ユーザー事例

スターゼン株式会社 様

導入システム ASP1000R/eTaxEffect/e-TAX償却資産

電子申告導入をきっかけにグループ税務の“生産性革命”に挑む

スターゼン株式会社様

電子申告の導入検討をきっかけに、ASP1000Rをはじめ「TKC連結グループソリューション」をフル活用してグループ全体の税業務を見直し“生産性革命”に挑むスターゼン株式会社。
同社経理本部グループ経理部の葛西一成室長と、プロジェクト本部システム部の清水亮部長に、その取り組みを伺った。

──御社の企業概要について教えてください。

清水亮部長

清水亮部長

清水 当社は1948(昭和23)年に設立し、創立70周年を迎えました。主な事業は食肉(牛、豚、鶏)の加工・販売と食肉加工品製造で、取引先はスーパーマーケットやコンビニエンスストア、ファミリーレストラン、ファストフードチェーンなど6000社以上に上ります。長年、B2Bを中心に事業展開してきましたが、消費者の生活スタイルの変化に伴い外食・中食市場が拡大しており、昨今、当社でもローストビーフやハンバーグなど食肉加工品の製造・販売に力を入れています。2018年10月には新たなハンバーグ生産工場も竣工しました。

葛西 当社グループはホールディングカンパニー制に近い体制で、親会社であるスターゼンには管理部門と営業・製造本部のみを設置し、その傘下に事業分野ごとに独立した会社を置いています。2018年3月末時点で子会社は23社(うち国内連結子会社は19社、関連会社は11社)です。
 私が所属する経理本部グループ経理部決算・税務室は、連結決算、決算開示、関係会社の税務、会計、固定資産などの業務を担当しています。

税業務の効率化へ浮上した解決すべき3つの課題

──電子申告の導入を検討した背景を教えてください。

葛西一成室長

葛西一成室長

葛西 当社では2年前(2016年)から電子申告の導入を検討してきました。実は、その過程で①申告書等の提出にかかる工数・コスト②申告書等の作成にかかる工数③子会社の税務データ管理──の3つの課題を再認識させられることになりました。
 以前は申告書の作成プロセスが統一されておらず、子会社ごとに市販ソフトやExcelを活用している状態で、一部には法人税・地方税のすべての申告書を手書きしているところもありました。この状態はミスの発生リスクが高く、業務効率の点でも早急な改善が必要でした。また、申告書提出の際には印刷、製本、封入、発送を手作業で行っていました。特に、全国各地に営業所や工場を持つ子会社では地方税の申告書提出のための作業に10時間以上かけているところがあり、これに伴う印刷・郵送などのコストも年々増加していました。
 さらに子会社の税務データ管理の点では、グループ各社が税金とそれに付随する税効果計算を行い、われわれ経理部門はさまざまな様式で報告された各社の資料から必要な情報を拾い出し、手作業で集計して税効果注記の作成や決算開示に利用している状況でした。これらを解決するため、「法人電子申告システムASP1000R」と「税効果会計システムeTaxEffect」を導入し、グループ全体の業務プロセスを統一することにしました。

──TKCを選択した理由は何ですか。

清水 当社では、将来的に連結納税制度の適用を視野に入れています。そのためには子会社のデータを一元管理し、ミスや漏れがなく処理できる体制整備が欠かせません。それをトータルに支援できるのはTKCのシステムだけでした。

──実際にシステムを導入されて、いかがでしょうか。

葛西 最大の効果は作業工数が大幅に削減され、ミスも減ったことです。例えば、ASP1000Rを利用して電子申告に切り替えたことで、これまで10時間以上かかっていた作業が1時間程度に短縮されました。これに伴い申告書の印刷・郵送にかかるコストも削減されています。また、申告書の作成では手書き処理など属人的な運用を排除できました。さらにeTaxEffectの活用により税額や税効果計算のプロセスを統一したことで、一元管理されたデータを容易にチェックできるようになり、早期の個別財務諸表の確定と連結決算の着手につながっています。お陰で、私の業務もかなり楽になりました。

