導入事例 CASE STUDY
株式会社三川観光きのこ園 様

統合型会計情報システム(FX4クラウド) ユーザー事例
経理業務の効率化を追求する
ファミリー層に人気のきのこ園
新潟県内を流れる阿賀野川沿いで「三川観光きのこ園&カサブランカ園」を運営する三川観光きのこ園。キノコ狩りを手軽に楽しめるスポットとしてファミリー層からの人気が高まっている。杉﨑克彦社長、杉﨑克成専務取締役、石井良樹税理士に、『FX4クラウド』活用の現状や経営戦略を聞いた。
キノコ料理専門レストランと秋のカサブランカ鑑賞が人気
──もともとは林業を手がけていたとお聞きしました。

杉﨑克彦社長
杉﨑克彦社長 約50ヘクタールの山林を所有し、地元で代々林業を営む家の長男として生まれた私は、大学卒業後に2年間、福島県林業試験場に勤務しました。そこでキノコの生産を扱う業務に従事したのがキノコ栽培との出会いで、4代目として家業を継いだ後に事業の多角化の一環でキノコの生産をはじめました。当初は林業8割、キノコ生産2割でしたが、木材価格が低迷し年々キノコ生産の割合が増加、10年後には100%キノコ生産を行う会社に事業転換をしました。市場価格の変動に左右されず、売値を自分で決めたいと考え「三川観光きのこ園」を開園したのは1989年のことです。最初は掘っ立て小屋のような簡素な設備でしたが、徐々に建物も増え、現在のような姿になりました。
──生産品目や園の特徴について教えてください。
社長 ヒラタケ、シイタケ、マイタケ、ブナシメジ、タモギタケなど10種類のキノコを生産しています。量産品のキノコは通常、自然とはかけはなれた空調設備のある環境で栽培しますが、当社は広大な杉林の下での自然栽培にこだわっています。冬期に仕込んだ種菌をある程度の大きさになるまで室内で培養し、春以降に屋外に出しています。開園は4月から11月までで、入園料は無料。好きなキノコを自由にとってもらい、100グラム100円という分かりやすい価格体系で販売しています。
──菌床にもこだわっているそうですね。
社長 当社ではトウモロコシの芯を原料にした輸入菌床は一切使用していません。広葉樹のおが粉を原料にした国産菌床を使っています。自然栽培と国産菌床を使うことで、「香りも味も良い」と多くの方にリピーターになっていただいています。
──繁忙期はやはり秋でしょうか。

レストランからは秋にカサブランカが鑑賞できる
社長 はい。9~11月の繁忙期の売上高は年商の半分近くに達します。とりわけ10月の連休時には駐車場がすべて埋まってしまうほどで、1日当たりの来園者数は推定数千人に達することもあります。来園客は県内やお隣福島県の会津地域などから来ていただくことが多いですが、秋のシーズンでは茨城県や埼玉県、栃木県など遠方からのお客さまも多くいらっしゃいます。
──レストランが充実しているのも特徴です。
社長 キノコうどんやキノコそば、キノコの天ぷら盛り合わせなど、100%キノコに関係するメニューをそろえています。一番人気のきのこ汁は繁忙期には1日1,000杯も出るほどで、最近では屋外で楽しめるバーベキューセットも人気です。
──カサブランカ園も併設されています。
社長 園内の環境整備の一環で、見晴らしのよい食堂の眼下にユリの王様と呼ばれるカサブランカを一面に植えました。ユリは普通7月ごろから咲き始めますが、当園のカサブランカは球根に特殊な処理を施し、キノコのシーズンに合わせ9月から11月にかけて咲くように設定しています。秋に咲くカサブランカは美しい状態が通常より長持ちすると好評です。
新レジシステムとの連携で現金管理の効率化推進
──石井税理士事務所と顧問契約を結ばれた経緯は?
社長 私が理事長を務めている生産森林組合が運営しているロッジがあり、そこの税務をみていただいていた税理士先生がかなり高齢になり、後任として石井先生を紹介いただいたのがきっかけです。こちらの問いかけに対する石井先生のレスポンスがとても早かったことに驚き、当社の顧問税理士もお願いするようになったという経緯です。
──石井先生は、当時まだTKC会員ではなく、三川観光きのこ園さんがすでに使用していたTKCシステムをそのときはじめて詳細に見たそうですね。

