適切な連結納税申告と事務効率向上を実現
POSターミナル国内販売台数でトップの実績をもつ東芝テック。デジタル複合機の分野でもその活躍ぶりは目を見張るものがある。同社は「連結納税制度」を適用するにあたり
顧客ニーズを落とし込んだ商品ラインナップが強み

――東芝テックさんといえば、キャッシュレジスターやバーコードシステムの会社として有名です。
齋藤隆夫部長 POSシステムについては国内シェア50%を超えています。スーパーやコンビニ、飲食店など様々な業種に対応した製品があります。最近ではスイカ等の電子マネー決済が可能なPOS関連製品なども手掛けています。
POSやキャッシュレジスター及びバーコードシステム関連の事業を当社では「流通情報システム事業」と呼びます。そしてもう1つ、私たちのメーン事業といえるのが「画像情報通信事業」で、オフィス向けの複写機・複合機の製造販売をしています。近年とりわけ力を入れているのがデジタル複合機(MFP)。コピーだけでなく、FAXやカラープリンターとしての機能もあり、社内のネットワークに接続して使います。いわゆる「ドキュメントソリューション」を実現するオフィス機器として、今では多くの企業が採用するようになりました。
また、第3の柱として「特機・プリンター事業」も展開しており、特定ユーザー向けの専用端末機を販売したり、大型ポスターを印刷するための産業用印刷機に用いられるインクジェットヘッド等を供給しています。
――ここ数年の業績は良好だそうですね。
齋藤 5年連続で増収増益を達成しています。量販店やショッピングセンター向けのPOSシステムや海外でのMFPの販売が伸びていることが大きな要因です。二極化が進む国内の流通業界ですが、長期的にみれば復調の兆しがあり、そうした経営環境が需要の拡大につながっています。一方で、国内だけでなく海外での展開がうまくいっている点も好調な業績を支える理由の一つ。専門店向けのPOSターミナルの販売台数が伸長しているし、MFPについては北米や欧州を中心にフルカラー機の販売が大幅に伸びています。
――他社メーカーとの違いを鮮明に打ち出している差別化のポイントがあれば教えてください。
齋藤 市場の動向をふまえながら、ユーザーの要望に見合った商品を継続的に開発している点があげられると思います。さらに、その製品を国内・海外のマーケットに積極的に売り込んでいく「販売力」が私たちの強みです。ちなみに国内における顧客ニーズの吸い上げは、直販体制のもと、主に営業マンを通じて行っています。日常的に営業マンがお客様と連携を密にしているからこそ、細かい要望まで拾い集めることができるわけです。
海外については直販ですべてをカバーするのは難しいため販売代理店の協力も仰いでいますが、顧客の要望をできるだけ吸い上げていくという基本的な方針は同じです。 中国やインドなどのBRICs諸国を中心に複合機のカラー化は今後ますます進むはずなので、競合他社に負けない機能、コスト、品質、サービスの強化に努めながらグローバルな拡販を狙っていきたいと考えています。
――東芝テックさんを親会社とする連結子会社は国内外にいくつもあるとのことですが…。
齋藤 連結子会社は、国内14社、海外75社あります(前年度末)。海外の連結子会社は欧米を主体にした販売会社がほとんどですが、中国の深センにある製造子会社も含まれます。デジタル複合機の大半を深センの子会社で生産しています。
国内の連結子会社には、東芝テック製品のコール対応、定期点検などのサポート業務を担う「テックエンジニアリング」をはじめ、ソフト開発会社や製造子会社などがあります。国内14社の子会社のうち12社(100%出資子会社)が連結納税の対象となっています。
試験研究費の節税効果を狙い「連結納税制度」を導入
――「連結納税制度」は平成18年3月期の申告より適用したと聞いています。
齋藤 はい。グループとして連結納税制度を導入した場合、どんな節税のメリットが得られるかをシミュレーションしたところ、「試験研究費の税額控除」で単体申告よりも節税の効果が得られることが分かりました。それならばと適用に踏み切りました。連結納税制度のもとでは、試験研究費の税額控除限度額はグループ全体で計算します。親法人だけでは使い切れない試験研究費税額控除限度額をグループで利用することが可能になることから節税のメリットが得られるわけです。東芝テックでは製品開発にかなりの試験研究費をかけています。だからこの部分のメリットは無視できない。
