ユーザー事例

TOTO株式会社 様

導入システム eConsoliTax/eTaxEffect

衛生陶器のトップランナーがグループ税務をさらに強化

衛生陶器国内最大手のTOTO。世界に冠たる『ウォシュレット』はその代名詞だが、社内にみなぎる革新性は製品開発分野にとどまらない。連結対象企業は国内外に61社。その税務グループガバナンスにも最先端のノウハウを構築中だ。同社経理部の砂村博和部長と篠崎孝文税務課課長、髙木健三郎氏に話を聞いた。

TOTO

「リモデル宣言」のもと顧客密着戦略を推進

──TOTOといえばどうしても『ウォシュレット』が真っ先に頭に浮かびます。

砂村 『ウォシュレット』で当社が広く世の中に知られたのは確かですが、もちろんそれだけではなく、衛生陶器、システムバス、システムキッチン、洗面化粧台、水洗金具などの水まわりを中心とした住設事業でお客さまの支持をいただいてきました。われわれの強みはテクノロジーです。いかに少ない水の量で流せるか、あるいは相性の悪い水と電気の融合など、高品質かつ先進的な技術で製品の優位性を築いてきました。

──新築よりもリフォームでの売り上げの方が大きいそうですが。

砂村 当社では、1990年代に入り主なターゲットを新築からリフォームに移しました。われわれは「リモデル」というコンセプトでこれを表現。1993年には「リモデル宣言」を発表してお客さまとの接点を大事にしていく理念を打ち出しました。「リモデルクラブ店」というパートナー施工会社がわれわれと一緒になって価値を訴求しながら売っていくというスタイルです。これは、一見非効率にも思えますが、お客さま満足向上には絶対に必要な施策だという判断をしたわけです。ちなみに現在、連結売上高4,526億円(2012年3月期)のうち、半分を超える55%が「リモデル」によるものです。

──その「お客さま満足追求」の姿勢が現在のTOTOのブランド力となっていったわけですね。

砂村 そうだと思います。たとえば、当社は2012年の日経リサーチによる「企業ブランド調査」で第4位に選ばれました。これも長年の間、「リモデル宣言」のもとでお客さまとの接点を大事にしていく姿勢を積み上げてきた結果だと思います。

──なるほど。地域に密着した戦略ということですね。

砂村 その意味では、ショールームの重視も地域密着戦略のひとつでしょう。ショールームの増設は当初は、投資家などから費用対効果についての疑問の声もあがりました。しかし、当社ではショールームをお客さま満足向上の重要なツールと位置づけ、商品を展示すると同時に、お客さまの相談窓口としても機能させてきました。すると、それまではどこに相談していいのか分からなかった方たちがどんどん当社のショールームを訪れるようになったのです。現在では、このような提案型ショールームが他社においてもスタンダードになっています。

──2017年の創業100周年に向けて『TOTO Vプラン2017』という長期経営計画を推進されておられます。

砂村 2017年に売上高6,000億円、営業利益480億円、ROA10%達成が数値目標ですが、そのためには「マーケティング」「サプライチェーン」「ものづくり」「マネジメントリソース」のそれぞれの分野でイノベーションを強く志向・実践していくことが必要です。また、台湾、中国など東アジアを中心に海外でのマーケットも拡大してきています。人口減少社会が予想される国内での急激な拡大はもはやのぞめませんから、活況著しいアジアや手つかずに近い欧米市場を含め、海外での戦略が今後の当社成長のポイントになることは確かでしょう。

本社とグループ会社とのコミュニケーションが向上

──現在、関連会社は何社ですか。

篠崎 国内31社、海外29社です。そのうち、連結納税対象会社は国内の29社です。

──連結納税制度の導入を検討されたのはいつですか。

篠崎 平成22年度の税制改正大綱が公表された時です。同大綱では、まず、グループ会社の繰越欠損金の持ち越し制限が緩和され、連結納税の最大のマイナス要因が小さくなりました。それから、グループ会社の中小法人特例が不適用になり、単体納税のメリットが縮小された。これらが検討を開始した大きな理由でした。

──結果的に導入に至りました。

髙木 詳細なシミュレーションを行って定量的な効果を量った結果、事務作業負荷の増大などデメリット要因も見込まれましたが、所得通算による節税効果、繰越欠損金の有効活用などメリットがそれを上回ると判断し、2012年3月期からの採用を目指し、2010年7月にプロジェクトをキックオフしました。

