連結決算業務のシステム化でコスト削減と属人性排除に成功

高い技術力とグローバル展開に定評がある中堅工作機械メーカー・滝澤鉄工所。近年の追い風にうまく乗りつつ、業務改革にも積極的に取り組んでいる。そのひとつが連結会計のシステム化。管理部の林田憲明取締役部長、石田浩太郎次長、齋藤祐一主任と、税理士法人福原・嘉崎会計事務所の福原一義氏、大田淳一氏の両税理士・公認会計士に話を聞いた。
──創業は?

林田憲明取締役執行役員管理部長
林田 1922年です。工作機械の原点ともいわれる「旋盤」メーカーとして誕生しました。以来、90余年にわたって専業メーカーとして工作機械をつくり続けています。
──具体的業容を教えて下さい。
林田 主力製品であるCNC旋盤、マシニングセンター、ドリルセンター、普通旋盤といった単体機械から自動化ラインのFAセル、FAシステムまでさまざまなニーズに応える幅広いラインアップとスピーディーな技術対応で、自動車をはじめ一般・電気・精密機械などの製造業や官公庁、学校まで、グローバルかつ幅広いユーザーに活用されています。
──強みは?
林田 まず品質です。生産機種別に分かれた組立ラインでは、それぞれの機械に応じた工程ごとの品質管理を行い、レーザー測定器により完成総合検査を実施しています。品質保証こそマザーマシンである工作機械をつくる当社の使命だと考えています。また、お客さまごとのニーズに柔軟に対応できるカスタマイズ技術も強みのひとつです。
──今後の課題は?
林田 業界受注高の伸長に頼るのではなく、業界内でのシェアアップと収益性の向上が今後の業績拡大のポイントになるでしょう。そのためには、工程管理を徹底し設計から出荷までの生産状況の「見える化」による生産性向上と短納期対応に加え、あらゆるセクションでさらなる業務の効率化を進めます。
安全性と機能性に高い評価
──連結会計システム導入を決断された背景は?

石田浩太郎次長
石田 全社的に業務の効率化を推進するプロジェクトがあり、そのなかで経営陣からスプレッドシートを使って連結決算を行っていることに問題視する声があがったのがきっかけです。そこで一番に指摘されたのは属人化でした。
齋藤 担当当初、スプレッドシートに組み込まれている関数が難解だったことや、リンクが多く、フォーム修正等がどのファイルに影響するか把握できるようになるまで時間がかかりました。
石田 私が長期にわたり担当してきましたが、連結会計は単純ではないので、それに対応するためにスプレッドシートが複雑化してきたのだと思います。それから、子会社からスプレッドシートを回収した後、別のスプレッドシートに転記して集計する作業などはかなり手間がかかっていましたね。
──『eCA-DRIVER』選択の理由は?
齋藤 最終的にTKCさんに決定した理由は、第1に会社の規模と導入実績。とくに製造業への導入が多いことがプラス材料でした。第2に、クラウド運用でデータセンターを自社で所有されていること。当社の情報管理課からもサーバ管理から解放され楽になることや、安全にデータを保管してもらえ、障害発生時は迅速な対応が期待できると肯定的な意見をもらいました。第3は機能面です。データ連携が容易にできるので、『eCA-DRIVER』導入前から利用しているスプレッドシートの連結パッケージ資料(注記を含めて約30シート)をそのまま継続利用することで、子会社に負担をかけずに導入できること。実際、回収した連結パッケージ資料は『eCA-DRIVER』の各項目に全社・複数パッケージを一括で連携されるように設定できました。それから、データを自動的に切り出して管理帳表をつくることができる『マネジメントレポート(MR)設計ツール』が非常に有効であると感じたことが挙げられます。

──導入時に工夫した点は?
齋藤 連結パッケージ資料の取り込みを効率的にするため、シートを統合する等、一部構成を見直しました。また、単なるシステム導入で終わらせないように、既存の会計システムの勘定科目を増やし、後工程での金額の抜き出し作業を排除しました。そして、属人化を排除するため、マスタをしっかり組み、誰がやっても同じ答えがでるようにできたと思います。
──福原・嘉崎会計事務所によるコンサル体制はいかがでしたか。
齋藤 導入の局面で、前期のデータを入れてシミュレーションを繰り返しましたが、その際に福原・嘉崎会計事務所の専門家の視点からのバックアップがありがたかったですね。エラーが出たり、すんなりいかない部分を、みんなで解読しながら着実に前に進んでいったという感じです。

福原一義税理士・公認会計士
──福原先生のご感想は?
福原 われわれは、制度面での理解と具体的システム操作の間を取り持つ役割だと考えています。実務は大田(淳一税理士・公認会計士)が主として行いましたが、印象としては担当のお2人の能力が高いので良い形で導入できたとの報告を受けています。それと、間接部門になかなかお金をかけたがらない企業が多いなか、トップダウンで導入方針が決められ、それがすぐに効果に結びつく例は珍しく、感心しました。費用対効果もきちんと測定されて現場の対応もしっかりしておられます。
──具体的な効果は?
齋藤 3月決算の数字では、決算作業や注記、管理資料を含め、従来と比較して8時間相当の工数の削減ができました。それに加えて、帳表やドリルダウン機能が充実しているため、分析の依頼を受けたときの対応が迅速化し、実際の削減時間はこれ以上になると考えています。
──監査への対応については?

齋藤祐一主任
齋藤 かなり楽になりました。従来は要求された資料を渡す必要がありましたが、いまでは監査法人にアクセス権を付与し、必要な資料を閲覧してもらっています。連結・個別の精算表には二期比較の標準機能があり、また、ほぼ全ての帳表をCSVで切り出すことができますので、よりデータの検証作業がしやすくなっていると思います。
──今後はいかがでしょう。
石田 注記は『eCA-DRIVER』でセグメント情報を利用していますが、税効果注記も、次回の本決算から利用予定です。また、直近で、開示システムは『X-Smart.Advance』にバージョンアップしたため、注記情報まで含めて連携するように準備しています。注記に必要な各社の元情報は『eCA-DRIVER』内に格納していますので、MR設計ツールを用いて『X-Smart.Advance』のフォーマットに合わせた注記情報を順次作成していきたいと思っています。
名称 | 株式会社滝澤鉄工所 |
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---|---|---|
創業 | 1922年8月 | |
所在地 | 岡山県岡山市北区撫川983 | |
売上高 | 267億円(連結:2015年3月期) | |
社員数 | 667名(連結:2015年3月31日現在) | |
URL | http://www.takisawa.co.jp/ |
『戦略経営者』2015年11月号より転載
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