――
前田浩一税務担当主任 「外国税額控除」(海外子会社の国内・国外の二重課税を排除するための控除)の対応が他社システムに比べて最も進んでいると判断した点が1つ。海外子会社がたくさんあることから、この部分にきちんと対応していることがシステム選びの絶対条件でした。
他にも、システムの操作性の良さを高く評価しました。連結子法人のなかには手書きでの納税作業しかやったことがない担当者もいることから、できるだけ扱いやすいシステムを選ぶことが求められていたんです。たとえば『eConsoliTax』には、税法上何か不具合な入力があった際、確認を促すメッセージが出てくる機能(「エキスパートチェック機能」)があります。はじめてシステムを扱う者にとってはとても助かる機能です。他社のシステムに同様のものがまったくなかったわけではありませんが、1番進んでいるように見えました。
――システム本稼働前のプロセスとして、どんな下準備をしましたか。
前田 親法人である東芝テックが指導的立場になっての「研修会」を実施しました。システムの使い方を子法人の担当者にも覚えてもらうため、延べ3回ほど行いました。研修会のなかでは、前年度の申告書を子法人各社に持ってきてもらい、それを実際にシステムに打ち込んでみて正しい入力ができているかどうか検証したりもしました。要は、前年度データを用いた“リハーサル”というわけです。各社がほぼ自分の希望通りの申告書ができるようになった段階で本番に突入することができました。
スピーディーな対応が期待できる「ヘルプデスク」
――実際に申告業務にシステムを活用してみての感想は?
前田 「連結納税申告書」を作成するにあたっての複雑な連結調整計算をシステムで自動に行ってもらえる点は、作業の効率化に間違いなくつながりました。それから、社内の会計システムや業務管理システムからCSV形式に切り出したデータを使って入力できる「データインポート機能」は本当に効果的な機能です。たとえば有価証券情報や直接税額控除などのデータをいちから一件一件入力するのではなく、他社内のシステムのデータをそのまま流用できるため、作業負荷がずいぶん軽減されました。
また、「ヘルプデスク」も私たちにとっては嬉しいサービスでした。メールで質問内容を送って、その返答が戻ってくるのにそれほど時間がかからない。連結子法人の担当者もヘルプデスクのサービスを有効利用しているようで、入力方法の疑問点などを事あるごとに聞いているそうです。
――会計事務所からのサポートを得られるという点も、
前田 税法改正の内容などをいつでも税務の専門家(
押田吉真税理士 電子申告によって必要書類をコピーして袋詰めするといった手間のかかる人的作業から解放されれば、その浮いた時間を申告書の精度を高めるのに使えるようになります。
――連結納税制度を導入したことで生まれた新たな効果といえば…。
齋藤 グループ全体の節税効果が得られたのはもちろん、それ以外にも連結子法人と今まで以上に連絡を取り合えるようになったという効果もあります。親法人と子法人との間にあった垣根が取り払われたような気がします。
「利益ある持続的成長の実現」というのがグループ全体の基本方針。グループの総合力を発揮するなかで、販売力、商品力をベースにした経営体質の強化を図り、さらなる成長を目指していきたいと思っています。
名称 | 東芝テック株式会社 |
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代表者 | 前田義廣 |
所在地 | 東京都品川区東五反田2-17-2 |
TEL | 03-6422-7000 |
売上高 | 5108億4500万円(連結) |
社員数 | 1万9958名(連結) |
URL | http://www.toshibatec.co.jp/ |
『戦略経営者』2008年4月号より転載
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