株式会社SHIFT 様

急成長するグループの連結決算業務の効率化を実現

eCA-DRIVER導入事例

株式会社SHIFT様

ソフトウェアの品質保証、テスト事業を主要事業として手掛け積極的なM&Aにより急成長を続けているSHIFT。2023年にTKCの連結会計システム『eCA-DRIVER』を導入し、連結決算の業務分散と効率化を実現している。『eCA-DRIVER』を導入したきっかけや、業務の効率化について、管理本部経営管理部経理グループの阿部グループ長をはじめとする同社経理グループの皆さま、そしてシステム・コンサルタントの安藤善教公認会計士・税理士、山浦太一公認会計士に話を聞いた。

貴社の概要や企業理念などを教えてください。

経営管理部経理グループ 阿部祐基氏

経営管理部経理グループ
阿部祐基氏

阿部 SHIFTは代表取締役社長である丹下が2005年に一人で設立した会社です。創業から数年間は、コンサルティング業務を行いながら、さまざまな事業を模索していたのですが、あるお客様とのお仕事をきっかけに、2009年11月からソフトウェアのテスト事業を始めたという経緯があります。それ以降は、ソフトウェアのテスト事業を主要な事業として行っており、2014年にマザーズへ上場、2019年に東証一部へ鞍替え、2022年にはプライム市場に移行しています。
現在、SHIFTグループ内の各社で業務を連携し、サービス開始から運用までをSHIFTグループ内でサポートできるよう積極的にM&Aを行っており、昨年2023年には、10件のM&A(開示ベース)を実施しました。
SHIFTの企業理念は、“新しい価値の概念を追求し、誠実に世の中に価値を提供する”です。
SHIFTでは、事業を創造し、世の中の人が幸せになるサービスを創ることが企業の使命だと考えています。
そのためには、優秀な人材を集め、彼らの知識から世界で必要とされる製品・サービスを創造し、それを世界中の人に使ってもらうことで世の中に貢献したいと考えています。
また、SHIFTでは、単純に利益を追求するのではなく、自らのビジネスが“社会課題の解決”につながることを常に考えながらビジネスを行っています。
SHIFTでは多重下請け構造や、ITエンジニアの方々の労働環境があまり良くないということを一つの社会課題として捉えており、それを解決したいとの思いがあります。そのため、システム開発を請け負う企業である「SIer(エスアイアー)」の下請けにはならないとの考えがあります。もしSHIFTがSIerの下請けになると、SHIFTで働くITエンジニアの給料が少なくなる構造ができてしまいます。
現実問題として、それが2重3重になっていることがあり、頑張っているITエンジニアの給料が低くなっている現状があります。
それを打破するため、SHIFTでは二次請け、三次請けにはならないことを原則とし、ITエンジニアの給料を上げることを目標にすることで、結果として社会課題の解決につながるようにビジネスを行っています。

連結会計システムを導入したきっかけを教えてください。

経営管理部経理グループ 田原洋輔氏

経営管理部経理グループ
田原洋輔氏

田原 私は2019年3月にSHIFTに入社し、その当時から20社ほどの連結決算を行っており、サブ連結グループもすでに1グループある状態でしたが、その業務をスプレッドシートで行っていました。
その当時から、“この規模感の連結決算処理をスプレッドシートで大丈夫なのかな?”との不安がありました。
私は以前、監査法人に勤務しており、比較的大きなクライアントを担当していたこともあって、一定の規模感の会社ではシステムを使用して連結決算を行うことが一般的だと思っていました。一方で、当時のSHIFTでは、各社からスプレッドシートで試算表や仕訳日記帳を受け取り、それを加工して単純合算表を作成していました。また、仕訳日記帳から勘定科目・数字を集計して、債権債務・取引高の相殺などの連結調整を作成していました。この一連の工程をすべてスプレッドシートを使って行っている状態であり、今後もM&Aを続けた場合、“いつか限界がくる”と思っていました。しかし、当時の経営管理部部長がシステムの導入に難色を示しており、スプレッドシートでの連結決算処理を実施していき、時が過ぎていきました。
その後、現CFOの入社をきっかけに、システムを導入したほうが良いとの風潮が生まれました。CFOの考えを後押しするかたちで当時の部長を説得し、連結会計システムの導入を決めることができました。

