株式会社REVOX 様

左から小関友香里氏、松永氏、望月税理士、
宮季社長、木野部長、平野氏

統合型会計情報システム(FX4クラウド) ユーザー事例

適時正確な月次決算体制の構築が
DXベンチャーの資金繰りを支える

製造業DX分野でいま注目を集めているのが、AIクラウドサービス「SellBOT」でシェアを伸ばしているREVOXだ。『FX4クラウド』を通じた月次決算体制の構築について宮季高正社長は、設立間もないベンチャーにとって最重要課題の一つである資金繰り面でのメリットが大きいと語る。

──宮季社長のご経歴について教えてください。

宮季高正社長

宮季高正社長

宮季⾼正社長 もともと私は電子部品商社の営業社員でしたが、2011年に義父が社長を務めていたプラポートに入社しました。同社はプラスチックの精密機械加工を営む会社で、産業機械向け部品を小ロット短納期で製造しています。同社の一事業として取り組んだのが、製造業DXプラットフォーム「SellBOT」の開発です。

──開発のきっかけは?

社長 コロナ禍の最中に事業承継しましたが、ほぼ同時期に中小企業とAI人材をマッチングする経済産業省の「課題解決型AI人材育成事業(AI Quest)」に参画しました。属人化している見積もり業務の効率化、標準化に真剣に取り組みたいと考えていたからです。4名のIT人材とともに開発したセルボットは当初、自社だけで使用する考えでしたが、外販でも十分勝負できると判断し、グループ会社のREVOXを設立し事業化に乗り出しました。製品リリースは22年7月で、現在はIT導入支援事業者にも認定されています。昨年5月に丸紅株式会社と資本業務提携を行い、導入企業数は200社に迫ろうとしています。

4つのAI機能を搭載し製造業の図面業務を効率化

──セルボットでは4つのAI機能が搭載されているそうですが、詳細について教えてください。

社長 製造業の見積もりは、まずお客さまからいただいた図面を見て、過去に受注した仕事で類似した図面を探すところからはじまります。この類似図面を検索し複数提案するAIが搭載されているのが一つ。それから、正確な見積もりを出すためには、探し出した類似図面と新規図面の差異を確認しなければなりません。この差異を自動的に表示する差分表示AIが搭載されているのが二つ目。さらに図面のテキストを自動的に読み込み、材質やサイズ、加工方法などを正確に抽出する製造業に適したOCR機能のAI、協力企業に図面を提供する時に秘匿すべき情報を自動的に判断し、見えなくする機能にもAIを活用しています。

──見積もり業務はどのくらい効率化されますか。

社長 グループ会社のプラポートではセルボットをフル活用していますが、以前は5人の営業社員が見積もりを行っていたところ、現在は営業アシスタント1名と営業社員2名で事足りています。10分以上かかっていたメーカー見積もり業務も1~2分でできるようになりました。図面が蓄積すればするほどAIはさらに賢くなっていくので、入社したばかりの社員でも顧客からの図面さえあれば見積もりが可能になると思います。

──競合他社の製品との違いは?

社長 この分野におけるシステムの開発は現在トレンドになっており、複数の企業が積極的に事業展開をしています。そのなかで当社の優位性は、①月額10万円からと導入しやすい価格帯であること②製造業の業務フローに最適化された各種機能が充実していること③類似図面検索機能やOCR機能の精度が高いことなどにあります。機能やサポートが充実している一方で、導入しやすい価格となっている非常にバランスのとれたシステムだと思います。

──グループ全体で若手社員の割合が多いと感じます。

社長 当グループは「生きがいと感動の創造」を経営理念としており、従業員に生きがいを持って働いてもらうため、積極的に職場の環境整備に努めています。具体的にはホワイト財団が実施しているホワイト企業認定(※)に取り組んでおり、「レギュラー」の段階からはじまり、同財団が要請する約70の項目を一つ一つ充足していった結果、現在「ゴールド」のランクで認定を得ています。同認定を受けてからは採用面で大きなメリットがあり、若手人材からの応募が急増。グループ全体の平均年齢は約35歳と大幅に若返りました。

※ホワイト企業認定
一般財団法人日本次世代企業普及機構(通称:ホワイト財団)が、「次世代に残すべき素晴らしい企業」として取り組みを評価・表彰する仕組み。70の設問によって審査を行い、レギュラー、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナムの5ランクで認定が付与される。