石井良樹税理士
石井良樹税理士 はい。実は当初私は、他社システムへの切り替えを提案したのです。一通り概要を説明したところ、杉﨑専務から「このやり方だと、TKCシステムで15分で済んでいたものが1時間以上かかる」と言われ、実際にシステムを見させてもらったのです。そこでTKCシステムの「仕訳辞書」機能の便利さに衝撃を受け、すぐに入会を決めました。
──『FX4クラウド』に切り替えたのは?
石井税理士 2018年に、レジシステムの刷新と同時に『FX4クラウド』の導入を提案しました。新しいレジシステムで発注伝票が即座に厨房内に表示されるようになり、正確かつ素早く調理にとりかかることができるようになりました。またレジ中の現金の額が、当事務所のパソコンでもリアルタイムで確認できるようになり、日々の現金監査をする必要が全くないのが大きなメリットとなっています。キャッシュレス化の波にもうまく乗ることができました。
──業務効率の改善は実感されていますか。
杉﨑克成専務 「銀行信販データ受信機能」は大いに活用させてもらっています。仕訳計上した内容がシステムで学習され、次に同じような取引データを読み込んだときに学習した仕訳を提示してくれるのが便利ですね。
──最も気になる項目は何ですか。
専務 やはり売上高ですね。前年との売上高の比較をよくしています。気温や天候、売上高の数字を前年と比較しながらおおよその売上高の見込みを立て、それに基づいて食材等の仕入れを行うようにしているからです。需要と供給をできる限り一致させ、ロスを出さないのが一番ですからね。取引先別の仕入高の推移や過去の実績を参考にすることもあります。
事務効率の向上が戦略を考える「余裕」に
──昨年税務調査を受けたとか。

杉﨑克成専務取締役
専務 はい。抜き打ちでしたが、調査官の要望はすべて『FX4クラウド』で回答することができました。「証憑保存機能」ですべての取引データを検索ですぐに見せることができましたし、もちろんレジにある現金と帳簿の数字もあっています。結果、更正決定等をすべきと認められない旨の通知書が届き、何も問題はありませんでした。税務調査にも動じることなく自信をもって対応できるのも、TKCシステムの大きなメリットだと感じました。
──月次巡回監査の時はどのような会話を?
石井税理士 ふだん必要な書類はPDFであらかじめやり取りをし、担当者がクラウド画面を通じ事前確認をおこなっています。月次巡回監査を含め私は月に1、2回訪問させていただいていますが、社長、専務との会話の内容は、今後の打ち手に関するものが多いですね。ほとんどが専務のアイデアですが、ファミリー層を呼び込む施策の実行などはそうした場で議論が交わされました。
専務 ビリヤード台を3台、エアホッケー台を3台、卓球台を3台導入するなど、小さなお子さんのいる家族連れでも十分楽しむことができるよう工夫した結果、ファミリー層のファン拡大につなげることができました。日々の事務処理をこなすだけの毎日では、こうしたアイデアを考える余裕はなかったと思います。TKCシステムは、事務効率のアップを通じ、この「余裕」を生み出すシステムといえると思います。
──今後の経営戦略は?
社長 現在当園横では、国道49号と県道を結ぶ橋梁工事が行われています。その工事があと2年ほどで完了する見込みで、そうなると磐越自動車道三川ICと県道から当園のアクセスが格段に向上します。そうした環境になることをふまえ、トラック運転手の方などが休憩代わりに立ち寄っていただけるようなカフェの運営を検討しています。冬の閑散期でも、雪の阿賀野川を眺めながら、ゆっくりとコーヒーを楽しんでいただける空間が理想ですね。
企業情報

大自然の中で並べられた
一斗缶の菌床
株式会社三川観光きのこ園
- 業種
- キノコの製造販売、レストラン運営
- 設立
- 2018年1月
- 所在地
- 新潟県東蒲原郡阿賀町吉津3520
- 売上高
- 約1億5,000万円
- 従業員数
- 4名
- URL
- http://mikawakankoukinokoen.o.oo7.jp
顧問税理士 石井良樹
石井税理士事務所
- 所在地
- 新潟県新発田市中曽根町2-8-13
- URL
- https://y-ishiizeirishi.tkcnf.com
(『戦略経営者』2025年5月号より転載)