消費税改正を視野に、業務効率化を推進
e-TAX消費税で年4日分の工数を削減
新たな価値と豊かな未来を創造する双日グループ。総合商社として、国内外約410の連結対象会社が、世界約50の国と地域で幅広いビジネスを展開している。
今回は、同社グループの概況、主計部税務課の役割と消費税申告の電子化について、広報部報道課の川口惠担当課長、主計部税務課の児玉敏彦チームリーダー、石井俊樹主任に話を伺った。
成長軌道へ── Challenge for Growth ──
川口惠担当課長
川口 当社は、ニチメン株式会社と日商岩井株式会社の両社が、2003年4月に持株会社を設立し、翌2004年4月に合併して誕生しました。両社は、開国、明治・大正期の産業革命、戦後復興、高度成長といった近代日本の発展の過程で大きな役割を果たしてきた、日本綿花(ニチメン)、岩井商店・鈴木商店(日商岩井)を源流とする歴史ある商社です。日本綿花の発起人の1人である広岡信五郎は、某局にてドラマ化された広岡浅子の夫です。当社の歴史とはとても深い関係があります。
現在は、総合商社として貿易業のみならず、国内外における各種製品の製造・販売やサービスの提供、各種プロジェクトの企画・調達、投資ならびに金融活動など、グローバルに多角的な事業を行っています。
当社はこの10年、成長に向けた基盤固めに取り組み、2015年4月、「中期経営計画2017 ~Challenge for Growth~」を始動させました。成長軌道へと軸足を移し、より大きな価値創造を目指しています。
多様化する役割
──成長軌道へ移られる中、税務課の役割に変化はありますか。
児玉敏彦チームリーダー
当期純利益への意識向上により、税務課では、税務面での現場支援や投資判断の課税リスク調査といった業務が増えています。業績へのネガティブインパクトを未然に防止し、世界規模でのタックスリスクマネジメントを実行するため組織強化も行いました。国際と国内の2チーム体制とし、国際チームは主に海外の対応やBEPS対応を、国内チームは決算・申告の税務業務を行っています。税金は事業活動の全てに関わりますから、われわれの担当領域や役割は多様化していると言えます。
システム導入「三つ」の決め手
──「e-TAX消費税」を導入したきっかけを教えてください。
石井俊樹主任
これまでは、消費税の制度自体が大きく変わらなかったため、消費税の申告業務にそれほど問題を感じませんでしたが、5%から8%、さらに10%へと今後も制度変更が予想され、そのたびに申告書の様式変更に合わせてスプレッドシートをメンテナンスしていかなければならないことに不安と課題を感じていました。ちょうどその時に、TKCから「e-TAX消費税」の提案を受けました。
──導入の決め手は?
石井 三つあります。一つは効率化と正確性の向上です。e-TAX消費税を導入すれば、必要な項目を入力するのみで申告書の作成が行えます。これにより、申告書を模したフォームや税額を計算するためのシートなど、これまでスプレッドシートで作成していたものが不要になると考えました。また、電子申告をするために転記する必要もなくなります。
児玉 スプレッドシート作成や転記にはどうしても人の手を介するため、正確性を担保することが難しくなります。システムで自動的にできるのであれば、その問題を解決できると考えました。
石井 二つ目はTKCへの信頼です。当社では、TKCの連結納税システム(eConsoliTax)を2007年より導入しており、システムの信頼性や制度改正等への対応など、これまでの実績からTKCのシステムであれば問題ないと考えていました。そして、三つ目が価格です。金額的にも価値に見合っていると判断しました。
──実際にシステムを利用された感想はいかがですか。
石井 画面構成がわかりやすく、上から順番にボタンを押していけば電子申告まで完了できました。今では、若手の担当者でも困ることなく使えています。スプレッドシートだと、複数箇所に同じ金額を入力しなければならない場合があり、業務を引き継ぐ上でも手間だと思っていました。e-TAX消費税は、必要最低限の入力で、必要な箇所には自動で転記してくれるため、入力工数が少なく、一度説明するだけで引き継ぎも完了しました。何より、安心感があります。
さらに、出力帳表により、課税売上割合等のチェックが容易になりました。
当社の場合、年に4回、消費税の申告をしていますが、1回あたり1日は工数削減できており、その点でも導入したメリットを実感しています。
──最後に、今後の取り組みを教えてください。
児玉 日本企業が税務にかける人員数は、欧米に比べて圧倒的に少ない状況です。つまり、業務の効率化・簡略化・省力化を進め、頭を使う業務に人を配置しなければ、税務戦略の面でグローバル企業に後れをとってしまいます。既存業務の正確性を維持しつつ業務効率化を推進し、リソースを新たな分野へ振り向けることで、コンプライアンスの維持・向上、多様化する役割への対応に取り組んでいきます。
名称 | 双日株式会社 |
---|---|
設立 | 2003年4月1日 |
所在地 | 東京都千代田区内幸町2-1-1 |
資本金 | 160,339百万円 |
社員数 | 2,288名(2015年9月30日現在 単体) |
売上高 | 4,105,295百万円(2015年3月期連結実績) |
URL | https://www.sojitz.com/ |
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