『eCA-DRIVER』の導入を決めたきっかけを教えてください。

田原 私に連結会計システムの知見がないため、情報システム部と相談の上、『eCA-DRIVER』を含む3つのシステムが候補として挙がり、導入の検討を開始しました。
TKCのみなさんがいる前で申し上げにくいですが、『eCA-DRIVER』という連結会計システムが存在することをこの時に初めて知りました。
その後、資料請求を行うとともに、この3システムのベンダーとのミーティングを実施しました。
ミーティングに出席した担当者のうち、2名が連結会計システムを過去に使用した経験があったのですが、その経験やミーティングで聞いた話の内容と、SHIFTが求める要件を照らし合わせて、1つのシステムについては、システムデモを見せてもらう前に対象からは外すことになりました。そのあと、『eCA-DRIVER』ともう1つのシステムでの検討になりましたが、その際の選定ポイントは、“グループ各社への負担を軽くする”という点でした。
SHIFTグループでは、M&Aによりグループに加入している会社が多く、個別財務諸表における科目体系が統一されていない状況です。もう1つのシステムは、基本的には科目体系の統一を前提として使用するシステムで、グループ各社が自社の個別財務諸表を連結決算用の科目に組み替えた後の情報を連結パッケージに入力することになるので、各社への負担が大きく、科目体系が統一されていないSHIFTグループでは対応が難しいとの考えがありました。対して、『eCA-DRIVER』では科目体系が統一されていなくとも、それをカバーする方法があらかじめ用意されているため対応は可能であると考えました。

山浦佑太税理士事務所 公認会計士・税理士 安藤善教氏

山浦佑太税理士事務所
公認会計士・税理士 安藤善教氏

安藤 監査法人に所属していた際に、今回選定から漏れたシステムを使用している会社に伺う機会がありましたが、連結グループとして科目体系が統一されていない場合、『eCA-DRIVER』の方が、親会社として柔軟に運用できるかもしれませんね。

田原 また、費用面も選定時の大きなポイントでした。
もう1つのシステムは、ユーザライセンス数により課金されるのに対して、『eCA-DRIVER』はデータ容量で課金される点が大きく違いました。SHIFTグループでのシステム運用方針としては、M&Aによるグループの拡大を見据えて、各社のデータをシステムへ入力する作業は、各社の担当者に行ってもらうことを前提と考えていました。会社数が多くなれば、ユーザライセンスが多くなるため、もう1つのシステムでは、会社数が多くなればなるほどその分だけ費用が多く発生することになります。そのため、『eCA-DRIVER』の方が明らかに費用面では安く、予算が通しやすかった点がありました。これも『eCA-DRIVER』に決めたきっかけとしては大きかったと思います。

阿部 以前のスプレッドシートで対応している時には、連結決算の業務において、グループ各社に行ってもらうことはほぼない状態で、グループ各社から試算表や仕訳日記帳などの資料を送付してもらう程度でした。
そのため、連結会計システムの導入に伴い、グループ各社に作業を行ってもらうことはハードルが高い状況でした。
今でこそ、SHIFTグループに加入する会社には、『eCA-DRIVER』の利用環境設定や入力の作業をお願いしていますが、例えば、SHIFTグループに入る前も上場会社のグループ会社だった会社と、いままでは税務申告に対応することを主眼に決算を組んでいた会社とでは経理のレベルも異なります。このような経理のレベルがまちまちの状態で、グループ各社に一様に連結科目への組み替え作業や、連結パッケージへの入力作業の全てをいきなりお願いすることは難しかったと思います。そのため、グループ各社への負担を可能な限り軽くできるという点は、『eCA-DRIVER』の導入を決めた大きな要因でした。