システム連携などを駆使し経理業務を1人でカバー

──税理士法人M’CONとは設立時に契約したそうですね。

社長 私がプラポートに入社する前からすでにM’CONさんと顧問契約しており、松永さんが担当をされていました。それから15年経ちましたが、全幅の信頼を置いています。相談や質問ですぐに電話をかけてしまうのですが、そのときのレスポンスがとても速いのです。また私が入社してから一度も税務調査が入ったことはなく、税務申告の正確性も極めて高い。レボックスもM’CONさんにお願いすれば間違いないと思いました。

望月磨悠顧問税理士

望月磨悠顧問税理士

望月磨悠税理士 宮季社長が「生きがいと感動」という経営理念についてお話しされましたが、実は当事務所も先代の時代から「やすらぎとときめき」という似たような理念を掲げています。安心して社員生活、家庭生活を送ることができ、仕事のやりがいがあり、事業継続の不安がなく、社会に還元できているという実感があってはじめて企業は、わくわくするような事業の幅を広げる挑戦に手を出すことができます。お互い理念が通ずるところがあり、素晴らしい企業だと感じています。

──『FX4クラウド』をどのように経理業務の効率化に生かされていますか。

平野祐美子氏(経理担当) 「銀行信販データ受信機能」や「証憑保存機能」など、経理業務の効率化に使える機能はほぼすべて活用しています。『PX4クラウド』と『FX4クラウド』の連携で給与データの仕訳連動ができるのも便利だと感じています。また1カ月の入金数がプラポートで500件以上、レボックスで約100件とかなりの数がありますが、CSVファイルを取り込むことによって一瞬で処理できるのも助かっています。

松永尚晃氏(監査担当) TKCシステムのさまざまな機能を活用することによって、グループの経理業務は平野さん1人だけで可能になっています。この事実が、省力化に成功している何よりの証拠だと思います。

来夏完成予定の新工場で中小製造業への拡販狙う

──経営の意思決定にはシステムをどのように生かされていますか。

社長 当社はスタートアップですので、特に資金繰りの部分で大いに活用させてもらっています。丸紅から来られた役員1名を含め月に1回役員会を開いていますが、毎回『FX4クラウド』から抽出したデータで作成したキャッシュフロー計算書などをもとに、どのタイミングで借り入れをすべきかなどについて活発な議論が交わされています。ほかにも『FX4クラウド』の数字は、「宣伝費はどれくらい使えるか」「あと何人まで採用可能か」など重要な経営判断を行うときの基礎資料になっています。

──特に注視されている指標は?

社長 労働分配率や1人当たり売上高、1人当たり限界利益を意識していて見ています。とくに労働分配率は60%を維持できるように心がけています。またプラポートに関しては1時間当たりの生産効率の水準を必ずチェックしており、生産工程に無駄が生じていないかを確認しています。

木野智浩総務部部長 「TKCモニタリング情報サービス」を利用し、取引のある二つの金融機関に対し月次決算完了後に月次試算表をお送りしています。システムによって自動送信されるので、金融機関から後に質問がくれば回答しますが、こちらで何かすることはありません。まとまった資金が必要なタイミング等についてあらかじめお伝えするなど、取引行とは資金繰りの状況について適宜コミュニケーションをとっており、スムーズな協力をいただける体制になっています。

──今後の抱負について教えてください。

社長 見積もりのDXの次は調達分野のDXに注力していきたいと考えています。また資本業務提携した丸紅さんの販路を使い、海外での事業展開を計画していきます。26年9月に開催予定の北米最大規模の工作機械見本市に出展を検討しており、セルボットの可能性を世界中に広げていきたいと思います。さらに、来夏にはプラポートの新工場建設を予定しており、「DXをどうやって進めたらよいか分からない」という中小企業を対象にした、製造現場と直結したDXのショールームも併設する予定です。年間500社の中小企業に来ていただく目標を掲げており、ここでもセルボットの拡販につなげたいと考えています。

企業情報

製造業DX プラットフォーム「SellBOT」

製造業DX プラットフォーム
「SellBOT」

株式会社REVOX

業種
製造業向けシステムの開発・販売
設立
2021年11月
所在地
静岡県静岡市清水区半左衛門新田135-1
従業員数
約30名
URL
https://www.sellbot.jp

顧問税理士 税理士法人M’CON
代表税理士 松田嘉仁 望月磨悠

所在地
静岡県静岡市駿河区小鹿865-38
URL
https://mcon-tax.com

『戦略経営者』2025年10月号より転載)