ユーザー事例

株式会社アールシーコア 様

グループ経営の緻密化進めるログハウスのトップランナー

株式会社アールシーコア

創業以来『BESSブランド』で自宅用ログハウスなど、常に新たなマーケティング手法で市場を開拓し続けてきたアールシーコア。さらなる成長には、やや遅れ気味だった管理部門のIT化が必須と、急ピッチでの構築を進めている。その一つが連結決算のシステム化だ。浦﨑真人取締役、経理室の栗崎一富室長補佐、天野一郎主査、山本良子さん、コンサルタントの山岸崇裕公認会計士・税理士に話を聞いた。

「感性マーケティング」「農耕型営業」で躍進

──1985年、お仲間の5名で創業されたとか。

浦﨑真人取締役

浦﨑真人取締役

浦﨑 創業メンバーで社長の二木浩三が新たに何かを始めようと考えていた時に集まった5名で、当社を設立することになったそうです。その際に特徴的だったのが、何をやるかではなく、理想の会社を目指して「理念づくり」からスタートしたことです。「われわれは信用を第一とし、情報の具現化によって相互の利益を追求する」。これが経営理念です。加えて人事制度などを整備。根本を固めて、じゃあ事業は何をやろうかと……。普通とは逆のアプローチだったようです。

──いまではログハウス(『BESS』ブランド)では第一人者となられました。

浦﨑 そのログハウスもたまたまで、知人の要望で材木を輸入して八ヶ岳の麓の清里に建築したのが最初です。当時のログハウスは主に別荘として建てられていましたが、手がけてみると意外にも反応が良い。調べてみてこれはいけると、すでにいくつか行っていた事業と並行してスタートしました。

──感性マーケティング、農耕型営業などといった独特の戦略を展開しておられます。

浦﨑 当時のログハウスはお金持ちの贅沢品だったんです。そこで、何度かアメリカやカナダで建築のプロセスを視察するうちに、意外にも現地での価格は日本の半分以下。値付けがリーズナブルなんです。最初は別荘需要で結構なシェアをとったのですが、成長のために自宅向けの商品展開を決断。この試みは当社が初めてではないでしょうか。つまり、ブルーオーシャンだったんですね。だからこそ感性マーケティングが必要だったのです。

在来工法の人気シリーズ

在来工法の人気シリーズ

──というのは?

浦﨑 商品がそもそも個性的なので売り込みで買ってもらえるものではない。広告活動でお客さまの感性に訴えかけて興味を持っていただき、当社の展示場に足を運んでもらう。ハードの性能や設備のグレードも重要ですが、デザインも含めてとにかくワクワク感や心地よさを感じてもらうことが大切。なので、通常のような住宅総合展示場とは違い、当社の展示場には、「なんとなくおもしろそうだから」と来ていただく方が成約客の約6割を占めます。展示場で営業の話を聞いたところ、「意外と現実的なんだな」と気付かれ、お客さまによっては数年をかけて準備を整えて購入される方もおられます。つまり、お客さまを長い目で育てていく。その意味で「農耕型営業」なわけです。

──営業効率もいいようですね。

浦﨑 当社の営業の1人当たり年間売り上げ棟数は約6棟。業界平均では4.9棟という数字がでていますから、効率は良い方です。ログハウスのシェアは約53%と見ています。当社は市場調査を行いません。すでに顕在化されているものには興味はなく、潜在的な顧客のニーズを刺激することで新しい市場をつくっていく。だから、とくにログハウスにこだわっているわけではなく、いまでは在来工法の商品が、売上高の半分以上を占めるようになっています。さらに、住宅だけではなく商用施設や教育・医療施設への進出もスタートしました。このほかに、富士山麓の山中湖畔で、タイムシェア別荘事業も行っています。立ち並ぶBESSの家、1棟の建物を1週間単位で利用できる仕組みでご好評をいただいています。