──その後のプロセスはどうでしたか。

篠崎 まず社内の人員体制を構築しました。本体の経理部6名とグループ会社の経理担当者や各社の顧問税理士との連携を強固にし、さらに、システムの自社開発は行わず、外部のパッケージソフトを利用することを決めました。

──そのパッケージソフトですが、なぜTKCの『eTaxEffect(税効果会計システム)』と『eConsoliTax(連結納税システム)』を採用されたのでしょう。

髙木 連結納税の計算ソフトを取り扱っている会社はTKCさんだけではありませんから、採用ソフトの選択には慎重な検討を行いました。具体的には「費用対効果」「導入実績」「入力形態」「セキュリティ」「コンサルティング」「サポート体制」「税制改正対応」などの面から各ソフトを点数化し、比較を行いました。結果、総合点でTKCのソフトが高い評価だったということです。

──どのようなところの評価が高かったのでしょうか。

髙木 まず導入実績が豊富で市場シェアが高いということ。それから、税制改正に対応するスピードや正確性が期待できること。さらに、費用対効果が高かったことです。また、導入後に実感したのは、税理士法人岩崎会計の岩崎博信、古屋賢明両先生のサポートのありがたさです。1年以上、われわれ本社スタッフはもちろん子会社の経理担当者への教育なども含め、全面的、継続的にコンサルをいただきましたが、実際、岩崎会計のサポートなしでは連結納税の導入は難しかったと思います。

岩崎博信税理士 万全のコンサルティング体制を整えるため5名を投入し、それぞれの役割分担を決めた上でご支援させていただきました。私はグループ会社への説明会(計6日間)における連結納税の仕組みの解説とシステムの操作方法の講義を担当しました。電話での対応は主に古屋が担当し、かなり鍛えていただいたと思います(笑)。

髙木 分からないことがあれば、すぐに岩崎先生のところに電話してましたからね(笑)。とても一生懸命対応していただいたという印象です。

──確定決算および申告時のプロセスを簡単に教えてください。

髙木 2012年3月期の例でいうと、まず、本社とグループ会社が、税引前当期純利益を確定し、12年4月10日にそれぞれ『eTaxEffect』への入力を開始します。そして、12日に税効果額を確定。並行して11日から『eConsoliTax』への一時入力をスタートして16日に完了。そして、17日、19日、20日の3日間、グループ会社の担当者を集めて、説明会と入力内容確認会を行いました。ここでは『eTaxEffect』と『eConsoliTax』の結果が合致しているかの確認を行ったり、岩崎先生に『eConsoliTax』の操作・入力面でご説明をいただき、そして、5月1日に『eConsoliTax』への最終入力を開始し、7日に完了。本部で最終確認を行った上で31日に見込み納付を完了しました。

──今年2回目の連結納税を終えられました。感想は?

篠崎 1回目の経験や反省点を生かした対応ができるようになったと思います。グループ全体の税務レベルも徐々に上がりつつあります。また、本社とグループ会社とのコミュニケーションも増え、税務面でのグループガバナンス(連結経営)の強化につなげていく足がかりもつかめました。それから、実務面でいえば、税務に関連する会計処理方法などグループ内で税務処理基準の統一化がはかれましたし、事業や不動産の再編も機動的に行うことが可能となりました。

──今後はいかがでしょう。

髙木 課題は、マニュアル作業にならないよう、勉強会等を開催し制度の内容を理解した上での質の高い業務プロセスを確立すること、また、連結納税は属人的な作業なので、ローテーション可能なものにしていきたいと思っています。さらに、当社も含め、今後連結納税を行う会社にとってTKCの連結納税ソフトがより使い勝手の良いソフトになるように、ユーザー目線からお手伝いできればと考えています。

会社概要
名称 TOTO株式会社
設立 1917年5月15日
所在地 福岡県北九州市小倉北区中島2-1-1
TEL 093-951-2052
売上高 4526億円(連結:2012年3月期)
社員数 2万5000名(連結:2012年3月末現在)
URL http://www.toto.co.jp

『戦略経営者』2013年8月号より転載

掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、2013年8月現在のものです。
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