有限会社齋藤製作所 様

有限会社齋藤製作所

統合型会計情報システム『FX4クラウド』
『TKCモニタリング情報サービス』 ユーザー事例

会計事務所とのコラボレーションで
DXを推進する板金加工業者の戦略

栃木県小山市で板金加工業を営む齋藤製作所。創業以来、ニッチ分野で技術力を発揮し成長を続けている。2代目の伊東正郎社長は、岩田会計事務所の支援を受けながら業務のデジタル化にまい進、さらなる飛躍を目指す。同社の経営戦略について、伊東社長と夫人の千恵取締役、鈴木和之管理部長、岩田修一顧問税理士、岩田尚公認会計士・税理士に聞いた。

──業容を教えてください。

伊東正郎社長

伊東正郎社長

伊東 業種としては板金加工業です。主に、冷凍冷蔵コンテナトラックのコンテナ部分に使われている金属の部品を作っています。これが売り上げの65~70%を占めています。具体的には、コンテナの後ろの開口部の扉を固定するためのフレームの部分を製作しています。

──技術的に難しい部品なのですか。

伊東 冷凍冷蔵コンテナは、基本的に「水回り」なのでさびにくいステンレスが使用されています。ステンレスは加工がしにくく、それなりの技術が必要になります。また、ニッチな世界なので、規格品は少なく、カスタマイズ製品をつくる技術力と対応力が求められます。

──取引先は?

伊東 創業以来、東プレ株式会社冷凍機器事業部さまの一次下請けとして、仕事をさせていただいています。東プレさまのほかには、10年ほど前からクボタ空調株式会社さまとの取引がスタートし、商業施設や公共施設などの業務用空調機の部品を製造しています。この仕事が全体の20%を占めます。

──板金加工業者としての強みは?

伊東 手掛けているのが特殊なカスタマイズ品にも関わらず、高い品質を保ちながらこれらの仕事をスピーディーにこなすことができるところです。通常は数週間かかる仕事でも注文をいただいて3日もあれば出荷できます。

溶接工程に豊富な人材が

溶接工程に豊富な人材が

──なぜでしょう。

伊東 一気通貫で板金加工ができる体制を整えてきたのが大きいと思います。板金加工はブランク・曲げ、溶接、さらには塗装とおおむね3つの工程に分かれますが、当社では、溶接の工程に30名の技術者がおります。これは中小企業としてはかなり多いと思います。製品に使用するステンレス鋼板は板厚が薄く、熱ですぐに曲がったり穴が開いたりするので、溶接はとても難しい作業になります。昨今は溶接のできる技術者は少なく、なかなか集まりません。当社は工程の全技術者の半分近くが溶接部門に集まっており、しかも高い技術を持っています。ここが特徴であり強みです。

取引先別、工程別管理で経営上の課題を抽出

──岩田会計事務所とのご関係は?

伊東 創業以来のお付き合いだと聞いています。会計サービスはもちろんですが、業務のデジタル化についても岩田会計さんのご支援をいただいています。

岩田修一顧問税理士

岩田修一顧問税理士

岩田 伊東社長は2代目ですが、非常に緻密で戦略家であり、先代(現会長)がつくられた礎を、しっかり成長軌道に乗せてこられているという印象です。とくに最先端のIT技術についての知識をどん欲に吸収されることで業務効率の向上に生かしておられます。

──業務のデジタル化、今でいう「DX」がキーワードなのですね。

岩田 当事務所では「中小企業経営改革の要諦はICT活用による業務革新である」との認識を顧問先に共有いただく活動をしています。齋藤製作所さんには、この方針をご理解いただき、会計システムである『FX4クラウド』の導入はもちろん、業務系システム導入のお手伝い、あるいはBI(ビジネスインテリジェンス)分析などもさせていただいています。また、前職が旅行業に携わっていた伊東社長の経営手腕と、元システムエンジニアの千恵取締役のコンビネーションが絶妙で、これも、斎藤製作所さんのDXを成功に導いている要因のひとつだと思います。

──ところで、巡回監査はどのように?

