株式会社山本商事 様

左は経理担当の大友美子さん。右は現在の監査担当である
アンサー税理士法人の小原奈津子さん

統合型会計情報システム(FX4クラウド) ユーザー事例

積極営業と緻密な計数管理で
売上高と限界利益率が急上昇!

大阪府摂津市に本拠を構える山本商事。先代(父親)の後を継いだ山本武典社長は、ここ20年ほどで、経営手腕をいかんなく発揮。積極果敢な営業活動で取引先を広げ、右肩上がりの業績を続けている。山本社長と顧問の小園元一税理士、西野弘美税理士に話を聞いた。

──創業の経緯は?

山本武典社長

山本武典社長

山本 1990年代のなかばに、運送会社に勤めていた父が、お客さまにお声がけいただき独立したのがスタートです。98年に法人化し、まもなく私が入社しました。当初は父と私を含めて4名で細々と会社を営んでいました。

──いまの会社規模と比較すると隔世の感がありますね。

山本 現在は年商で約4億5,000万円。35名の社員、30台のトラックを抱えています。

小園 山本社長が経営されるようになってから、ガラっと組織が変わったように感じます。いまや超優良企業になられました。一体、何をどうされたのか。私も興味があります(笑)。

山本 小園先生と知り合った2005年頃には、明日潰れてもおかしくないような危機的な状況でした。当然、債務超過です。とにかく、すべて変えていかなければと感じたことを覚えています。

西野 私が小園に代わって担当になった10年頃でも、まだ10名くらいの会社でしたからね。そこからの伸び具合はすごいと思います。

付加価値の高い仕事にシフト

──成長の理由は?

山本 ベースは地道な営業活動です。多種多様なセミナーや懇親会などへ参加して名刺を配ったり、求人誌を見ながら、掲載されている会社に片端から声をかけるなどしました。相手は印刷屋さんや町工場、食品メーカーなど業種もさまざま。“尖った”営業でしたね。もちろん、門前払いがほとんどなのですが、それでも仲良くしていただけるところもポツポツと出てきて、そういったところから少しずつ仕事をいただけるようになりました。

小園 当時から、山本社長は「売り上げをつくるのに貪欲な人」という印象でした。従来のビジネスでは利ざやが薄いので、ぜったいに儲からないと……。それで、付加価値の高い直取引にシフトしていかれたのだと思います。

西野 山本社長は、人の心をつかむのがとてもうまいんです。お客さまや社員の方々に対して、その人の性格に合わせた会話でたちまち打ち解けてしまう。営業マンとしての稀有な才能だと思います。

山本 営業活動といっても、見積書や企画書を持って回るわけではありません。自分のキャラクターを生かしながら会社を知ってもらい、気長につながりをつくっていくという感じでしょうか。ともかく、そうした活動の甲斐あって、当社は直取引が多く、これによって利益率が向上していきました。現在、全体の7割から8割くらいが、荷主さんからの直取引となっており、中小の運送業としては珍しいと思います。

──外注もされているとか。

山本 とってきた仕事は、自社で賄いつつ協力会社へも依頼しています。月4,000万円の売り上げのうち、半分まではいかないですが多くの協力会社に助けていただいています。

──なぜでしょうか。

山本 荷主は、いつまでも荷主ではなく、効率化を目指すでしょうから仕事がなくなる可能性は常にあります。だとすれば、人件費という固定費をかけてすべての仕事を請け負うより、外注という形の変動費にして、バッファを持たせた方がリスクヘッジになります。

西野弘美税理士

西野弘美税理士

──慎重な経営ですね。

西野 私との会話のなかでも、社長は「今期は売り上げが減る」「次は危ない」などとよく弱気なことをおっしゃいますが、ふたを開けたらいつも増収増益というパターンです(笑)。

小園 毎年の予算も消極的な数字ですしね。

山本 私には危機感しかありません。顔では余裕の表情をしているように見えても、水面下ではアヒルのように必死で足をバタバタさせています(笑)。

自己資本比率が50%超

──社長は計数管理に長けているとお聞きしました。

小園元一税理士

小園元一税理士

小園 TKC全国会のスローガンである「会計で会社を強くする」を体現されています。だからこそ、ここまで会社を成長させることができているのだと思っています。なにしろ自己資本比率は50%を超えていますからね。

──すごいですね。

山本 いつ潰れてもおかしくない状態からのスタートでしたから、とにかく内部留保を積み上げて少々のことでは倒れない強い会社をつくろうという思いでした。また自己資本比率を引き上げることで、金融機関との関係性を良くしたいという思惑もありました。創業初期ですが、従業員に賞与を支給するために金融機関から借り入れたことがあり、その際にかなり高い金利が適用になり悔しい思いをしました。よし、じゃあ強い会社になって見返してやろうと……。

西野 すでに十分に強い会社になっているので、もう少し役員報酬を上げてもいいのではと進言しても、「いやまだだ」と固辞されます。

──『FX4クラウド』を使われているそうですが、とくに注視されている指標や科目はありますか。

山本 自己資本比率と限界利益(率)です。限界利益は会社の付加価値額であり、事業の収益性をはかる重要な指標なので、とくに気にしています。限界利益率を上げていくことが、会社の「儲ける力」を上げていくことですから。

──人件費については?

山本 従業員にはできる限り給与で還元したいというのが本音です。運送業は労働集約型の産業であり、「人」が売り上げをつくるので、賃金は高めに設定し、今では借入金ではなく自己資金から賞与を年2回支給しています。

月次決算速報サービスでメール送信される情報の一部(サンプル)

月次決算速報サービスでメール送信される
情報の一部(サンプル)

西野 山本社長はお忙しい方なので、月次巡回監査の際にお会いできないことがあり、その意味では、社長のスマホに最新業績が送られる「月次決算速報サービス」が役に立っていると思います。

──というのは?

山本 月次決算速報サービスでは、変動損益計算書をはじめ純売上高の内訳や売上高、限界利益、経常利益、自己資本比率の推移グラフなどの厳選された情報を見ることができるのが便利です。気になる数字があれば、『FX4クラウド』を開いて確認し、それでも分からなければアンサー税理士法人さんに聞くようにしています。

──今後はいかがでしょうか。

山本 当社は「太い柱」であるメインのお客さまをはじめ、20社以上の多くのお客さまと取引しています。それぞれの柱をバランスよく太くしたいです。また、数年前から倉庫賃貸業を始めていて、この新分野を大きく育てていきたいと考えています。当社に在庫を預かってほしいというニーズがありますからね。
 さらに言えば、運送業のイメージを変えたいとも考えています。これまでも実践してきたのですが、待遇の向上や働き方改革を含め、より社員の居心地の良い職場づくりを進めていきます。

企業情報

創業時の債務超過から超優良企業へ

創業時の債務超過から超優良企業へ

株式会社山本商事

業種
運送業
設立
1998年4月
所在地
大阪府摂津市鳥飼西4-23-1
売上高
約4億5,000万円
社員数
31名
URL
https://www.yama-syo.com

代表社員・税理士 小園元一
共同代表・税理士 西野弘美
アンサー税理士法人

所在地
大阪府豊中市本町2-1-21-201号
URL
https://answer.tkcnf.com

『戦略経営者』2025年7月号より転載)