e-TAXグループ通算導入事例
グループ通算制度移行のため、システムを切り替えてグループの税務業務を効率化
電子申告業務工数が80%削減!
株式会社明電舎は120年を超える歴史の中で培った「ものづくり力」と「サービス力」を強みに、国内のさまざまなインフラを支える重電メーカー。同社の企業スローガン「Quality connecting the next」には、「『人と技術のQuality』を高めて、人々や社会の明るい未来を創り、社会インフラの発展と産業の進化を支えていきたい」――という思いが込められている。
今回は、連結納税制度からグループ通算制度への移行をきっかけに、TKC「e-TAXグループ通算」へシステムを切り替えた経緯やその効果について、経理部の皆さんから話を伺った。
会社の事業内容について教えてください。
当社は1897年の創業から120年以上にわたり、電気の技術で社会インフラと産業の進化を支えてきました。皆さんが普段何気なく使っている電気、水道、鉄道といった社会インフラに当社の製品やサービスが使われています。電力を安定供給し効率的に運用するための変電・配電システム。太陽光などの再生可能エネルギーを利用した発電システムなども手がけており、様々な電源ソリューションを実現し安定的な電力エネルギーインフラの構築に貢献しています。
また1964年開通の東海道新幹線にき電設備を納入以来、安定走行のための電気設備やシステムが国内外の鉄道で幅広く活用されています。
国内No.1の製品をいくつも保有しているとか。
例えば、自動車などの動力計測を行うダイナモメーターの分野では、装置本体、計測システム、制御装置、コンピューター、実験室の工事を含む計測システムすべてを自社生産しているメーカーは業界内にほとんどなく、国内ではトップシェアを誇ります。
このほかにも、半導体製造装置などに使用される真空コンデンサーや、震災時等に活躍する電力会社の移動電源車などで高いシェアを獲得しています。
グループ通算制度へ移行した経緯について教えてください。
当社は、連結納税制度が創設された2002年にグループとして当制度を採用しました。連結納税制度を採用したのは、損益通算や税額控除枠を有効活用するという目的でした。以来、約20年間にわたり、連結納税制度のもとで決算時の「税額・税効果計算」や「法人税・地方税申告書」を作成してきました。
連結納税制度の廃止に伴い、2022年4月から始まったグループ通算制度への移行を決めたのは、引き続き損益通算を有効活用したかったことに加えて、既にグループで申告する体制があるので事務負担の増加もないものと判断したからでした。また、これまで親法人と協力して申告書等の作成をしていた子法人への配慮からも、単体申告へ戻ることは考えられませんでした。
グループ通算制度への移行を機に、システムを切り替えた経緯をお聞かせください。
実は、連結納税制度下で電子申告が義務化となったとき、従前のシステムで電子申告を実施したところ、想像以上に煩雑で業務の負担が増しました。
従前のシステムでは、連結法人のデータを切り出す→e-Tax(国税電子申告・納税システム)で読み込む→連結法人1社ごとに決算書や勘定科目内訳明細書などの添付書類をつける→電子署名をして提出、という流れで電子申告します。するとデータを切り出す時にエラーが発生したり、修正したデータをe-Tax等で読み込むと今度は別のエラーが出たりするなど、何度も手戻りがありました。例えるなら、“関所”が3カ所くらいある感じで、相当な事務負担がありました。
また、エラーが発生すると、ベンダーや国税e-Tax等に問い合わせするのですが、こちらが欲しい回答が得られなかったり、ひどい時には、たらい回しにされたりすることもあり、結局は自分たちで試行錯誤しながら解決するしかありませんでした。
そういうこともあって工数が増加し、電子申告の作業だけで1週間忙殺されていました。電子申告以前であれば、出力した申告書等を税務署に持ち込めば1日で完了していましたので、電子化によってかえって事務負担が増えるという皮肉な状況になっていました。
電子申告の作業工数の増加が大きな問題になっていたこと、そしてグループ通算制度が始まるタイミングだったことから、システムの切り替えを検討する良いチャンスとなりました。
TKCシステムを検討された理由を教えてください。
以前からTKCの担当者から連絡をいただいており、セミナーなどに参加していましたし、他社の事例なども紹介いただきました。実際に事例を見て決算・申告業務の工数削減が実現できるのではないかと期待を持ったのがきっかけです。
そこで、子法人にアンケートを行い、決算・申告業務で苦労している点や課題を集め、TKCシステムの機能やサポート体制、一気通貫の仕組みがどのようなものであるかを詳しく教えてもらうための質問票を作成。それをもとに、TKCさんに話を聞いてみることにしました。
採用の決め手について教えてください。
先ほどの質問票の内容についてシステムデモ等を交えながら説明してもらったり、また打ち合わせを進めていくなかでTKCシステムに関する理解を深めていきました。
