eTaxEffect・e-TAXグループ通算導入事例
グループ通算制度移行のため、システムを切り替えてグループの税務業務を効率化(その2)
決算時の監査対応資料の作成工数を80%削減!
東京製綱株式会社は、1887年に東洋初のマニラ麻ロープの製造会社として創業し、現在はスチール製ワイヤロープを中心に、スチールコードや各種エンジニアリング製品など日本国内の各分野で高いシェアを誇る鉄鋼二次加工メーカーです。
現在は「『トータル・ケーブル・テクノロジー』の追求により、世界の安全・安心を支える」を中長期的ビジョンに掲げ、独自の強みを生かし、様々な事業展開をされています。
今回は、連結納税制度からグループ通算制度への移行をきっかけに、TKC「e-TAXグループ通算」と税効果会計システム「eTaxEffect」へシステムを切り替えた経緯やその効果について、経理部の若林さんに話を伺いました。
グループ通算制度へ移行した経緯について教えてください。
当社は、2014年にグループ14社で連結納税制度を採用し、8年間連結納税制度下でグループの決算時の税額・税効果計算や法人税・地方税申告書を作成していました。連結納税制度は、税務上の欠損金や税額控除枠を有効活用するために採用しました。また、引き続き欠損金を有効活用するためにグループ通算制度に移行しています。
今回、システムを切り替えられた経緯をお聞かせください。
親法人の法人税の申告書作成等は基本的に私一人で担当しています。連結納税制度下における決算時の税額・税効果計算や法人税・地方税申告書を作成するため、自社の法人税・地方税申告書等の作成、子法人からアップロードされた申告書のチェック、子法人担当者の教育、子法人からの問合せ対応までをすべて一人で行うのに多くの労力を費やしていました。
従前のパッケージソフトで困っていたのは決算対応に要する作業時間でした。親法人で時間がかかってしまうと、子法人の決算スケジュールにも影響を与えてしまうので、決算早期化のため他に方法がないものかと検討を開始したことが切り替えのきっかけです。その他監査対応においても、グループ18社のデータを取りまとめた上で資料を作成する作業を大きな負担だと感じていました。
従前のパッケージソフトは、計算結果をPDFの帳票でしか取り出せませんでした。PDFの帳票で計算結果を追えないものや税効果の注記などは、別途スプレッドシートに数値等転記して作成していたので多くの時間を費やしてしまいます。例えば、税率差異の注記の「その他」の内訳や繰越欠損金の期限別解消スケジュールをスプレッドシートで作成しましたが、帳票を作成するだけで5日程要していました。
また、従前のパッケージソフトは、各子会社で作成した申告書等のデータをメール添付で収集して自社のパッケージソフトで取り込み、再計算していました。データの収集は煩雑な上、各社自分のタイミングでデータを修正できるので統制がききません。データの管理も各社任せで、データを取り違えてしまうことにより修正作業が追加で発生することも課題でした。
TKCのシステムを検討された理由を教えてください。
各社の連結納税システムを調べていた時に、ちょうどTKCが税効果会計システム(eTaxEffect)の体験会を実施していたので興味を持ち申込みました。eTaxEffectは、決算時の税額・税効果計算に特化していることと、他社事例が豊富で安心感があり、決算早期化を期待できたので本格的に検討を開始しました。
最初は、一番の課題である決算対応を中心に検討しました。申告業務は決算業務に比べると時間をかけられるので優先順位は高くありません。しかし、ちょうど電子申告義務化の初年度であり、TKCの仕組みでは簡単に財務諸表や勘定科目内訳明細書の電子申告データを作成できることが分かりましたので、最終的には決算と申告の両方の切り替えを本格的に検討することにしました。
採用の決め手について教えてください。
やはり、税効果会計システム(eTaxEffect)の充実した機能に魅力を感じました。まず、決算時の税額・税効果計算に特化しており、①単体納税・連結納税両方のロジックを搭載している②帳票データ等をCSVファイルで取り出せる③税率差異の内訳や計算過程の帳票が豊富④税額・税効果の仕訳・注記を自動作成してくれる⑤将来の税額シミュレーションができる、といった点が非常に効果的だと思いました。また、他の上場会社でも多く使われている実績があることも安心材料です。その他、クラウドシステムで子法人とのデータのやり取りや進捗管理が大幅に効率化されること、仕訳自動作成で子法人の税額・税効果の仕訳を統一できる、といった機能にも期待が持てました。
実際にシステムを使ってみての印象や効果を教えてください。
1番の課題だった、監査対応資料の作成工数は5分の1に圧縮できました。これまで作成に5日かかっていましたが、eTaxEffectの帳票(CSVファイル)をそのまま根拠資料として提出できるようになったので、監査対応資料の準備に1日かからないようになりました。また、eTaxEffectから出力した帳票(CSVファイル)をそのまま使うので、監査法人から加工した数値の根拠などの提出を求められることもなくなり、監査対応がとても楽になったと実感しています。
次に、仕訳自動作成で子法人の税額・税効果の仕訳を統一したことでデータチェックが効率化できました。従前は連結決算業務で各社のデータを横並びにしてチェックしていましたが、各社バラバラで煩雑だった仕訳のチェックがずいぶん楽になりました。
あとは、データのやり取りがなくなりデータの修正・確認が迅速にできるようになったり、各社の業務の進捗をシステムで確認し、遅れている子法人に対してこちらからアプローチできるようになったりとグループの決算業務全体が効率化されたと感じています。
当社は、グループでeTaxEffectを利用していますが、監査の資料作成等で苦労されている上場会社にとっては、1社利用でも十分効果的だと思います。
申告業務では、財務諸表等の添付書類の電子申告がかなり効率化できました。当初、電子申告義務化の対応では、各社財務諸表等の添付書類の電子申告に苦労していました。国税様式のファイル作成に時間がかかり、電子申告データのエラー情報が一回で解消できず、エラーがなくなるまで作業を繰り返すことに時間がかかっていたのです。その負担が大幅に軽減できました。
国税は親法人で電子申告しており、従前のパッケージソフトでは子法人1社に2~3時間、18社で3日くらいかかっていましたが、TKCのシステムでは1日で終わるので大幅に業務効率が改善できています。
名称 | 東京製綱株式会社 | |
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設立 | 1887年(明治20年)4月1日 | |
所在地 | 東京都江東区永代二丁目37番28号(澁澤シティプレイス永代) | |
従業員数 | 517名(単体) 1,519名(連結)※2023年3月期 |
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売上高 | 397億6,600万円(単体) 671億3,500万円(連結)※2023年3月期 |
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URL | https://www.tokyorope.co.jp/ |
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