導入システム eCA-DRIVER/FX5/ASP1000R
個別・連結決算から税務申告までTKCシステム採用で業務の最適化を実現
2011年6月の連結会計システム導入を皮切りに個別会計システム、法人電子申告システムなどTKCの連結グループソリューションを採用し、業務の最適化を図る極東開発工業株式会社。各システムの採用の狙いや効果について、同社財務部清水紳司様、曽我部哲平様に伺った。
──はじめに、会社の概要について教えてください。
写真右よりシステム・コンサルタントの大谷信介税理士・公認会計士、
同社財務部眞野公司様、牧野義生様
清水 極東開発工業株式会社は、特装車事業、環境事業、不動産賃貸等事業の三つの事業を展開しています。中でも売り上げの86%を占める特装車事業では、コンクリートポンプ車やダンプトラック、塵芥車(ゴミ収集車)などの働く車の製造・販売を行っており、特装車の総合メーカーとして、国内はもとより海外においても事業を展開しています。
当社財務部は、公認会計士2名を含む12名で構成されており、個別決算、税務申告、資金調達および計画・管理、連結決算、予算管理を担っているほか、移転価格税制対応として事業概況報告事項と呼ばれるマスターファイルの作成や国別報告事項の作成なども担当しています。また、海外を含む関係会社の業務指導も行っており、私はインドネシアの子会社に、曽我部もインドの子会社に足を運んでいます。
属人性の排除などを目的に連結会計システムを導入
──TKCシステム採用の経緯について教えてください。
清水紳司様
清水 2011年にTKCの連結会計システムeCA-DRIVERを採用したところからはじまりました。それまで、連結決算はスプレッドシートで行っていました。具体的には、各子会社で作成したレポーティングパッケージを回収し、本社で取りまとめるというものです。債権債務残高や内部取引高の差異の検証、修正についても、親会社側で一括して行っていましたが、多くの時間と労力がかかっていました。加えて、スプレッドシートでは、作成した本人もしくは知識のある人間でないとシートのメンテナンスが困難であることや、当時、IFRSの強制適用が騒がれる中、このままの運用を続けてよいのかが部内の課題となっていました。
そこで、これらの課題を解決するため、システム導入の検討を行いました。システムの選定では、①属人性の排除②連結決算業務の効率化③会計監査対応の強化を目的に掲げ、TKCを含む3社に声をかけ比較を行いました。
──その中で、TKCのシステムを採用した理由は
清水 ノンカスタマイズで利用できる点を評価しました。他の2社は、多くの部分でカスタマイズが必要でしたが、TKCのeCA-DRIVERは、業務の流れを一部システムに合わせることで標準パッケージでの運用が可能でした。また、クラウドサービスという点も評価しました。社内にサーバーを設置する場合に比べ、コスト面でも管理面でも負担軽減が図れます。自社のデータセンターを利用している点も安心できました。
──システム導入の効果は
豊富なラインアップと国内トップシェアを誇る特装車
清水 大きく四つあります。まずは、課題となっていたメンテナンス面での不安を解消できたことです。制度改正があった場合や新規設立・買収などでグループ会社数が増加した場合など、自分たちでスプレッドシートをメンテナンスしなければなりませんでしたが、その必要がなくなりました。実際、システム導入後に子会社が6社増えましたが、システム・コンサルタントである税理士の存在やTKCのサポートもあり、スムーズに対応することができました。
二つ目は、連結決算に係る時間を短縮できたことです。子会社の担当者が直接システムに入力し、かつその状況も確認できるため、債権債務残高や内部取引高についても差異の確認、修正作業が子会社間でも可能になりました。
三つ目は、会計監査対応の強化が図れたことです。システムの利用IDを監査法人にも付与することで、監査法人が直接システムを閲覧できるようにしました。これにより、監査時に別途提出していた書類の作成が不要になるなど、監査対応に必要な業務の効率化を図ることができました。
そして四つ目が、経営層向けの資料作成を自動化できたことです。「マネジメントレポート設計ツール」機能により、一度資料のひな形の設定をしてしまえば、以降は日付を変更するだけで作成できます。この機能により、資料作成のための時間を大幅に削減することができました。今では、連結財務諸表やセグメント情報の資料作成時にもこの機能を活用しており、非常に重宝しています。
業績の一元管理へ、国内グループ全社の会計システムを統一
──FX5採用の経緯についても教えてください。
曽我部哲平様
曽我部 個別会計システムについては、2013年7月より子会社を含む国内のグループ会社10社全てにFX5を導入し、運用しています。それまでは、自社開発のシステムや独自に導入したパッケージシステムなど、グループ内で複数の会計システムが混在していました。しかし、それではリアルタイムでの各社の業績把握が困難な上、消費税率の引き上げを含め今後の法制度改正に柔軟に対応していくためにも、国内グループ会社の会計システムの統一が不可欠であると考えていました。そこで、当社が使用していた自社開発システムの更新に合わせて、国内グループ会社の全ての会計システムを統一することを計画しました。
──システムの選定はどのように進めましたか
曽我部 3社のシステムを比較検討しました。各事業所や工場にいる経理担当者、子会社の経理担当者を集め、各社にプレゼンテーションを実施してもらいました。FX5を採用したのは、①資料作成時の利便性や仕訳登録時の柔軟性が当社のニーズにマッチしていた、②入力しやすい画面構成を各担当者が評価した──からです。また、先に導入していたeCA-DRIVERとの親和性もポイントとなりました。
──システム統一の効果は
曽我部 勘定科目のすりあわせなど、導入時にそれなりの苦労はありましたが、各社の業績把握が容易になりました。さらに、子会社に対しては、データのやりとりだけでなく指導も含めたより深い関与ができるようになったことも効果の一つです。また、法改正等への対応時も自分たちで要件等を確認する必要がなくなり、負担軽減につながりました。
清水 結果的に、ではありますが、個別・連結会計システムが同じTKCのシステムになったことで、加工せずに連携できるため、連結決算業務のさらなる効率化も図れました。
──その後、電子申告システムも導入していますね
曽我部 国税局を通じて、電子申告実施の要請を受けていたこともあり、14年にまずは主要の2社で、16年6月より残りの8社についてもTKCの電子申告システムASP1000Rを導入しました。当社だけでも、国税・地方税合わせて約80団体に申告していますが、電子申告の採用により申告書の作成にかかる時間を大幅に削減することができました。また、TKCのシステムは、地方税率の変更を自動で反映してくれるため、各自治体から送られてくる申告書の手引きを見ながら税率の変更の有無を確認する業務からも解放されました。
──最後に、今後の計画を
清水 決算から申告までグループ全体で一貫して管理できる体制を構築し、業務の最適化を図ってきました。これからは、個人のスキルアップを図りながら、全体のレベルを上げていきたいですね。
曽我部 また、海外子会社の経理内容をいかに把握するかが課題となっていますので、TKCのシステムも含め、よりよい方法を検討していきたいと考えています。
名称 | 極東開発工業株式会社 |
---|---|
設立 | 1955年6月1日 |
所在地 | 兵庫県西宮市甲子園口6丁目1-45 |
売上高 | 1,067億円(2017年3月期 連結) |
社員数 | 2,670名(2017年3月31日現在 連結) |
URL | http://www.kyokuto.com/ |
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