特にサポート面については、とても手厚い内容で安心感がありました。これまでは、子会社から寄せられた質問はすべて親法人経由でベンダーへ問い合わせしていました。私たち親法人は自社の作業をしながらでしたので、子法人からの問い合わせ対応が遅れることもあり、非常に心苦しい思いをしていたのです。しかし、TKCさんのサポートは親法人を通さず子法人からも直接問い合わせできるということを聞いて胸をなで下ろしました。
電子申告については、「グループ通算申告システム(e-TAXグループ通算)」の中で申告書の作成から電子申告までが一気通貫で完結する点、決算書等の添付書類に関する操作が非常に簡単そうだという印象を抱きました。また、チェック機能が充実していてエラーを分かりやすく一覧にしたり、禁則文字を代替文字に自動変換したりできるという説明を聞いて、これまでの電子申告作業が劇的に改善されるイメージが湧きました。
さらに、法人税・地方税の申告書に加えて税務に関する申請書や届出書、消費税申告書の電子申告、電子納税などの機能も豊富で、子法人の皆さんにも満足いただけると確信しました。
税効果会計についてもTKCのシステムを導入されました。
当初、税効果計算は従前どおりスプレッドシートで対応しようと思っていましたが、「税効果会計システム(eTaxEffect)」を導入することにしました。決算時の簡易税額・税効果計算が標準化できる点が魅力的でした。
これまで決算時には、別々の仕組みで税額と税効果を計算していました。税効果計算シートは、昔から使っているシートをメンテナンスしながら使用していたため、正確性に不安もありました。eTaxEffectであれば、税額から税効果計算までが一連の流れで作業できるし、仕訳や注記などが統一されるので、子法人でも使い勝手が良さそうだと感じました。
実際にシステムを使ってみての印象や効果を教えてください。
電子申告について、体感では従前の工数が10とするとe-TAXグループ通算に変えてからは、1~2くらいの工数で完了している感じです。正直、初めてTKCシステムで電子申告したときは「え、これで終わり?」と思ったくらいです。子法人の皆さんから事後にアンケートを採りましたが、半数以上は「効率化された」と回答いただき、ほっとしました。
これまで、特にエラー対応で苦労していたのですが、e-TAXグループ通算の場合、わかりやすいエラーチェックや自動補正機能が備わっているので、何度も手戻りすることが無くなり、とても楽になりました。
また、添付書類については、決算書の独自フォーマットをCSVファイルで取り込めたり、科目内訳書のフォーマットから複数のシートを一括で取り込んで電子申告できるなど機能が充実しているため、効率的に作業ができるようになりました。
サポート面についてはいかがでしょう。
サポートに関しては、子法人がTKCのヘルプデスクへ問い合わせできるようになった点で大きく改善されました。それにより親法人の負担も格段に軽減できました。なお、子法人とTKCのヘルプデスクとのやり取りは親法人にも共有するようにしています。それがグループ全体に係る内容だったり同じ質問が出そうな場合には、先回りして親法人から他の子法人へその情報を共有しているので、子法人へのサポートも相当効率化されたと実感しています。
TKCのヘルプデスクはレスポンスも早いですし、とても丁寧に対応していただけます。また、年2回システム・コンサルタントの税理士の先生が来社され、税制改正の内容やシステムの改訂点などを解説いただけており、サポートに安心感があります。今後、子法人が追加になった場合であってもサポートが充実しているので全く心配していません。
今では、決算時の税額・税効果計算において、スプレッドシートは不要になりました。監査法人による監査もeTaxEffectから出力する帳表だけで対応できます。税効果会計の仕訳は、これまで「帳票のここの金額を使って、こういう仕訳で」と、事細かに指示を出していましたが、システムが自動作成した仕訳を使えるようになり、子法人にとっても分かりやすくなりました。eTaxEffectを導入して本当に良かったと思っています。
今後の取り組みについて教えてください。
現在、eTaxEffectの「MR(マネジメントレポート)設計ツール」という、eTaxEffectのデータをExcelで自由に出力・加工できるツールを利用して、連結決算の税効果の注記を効率よく作成しようとしています。フォーマット設定が終わりテストしてみたところ、これまで約半日かかっていた作業が10分もかからずに終わってしまいました。今後は、子法人や項目が追加になった場合にも、最低限のメンテナンスで注記を作成できるようになると期待しています。
このほかにも、地方税の納付手続きに手間がかかっているため、e-TAXグループ通算を利用して電子納税もしてみたいと思っています。
名称 | 株式会社明電舎 | |
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設立 | 1917年6月 | |
所在地 | 東京都品川区大崎二丁目1番1号ThinkPark Tower | |
従業員数 | 9,923名(連結)※2022年3月期 | |
売上高 | 2,550億円(連結)※2022年3月期 | |
URL | https://www.meidensha.co.jp/ |
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