPR”が伴うことから、TKCさんとも打ち合わせを重ねながら準備を進めているところです。

高品質で身近なサービス提供へ

──江戸川区では、かねてから「区民に身近で便利な窓口サービスの実現」を掲げ、情報化を推進されてきました。今後の展望をお聞かせください。

長谷川 行政サービスのデジタル化・オンライン化の推進は、全国の自治体にとって喫緊の課題となっています。
 江戸川区では「来庁しなくてもよい区役所」として、これまでにもコンビニ交付サービスやキャッシュレスなどへ取り組んできましたが、コロナ禍で一層拍車がかかっています。その延長線にはスマート窓口などがあるのだと思います。区民の利便性向上という点では、住民基本台帳に加え、国民健康保険や年金、介護などのサービスをワンスオンリーで実現していくことが重要でしょう。
 これらについては、窓口改革のワーキンググループを発足し検討を進めていくことになりますが、実現にはマイナンバーカードの普及が大きなカギを握ります。マイナポイント事業の終了で鈍化が見込まれる中、これから申請件数をいかに伸ばしていくかが大きな課題ですね。

藤戸 江戸川区では、誰もが安心して自分らしく暮らせるまち「共生社会」の実現に向け、「ともに生きるまちを目指す条例」を7月1日に施行しました。また、来年4月には、2100年の未来を見据えた長期ビジョン『(仮称)江戸川区共生社会ビジョン』を策定する予定です。
 さらに、今年5月にはSDGs未来都市に選定されました。SDGsが掲げる「誰一人取り残さない」という理念は区が目指す共生社会の考え方と重なるため、SDGsの達成に向けても積極的な取り組みを展開しています。
 行政手続きのオンライン化やシステム標準化など「自治体DX」の推進が求められていますが、大局的に見ればそれらもSDGsや共生社会の実現手段の一つと言えるでしょう。だからこそデジタル化という大きな流れにただ流されるのではなく、他団体よりも一歩も二歩も先んじていけるよう意欲的に取り組み、区民の皆さんへ時代に即した質の高いサービスを提供し続けていきたいと考えています。
 TKCさんには、これからも信頼できるシステムやコンサルティング、各種情報などの提供を通じてわれわれの活動を支援していただけると嬉しいですね。

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