電子申告義務化は税務業務改革の絶好のチャンス

──初めての電子申告に不安はありませんでしたか。

小松原貴志税理士

小松原貴志税理士

葛西 システム・コンサルタントの小松原貴志先生に、電子証明書の取得など事前準備から電子申告までサポートしていただきました。まったく初めての経験なので最初は手探り状態でしたが、実務者の支援を受けられたことは本当に心強かったですね。

──システムの円滑な導入・運用のため、さまざまな工夫もされています。

葛西 担当者を集めてシステムごとの研修を実施したほか、当社の業務に合わせた操作・運用マニュアルを作成するなど、子会社の担当者が迷わないように努めました。
 ところが、そこに立ちはだかったのが「人手不足」の問題です。これは当社に限ったことではありませんが、人口減少・少子高齢化に伴い経理担当者の確保は今後さらに深刻化していきます。社内の人材の育成に加えて中途採用も検討しましたが、特に地方の子会社では連結子会社として一連の決算業務ができる人材の確保は困難です。
 そこで、当社ではこの機にシェアードサービス方式の採用に踏み切りました。現在、連結子会社5社と持分法適用会社1社の決算、税金計算、申告業務を、スターゼンの経理本部に集約しています。

──今後の計画を教えてください。

「ローマイヤ」ブランドで展開する食肉加工品

「ローマイヤ」ブランドで展開する食肉加工品

葛西 大きなテーマは、連結納税制度適用に向けた体制および会計・税務の処理ルール等の整備ですね。加えて“電子化”をキーワードに、経理業務のさらなる効率化・簡素化を図りたいと考えています。
 すでに、「e-TAX償却資産」を採用して償却資産の電子申告を実施しました。これにより4時間程度かかっていた作業が15分程度に短縮されています。これも大きな効果ですね。また、納税についても国税は電子納税に切り替えました。一方、地方税も2019年10月には全団体が参加する共通納税の仕組みが整備される予定です。これが実現すると、複数団体への納税が一度の手続きでできるようになるので、大いに期待しています。
 さらに「TKC税務申請・届出クラウド」を導入し、各種申請届出の電子化も進めています。加えて、事業所税の電子申告も実施する計画です。関連したところでは、電子申告のために整備した電子証明書を社会保障関連手続き等へ活用することも検討中です。

清水 昨今、AI(人工知能)やRPA(Robotic Process Automation)などが話題ですが、技術革新が進むことでわれわれが抱えている課題の解決方法も刻々と変わっていくことでしょう。特に電子申告は定型業務も多く、最終的には作業の自動化も視野に入れています。TKCにはデータ連携機能の一層の拡充をお願いするとともに、最新のデジタル技術等の活用によるシステムのさらなる進化を期待しています。

葛西 スタートは電子申告の導入検討でしたが、その波及効果として当社ではグループ全体最適の観点から税務とその周辺業務の抜本改革の取り組みにつながりました。業務フローの見直しまで含めると1年がかりの作業で、なかなか大変でしたが、その分、効果も大きかったと感じています。
 いまや、電子化による非効率業務の解消は時代の流れといえるでしょう。
 特に、資本金1億円超の大法人は2020年4月1日以後開始事業年度より、法人税、法人住民税・事業税、消費税の電子申告が義務付けられています。子会社は対象外となるケースも多いと思いますが、だからといって「関係ない」と考えるのはもったいない。電子申告は税業務を見直す絶好のチャンスです。この機会に、ぜひグループ全体の税業務の“生産性革命”に取り組まれることをお奨めします。

会社概要
名称 スターゼン株式会社
設立 1948(昭和23)年6月
本社 東京都港区港南2-5-7
売上高 3,401億円(2018年3月期連結)
社員数 3,498名(2018年3月末現在)
URL https://www.starzen.co.jp/
掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、2018年11月現在のものです。
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