『eCA-DRIVER』導入前の連結決算業務の課題とシステムの導入効果をお聞かせください。

田原 お話していたとおり、『eCA-DRIEVR』を導入する前は連結決算業務をスプレッドシートで運用することにより自由度が高い仕様であるため、その分誤りが発生しやすいという点が大きな課題でした。
また、連結決算の対応をSHIFTの経理担当者が分担して行っており、入力ルールを統一していなかったがゆえに、担当者ごとに異なる連結調整を行っているようなことが頻発し、そのチェックと修正に多くの工数が発生していた点も課題になっていました。

阿部 当時使用していたスプレッドシートには、チェック機能も組み込まれていたのですが、担当者の異動に伴い、そのチェック機能が正しく運用されなくなり、結局はそれぞれのセルをチェックしなければならないような状況でもありました。
また、連結対象の会社が増えるごとに、連結精算表のシートに列が追加されていきます。その際に、何かの拍子に関数の参照セルがずれてしまい、エラーが表示されるようになってしまったこともありました。そういった点もスプレッドシートでの運用における課題でした。

田原 特に、連結キャッシュ・フローのスプレッドシートはそれが顕著でした。どのような仕組みになっているかを後任担当者が解読するにはかなり苦労しました。
スプレッドシートでの運用を起因とするそのような課題については、『eCA-DRIVER』の導入により多くが解消されたと思います。
『eCA-DRIVER』では、単純合算まではほぼ自動で、連結調整の仕訳の計上もその多くが自動で行われます。スプレッドシートによる運用時での処理とは大きく異なり、処理の誤りを生む原因の多くを減らせています。なお、現在、月次と四半期で連結決算の業務を行っているのですが、連結精算表、連結キャッシュ・フロー、セグメント情報の作成において、その処理内容の精度も上げることができたと思っています。
また、スプレッドシートで対応していたときには、各社間の取引のリコンサイル(会社間でのデータの照合)を十分に行っておらず、差額が生じた際に、半ば機械的に差額の調整を行っていました。『eCA-DRIVER』の導入により、そのリコンサイルをグループ各社に実施してもらうことで、各社からのコメントも上がってくるようになっており、そういった点からもかなり精度は上がったと思います。

阿部 連結決算における結果の数値情報をチェックする立場からすると、スプレッドシートだけで運用していた時と比べて、連結決算に関する仕訳が問題なく登録され、正しく残高に反映されているかなどのチェックがしやすくなった点があります。それにより連結決算の精度向上にもつながっていると思います。
例えば、前月の連結決算データに登録されている調整仕訳が、当月の連結決算データに登録されているかは、『eCA-DRIVER』のデータを比較する機能を利用すれば一目瞭然ですし、当たり前かもしれませんが、仕訳が登録されれば、それがすぐに結果に反映します。やはり、会計処理の結果は、残高が想定通りになっているか、という観点でのチェックが欠かせないと思いますが、スプレッドシートではそういった残高のチェックを行うにも、データを切り貼りして、関数が間違っていないかのチェックをして、それから数字のチェックをして、と多くの工数が発生していたので、作業の効率化につながっていると思います。

田原 セグメント情報について、以前の報告セグメントの区分では、セグメント間取引やセグメント内取引に関する細かい調整は必要ありませんでした。『eCA-DRIVER』の導入とちょうど同じタイミングで、報告セグメントの変更があり、セグメント間取引やセグメント内取引が多く出てくるようになったこともあって、セグメント間取引やセグメント内取引の調整が不可欠になっていました。スプレッドシートの場合、そこまで対応するためには、複雑なスプレッドシートを作成する必要があり、対応が難しかったと思います。『eCA-DRIVER』では、セグメント間取引の調整などがほぼ自動で行われ、そういった点でも『eCA-DRIVER』を導入して良かったと思います。

グループの拡大に伴う課題と『eCA-DRIVER』の導入効果はどのようなものがありましたか?

