グループ業績管理の徹底活用で戦略的意思決定を迅速化
“地域のかかりつけ薬局”として、約700店舗の調剤併設型ドラッグストアチェーンを展開するウエルシアホールディングス株式会社。再編著しい薬局業界を勝ち残りNo.1となるべく、連結会計システム「eCA-DRIVER」に加え、グループ各社へ統合型会計情報システム「FX5」を導入してグループ別の損益や予算実績などの正確な状況把握を行い、迅速な意思決定に不可欠な経営管理基盤を構築した。
――ドラッグストア業界の状況について教えてください。

佐藤範正常務取締役
佐藤範正常務 この業界は比較的歴史が浅く、一代で急成長した企業が多いという特長があります。また、2009年の薬事法改正等により一般用医薬品の販売競争が激化し、ここ数年はM&Aも積極的に行われるなど業界再編の動きも活発化しています。当社も2008年にウエルシア関東と高田薬局が経営統合し、持ち株会社として設立されました。その後、寺島薬局とイレブンをグループに加えて事業拡大を図っています。平成22年8月末現在で、グループ企業は10社(連結子会社7社、非連結子会社3社)で、ドラッグストアを基本として医薬品・衛生介護用品・ベビー用品、健康食品、調剤、化粧品、家庭用雑貨、食品等の販売を行っています。また、店舗展開としては、東北・関東甲信越・東海・関西圏に集中したドミナント戦略により、現在約700店を出店しています。
――そうしたなかで、御社は“かかりつけ薬局”という強みを生かした事業を展開されています。
佐藤常務 ひと口にドラッグストアといっても、若年者層をターゲットとして低価格商品を扱うところがある一方で、コンビニ内に出店するところもあるなど実にさまざまです。そのなかで当グループでは、地域社会に貢献する“かかりつけ薬局”として、高齢者層を意識したサービスの拡充をはかってきました。具体的には、従来から取り組んできた「調剤併設」「深夜営業」「カウンセリング化粧品」の三つの柱とともに、昨年にはデイサービス施設を併設した大型店舗をオープンするなど「介護事業との連携」にも注力しています。こうした取り組みによって、2010年8月期連結決算では売上高2387.5億円を達成しました。また、中期経営計画の目標として2013年に総店舗数1500店、売上高5000億円の日本最大のドラッグチェーンとなることを目指しています。
子会社の会計システムを統一し経理・管理業務の標準化を実現
――TKCシステムを利用されて10年以上になりますが、最初に導入を決めた理由は何でしょうか。

佐藤常務 グループ経営管理本部にはいまでこそ優秀なスタッフが12名も揃っていますが、当時の売上規模は数百億円程度で、人員も限られるなか、成長戦略を支える経営管理基盤として会計システムの再構築が不可欠になっていました。しかし、「あれもこれもできる」というERPシステムは、みんな同じように見えて食指は動きませんでしたね。当社としては、われわれの欲しい機能があって使いやすく、また、企業の成長に合わせて柔軟に進化していくコンポーネント型のパッケージシステムを求めていたんです。そんななか出会ったのが、TKCの中堅・大企業向けの会計情報システムでした。われわれの要件を満たすパッケージシステムがここにあるじゃないか!と、驚きましたね(笑)。特に「部門別業績管理」ができる点は、これがあれば経理業務は非常に楽になると直感しました。以来、規模が拡大するとともに、統合型会計情報システム「FX4」、そして「FX5」へとレベルアップしてきました。システムの費用対効果、サポートともに絶対的な安心感をもって利用しています。
――昨今、内部統制や四半期開示、IFRS(国際財務報告基準)とのコンバージェンスなど、ただでさえ経理業務が煩雑化しているなかで、どんどん増え続けるグループ企業を支援するのは大変でしょうね。