BESS展示場

「マーケティングのパートナーシップ」の仕組みで、全国に43ヶ所(2015年12月現在)のBESS展示場を展開中

IT化をより推進し子会社をコントロール

──TKCの『eCA-DRIVER』を採用されたきっかけは。

栗崎一富室長補佐

栗崎一富室長補佐

栗崎 従来は、担当者が作り上げた複雑なエクセルシートを用いており、当然、標準化が必要でそのための手段としてシステム化すべきという考えに至りました。

──「複雑」とは。

栗崎 子会社の数は多くない(現在は3社)のですが、増減が比較的頻繁で、海外子会社(カナダ現地法人)の為替換算調整も煩雑です。また、子会社との固定資産取引が多く、その上これらが完全に属人化されていた。非常に危険な状態だったと思います。

──それらの悩みを『eCA-DRIVER』によって解消できたと。

栗崎 導入して4年目になりますが、狙い通りの効果はあったと考えています。連結決算処理の手順がメニュー化されていることだけでも大きな前進でした。導入まもなく2人の異動があったにもかかわらず、引き継ぎに苦労しませんでした。

──天野さんは2年前から担当になられたとか。

天野 連結会計の経験はあったのですが、システムを使ったことはありませんでした。なので、理屈は分かっていても、やはり海外子会社の為替を勘案しながら計算する部分は大変です。そこを簡単に処理できるところがとても印象的でしたね。

──山本さんは国内子会社を担当されているそうですね。

山本 はい。私は1年前から担当となりましたが、連結は一切やったことがなかったので最初は不安でした。ところが、入力するべきものが最初から決められているのでやりやすかったですね。個別会計、連結会計のメニューの区分けがはっきりしていて分かりやすいと思います。そのメニュー通りに入力すればまず大丈夫という安心感がありますから。

──コンサルティング体制はいかがでしたか。

栗崎 会計・税務の専門家である山岸(崇裕)先生に導入時から現在まで継続的に見ていただいていて、とても助かっています。海外子会社の増減などイレギュラーな事象の発生時にも、グループ間取り引きを理解されている山岸先生に適切なアドバイスをいただいています。最近では年2回にまとめて疑問点に応えてもらう形ですが、緊急時には電話やメールなどでお聞きすることもあります。また、連結精算表は、『マネジメントレポート(MR)設計ツール』を使って、『eCA-DRIVER』の数字と突合することで確実性を担保しているのですが、その検証用のフォーマットも山岸先生に作成していただきました。

山岸崇裕公認会計士・税理士

山岸崇裕公認会計士・税理士

山岸 当初はスプレッドシートでの処理をされていたので、そこからの脱却が第一だと考えていました。そのためには、仕訳を解明・整理してシステムに適合させていかなければなりません。そのステップがやや大変でしたが、次第に会社としての機微も分かるようになって、次第にすっきりとシステム化できるようになりました。為替が絡んだ仕訳は複雑で、ホワイトボードに書き出しながら、ああでもないこうでもないとやった記憶がありますね。

──連結CF計算書はMR設計ツールによる確認作業はされていないのですか。

栗崎 『eCA-DRIVER』の数字をダイレクトに使用しています。エクセルで連結CF精算書を作成することなく迅速な集計が可能になりました。同時に個別CF計算書を点検できるのも便利ですね。

──IT化という意味では、浦﨑取締役はどうお考えですか。

浦﨑 当社は、規模もそう大きくないし業態もシンプルです。ただ、社員数は200名弱と少ないですが、FCビジネスなので、事業に携わっている人はその3倍くらいになります。それだけにいろんな意味できっちりとIT化していかないとコントロールできなくなる危険性があります。上場会社でもあり、今回のTKCさんとの連携には重要な意味を感じています。

──今後の目標は?

浦﨑 中期計画として、2017年3月期に年商180億円、1600棟受注という目標がありますので、これを何とかクリアしたいと思っています。今期予想は年商130億円、1200棟受注と高い目標数字ではありますが、不可能とは考えていません。
 また、あくまでいままでにない市場を開拓するメーカーという立ち位置を堅持し、スマートハウスとローコスト住宅という2極化に巻き込まれない、「住宅事業の第3極」づくりに、これからも邁進していきます。

会社概要
名称 株式会社アールシーコア 株式会社アールシーコア

国産材を使用したログハウス

設立 1985年8月
所在地 東京都目黒区青葉台1-4-5
売上高 119億円(2015年3月期)
社員数 199名(2015年9月30日現在)
URL http://www.rccore.co.jp/

『戦略経営者』2016年2月号より転載

掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、2016年2月現在のものです。
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