田原 サブ連結の作業で課題がありました。
具体的には、作業内容の属人化と、グループの拡大に伴うサブ連結作業の工数増加が課題でした。
SHIFTではグループ全体の連結精算表とは別にサブ連結の連結精算表を作っており、サブ連結グループごとにSHIFTの経理担当者が分担して連結精算表を作成していたのですが、作成ルールを統一していなかったがゆえに、担当者ごとに異なる連結調整を行っているようなことが頻発し、先ほどと同様、チェックと修正に多くの工数が発生していた点も課題になっていました。
また、継続的なM&Aによりグループが拡大しており、サブ連結グループも増えている状況のため、サブ連結の連結精算表を作成するための工数も課題でした。
この課題については、『eCA-DRIVER』の複数連結の機能を使うことで解消できました。
当然、『eCA-DRIVER』では、グループ全体の連結情報(科目などのマスター情報や個別財務諸表などの情報)からサブ連結の情報に共有することができます。多数のサブ連結グループがあっても基本的にはサブ連結の共有はマウスを数回クリックすれば自動共有されるため、スプレッドシートに比べてとても楽になりました。
強いていうのであれば、弊社はサブ連結グループが多く存在しているため、すべてのサブ連結グループの計算処理を、一括して行える機能が『eCA-DRIVER』に搭載されるとありがたいですね。

eCA-DRIVERのサポート面などでの印象を教えてください。

田原 システム・コンサルタントである安藤先生、山浦先生、並びにTKCのサポートが充実しており助かっています。
他の連結会計システムの状況はわかりませんが、導入時には専任のサポートがつきますが、それ以降はカスタマーサポートに依頼するのが一般的な流れだと思っています。
それに対して、『eCA-DRIVER』の場合、導入後の今でも安藤先生、山浦先生、TKCからのサポートが受けられ、それはありがたいと思っています。このサポート体制がなければここまでスムーズに『eCA-DRIVER』への移行はできなかったと思っています。
上場企業として、連結決算の業務を安定して完了できている点はそういったサポートに依る部分があると思っています。

『eCA-DRIVER』の運用における課題などがあれば教えてください。

田原 先ほど『eCA-DRIVER』では科目体系が統一されていなくとも、それをカバーする方法があらかじめ用意されていることを話しました。会計システムによっては、科目コードの情報が出力できない場合などがあり、そういった場合でも『eCA-DRIVER』の中で科目の変換を行いながら個別財務諸表等の読込作業を行っています。ただ、その場合、会計システムで科目体系に変更があった場合、どうしても変換設定に関する作業が発生してしまう点が現在の課題です。
また、慣れるとメニュー間の関係性なども理解できるようになりましたが、使い始めた当初はいろいろな処理が行える分、利用するメニューが多くなる点に苦労しました。
加えて、『eCA-DRIVER』のトップメニュー画面には、「連結処理」のほかにも様々なメニューがあり、私たちはまだ一部の機能しか使えていない認識です。
「照合システム」や「月別入力」など、他の機能についても、SHIFTにとって有効な機能があれば積極的に活用し、効率化を進めていきたいと思っています。

安藤 SHIFTさんでは経理グループの皆様で分担しながら、『eCA-DRIVER』の機能を余すところなく活用しようという意識が高いので、システム・コンサルタントとしては、とてもありがたく思います。
例えば、他社ではあまり使用していないような、開示関連の機能についても活用されています。
システムは、ユーザ様にしっかりと使っていただいて、ユーザ様からのご意見をフィードバックしてもらわないと、より良いシステムになっていかないと考えています。私は『eCA-DRIVER』のシステム開発担当者と直接会話する機会があるので、そういった立場からも、様々な機能に対してご意見をいただける点はとても感謝しています。
また、『eCA-DRIVER』の導入時は、通常業務もある中でご負担が大きかったことと思いますが、様々な点でコミュニケーションを図れたことが、現在の運用に繋がっていると感じます。今後も、可能な限りご支援したいと考えていますので、ぜひ色々なご意見をお願いいたします。

会社概要

株式会社SHIFT

設立
2005年9月
従業員数
13,069名(連結)2024年2月末時点
売上高
880億円(連結)2023年8月期
事業内容
ソフトウェアの品質保証、テスト事業
所在地
東京都港区麻布台1-3-1 麻布台ヒルズ 森JPタワー
URL
https://www.shiftinc.jp/
株式会社SHIFT
掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、2024年2月現在のものです。
※掲載企業様への直接のお問い合わせはご遠慮くださいますようお願いいたします。

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