青木昌弘取締役
青木昌弘部長 大変です。グループ経営管理本部は子会社の経理部門をいわば“束ねる”かたちとなっており、日常業務をこなしながら、M&Aが発生すれば期中であってもこれに対応しています。それも株式移転や合併、株式交換、TOB、営業譲渡……と実に複雑で、担当者は年中頭を悩ませていますよ(笑)。一方で、新たにグループへ加わる企業は、それまでにいろいろな個別会計システムを利用しており、管理の仕方やシステムの理解度などもまったく異なります。当社としては、そうした各社の業務を公開会社のレベルまで引き上げていかなければなりません。そこで、子会社の個別会計システムをFX5で統一し、グループ標準の勘定科目配置基準を利用することで、グループ全体の経理業務と管理業務の標準化を実現しました。これにより、各社の会計データをリアルタイムに確認できるので、子会社の支援にも非常に役立っています。
佐藤常務 それには統一のしやすさが必須要件です。その意味で、FX5はTKCのデータセンターにあるシステムをインターネット経由で利用する「クラウド型」のサービスのため、新たに子会社へシステムを導入する際にもサーバの設置場所の確保や、システムの更新作業といった運用管理の手間がかかりません。現在、グループ会社のウエルシア関東では月間14万件の伝票が発生していますが、レスポンス面でもストレスを感じることなく動いています。また、グループ経営管理本部のスタッフは、子会社支援のためにノートパソコン持参で全国を飛び回っていますが、どこにいてもグループ全社の最新業績を即座に把握できます。これは便利ですね。特に、その効果を実感したのが東日本大震災でした。私自身、計画停電の影響で東京本社へ出社できなかった際に、埼玉県の事業所へ出社して通常通り仕事をしましたが、これができたのもクラウド型ならではですね。
迅速な意思決定・実行を支える経営管理基盤へ期待高まる

金子清隆課長
金子清隆課長 実務者としてFX5を気に入っている点は、①販売管理などの業務システムとの連携が容易、②マネジメントレポート設計ツール、の二つです。前者については、一般に会計システムに合わせて他の業務システムのデータを並び変えたりする必要がありますが、FX5は簡単にレイアウト変換ができるため業務システムとのデータ連携も容易です。また、後者については、経済・社会環境の変化のスピードが早まるなか、当社にとっても成長戦略に合わせた迅速な意思決定と実行が非常に重要となっています。そのための判断材料として、経営陣からはさまざまな観点から情報を収集・分析したレポートを求められます。その点、FX5のデータから容易にレポートを作成することができる「マネジメントレポート設計ツール」は大変重宝しています。

前島美佳課長
前島美佳課長 例えば、全国の店舗を都道府県別やブランド別、出店年度別など十数種類の切り口でグルーピングして、さまざまな視点から情報を分析し、取締役会報告資料や管理資料として活用しています。「マネジメントレポート設計ツール」は、日常的に業務で使い慣れているExcelで利用できるため、操作で戸惑うこともありません。管理手法がどんどん進化しても、それに応じた新たなレポートを自分たちで自由に設計できるのは、まさに当社にぴったりの機能ですね。
――今後の課題は何でしょうか。
青木部長 やはり会計制度への的確な対応ですね。当社では、連結会計のために「eCA-DRIVER」を導入しています。会計制度がどんどん変わって、複雑になっていくと、単純にシステムを導入しただけでは的確な対応は困難です。特に当社の場合は、毎期のようにM&Aがあるため連結決算でも複雑な処理が発生するのですが、そんな場合でもシステムに精通した会計の専門家がサポートしてくれるので、安心です。
佐藤常務 TKCのシステムを利用しているというと、よく中小企業向けじゃないの?と驚かれるのですが、あれは大いなる誤解ですね(笑)。中堅・大企業ほど長く使い続けられるシステムが適していると思います。その意味で、TKCシステムは初期投資さえすれば、2年目以降は保守料金だけで制度改正等にもきちんと対応するため、改修費を心配することなく常に最新状態のシステムを利用でき、また毎年の予算も立てやすいですよね。そして何よりも、日々入力される会計情報がすべてのベースとなって、外部報告用の「制度会計」はもちろん、経営陣の意思決定や組織内部の業績測定・業績評価等に役立てる内部管理用の「管理会計」にまで利用できることは大きなメリットで、システムを長く使い続けている理由もそこにあります。いまや、経理部門は日常業務に追われるだけではなく、企業の成長戦略に合わせて業務を進化させていかなければなりません。地域社会に貢献する“かかりつけ薬局”として「日本最大のドラッグストアチェーン」という夢の達成に向けて、これからもFX5を駆使し、迅速な意思決定・実行を支えるプロフェッショナル集団としてわれわれもまい進していきます。
※ Excelは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
名称 | ウエルシアホールディングス株式会社 (旧:グローウェルホールディングス株式会社) |
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業種 | 医薬品小売 | |
代表者 | 高田隆右 | |
所在地 | 東京都千代田区神田須田町1-9 神田須田町プレイス |
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TEL | 03-5207-5878 | |
売上高 | 2388億円(連結/2010年8月期) | |
社員数 | 4,651名(2010年8月末日現在) | |
URL | http://www.welcia.co.jp/ |
※掲載企業様への直接のお問い合わせはご遠慮くださいますようお願いいたします。
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