岩田尚監査担当

岩田尚監査担当

岩田尚(公認会計士・税理士) 毎月の第3水曜日に社内会議があるので、その時にお邪魔をして奥さまと鈴木部長と一緒に前月の数字をチェックしつつ月次を締め、データの傾向性や異常値などがあれば会議の場で社長に報告。社長からも会社の状況をお話いただきます。

鈴木 社内では、月があけて7営業日を目標におおよその数字を固めてしまいます。できるだけ早く前月の実績を社長に把握してもらうことが、経理の務めだと考えています。

──『FX4クラウド』導入のきっかけは?

伊東千恵(取締役) はい。もともとは『FX2』を使っていたのですが、伝票の数が年々増えてきて、パソコン1台で入力するのが大変になってきたのがきっかけです。導入後は、請求書と現預金の入力を分けて、2台で入力作業を行っており、とてもスムーズになりました。

鈴木(管理部長)『FX4クラウド』の機能によって当社の販管システムとのデータ連携が可能になったので、売り上げを入力する手間も省けています。これも効率化という意味では大きかったですね。

伊東千絵取締役

伊東千絵取締役

伊東千恵 それと、金融機関から取引データを自動受信して仕訳を簡単に計上できるフィンテック(「銀行信販データ受信機能」)機能はとても便利です。大幅に手間が省けました。ちなみに、鈴木部長は昨年まで岩田会計さんの副所長をつとめられていた方。なので、安心して管理業務を任せています。

──部門別管理はされていますか。

鈴木『FX2』の時代から、東プレさま、クボタ空調さま、それ以外のお取引先の3部門に分けて収益を管理してきましたが、今年からもう少し高度な「工程別」管理に取り組んでいます。

──工程別とは?

鈴木 前工程(CAD・ブランク・曲げ)、溶接工程、塗装工程、管理部門といった工程別に、おおまかですが売上高を振り分け、コストを計算して粗利益、労働分配率まで見ていこうという試みです。

──どなたの発案ですか。

伊東 私です。各工程の設備と人数で、どれくらい売り上げや粗利益に貢献しているのかをはかることが、経営する上で重要だと考えました。たとえば、機械設備を使って作業する工程では、少ない人数で成果を上げることができますが、それは設備投資額込みの成果です。しかし、きちんとしたデータが示されなければ「うちは少ない人数でこれだけやっているのに……」と部門間のわだかまりのもとになりかねない。そのようなことのないよう、機械への投資額もコストに入れ込むことで、各部門のフェアな関係性を担保できます。また、それが適正な給与の分配にもつながってくるのだと思います。

鈴木和之部長

鈴木和之部長

鈴木 工程別の損益は、自由に帳表をつくることができる「マネジメントレポート(MR)設計ツール」を活用して独自の帳表にし、伊東社長の経営のかじ取りの参考資料にしていただいています。

──「TKCモニタリング情報サービス」は利用されていますか。

岩田 サービス開始当初から利用していただき、足利銀行ほか、取引のある全金融機関に決算データを、電子申告と同時に伝送しています。

伊東 岩田会計さんには、会計サービスはもちろんですが経営のパートナーとしても頼りにしています。たとえば、設備投資のための補助金を受ける際には数字の集計や手続き面で助けられています。また、岩田会計さんで毎年開催される「経営支援セミナー」ではICTの最新知識を学ぶことができますし、IT活用、デジタル化については、岩田会計さんの岩田稔顧問のご支援をいただいており、その深い見識に助けられています。

──今後はいかがでしょう。

伊東 カーボンニュートラルに貢献する企業のお手伝いをしながら、業績アップを目指したいと考えています。それから、オリジナル製品をつくって「メーカー」になることが、われわれの以前からの目標です。まずは、金属加工の技術を生かした家具を作りたいと思っています。
 短期的には、現在の落ち込みを取り戻すべく3年後までには売上高を5%引き上げること。中期的には新たな仕事を増やしつつ、冷凍冷蔵コンテナの割合を50パーセントに落とし、年商を14億円に持って行きたいと考えています。岩田会計のご支援をいただきながら、なんとか達成したいですね。  

企業情報

本社

本社

有限会社齋藤製作所

設立
1983年10月
所在地
栃木県小山市大字梁2275-5
売上高
約12億円
従業員数
70名

顧問税理士 所長 岩田修一
岩田会計事務所

所在地
栃木県小山市西城南3-7-20
URL
https://www.iwatakaikei.net

『戦略経営者』2021年7月号より転載)