ユーザー事例

桑名信用金庫 様

堅実・健全な地域金融機関が固定資産管理の効率化に邁進

桑名信用金庫

三重県を中心に愛知県、岐阜県と25もの拠点を構える桑名信用金庫。「堅実で健全な経営」をモットーに、独自の施策で金融自由化の波にチャレンジ。文字通り健全な金融機関としての評価は高い。そんな桑名信金が申告業務の効率化を加速させている。経営企画部の杉山文里部長、寺本誠課長代理、水谷友美さんにシステムコンサルタントの松田德弘税理士を加えて話を聞いた。

──マイナス金利、競争激化など、金融機関として難しい局面が続いています。

寺本 貸出金利息の減少、あるいは長期金利の低下など、収益確保が難しい状況であることは確かです。それだけに、地域金融機関としての本来の目的を全うすることがより大事になってきているのだと思います。

──本来の目的とは?

杉山文里部長

杉山文里部長

杉山 地元企業への安定した資金供給はもちろん、もう一歩踏みこんだ「課題解決」や「経営支援」にも力点を置き、幅広いコンサルティング機能を発揮して地域経済・社会に貢献していくことです。こうした役割を持続的に果たしていくためにも、安定的な収益を確保して、財務の健全性を維持していく必要があります。

──健全性という意味では、桑名信金さんは安定した自己資本比率を実現されていますね。

寺本 平成29年3月末現在で20.03%と国内基準4%、国際基準8%を大きく上回っています。

──地元企業の課題解決や経営支援への取り組みとは?

杉山 本部に「地域支援部」を置き、各営業店と連携しながら中小企業の経営支援に取り組んでいます。連携という意味では、商工会議所、商工会、中小企業基盤整備機構、中小企業再生支援協議会、他の金融機関など外部機関との連携もより緊密にし、「ものづくり補助金」など公的支援の積極活用を支援したり、各県の「よろず支援拠点」と連携したり、海外進出支援に取り組んだりと多層的な支援体制を構築しつつあります。また、「くわしん中小企業経営相談サービス」では、専門家派遣による無料の各種経営相談を行っています。

──職員のレベルアップも必要ですね。

寺本誠課長代理

寺本誠課長代理

寺本 職員には、お客さまの事業価値を見極める「目利き力」、つまり「事業性評価能力」をつける研修を実施し、全社的なスキルアップにつとめています。

──ほかには?

杉山 とにかくキーワードは連携です。たとえば、創業支援においては桑名商工会議所の「桑名創業塾」に参画していますし、日本政策金融公庫や信用保証協会とコラボレーションして資金調達を中心とした支援活動を行っています。また、東海地区の信用金庫による、しんきんビジネスマッチング「ビジネスフェア」の開催や、大阪府商工労働部の「ものづくりビジネスネットワーク事業」にも参画し、取引先の販路開拓の支援を行っています。さらには、信金キャピタルと共同で、事業承継やM&Aに関する相談業務を実施すると同時に、同社の「しんきんの翼」という資本や資本性資金を直接供給することを目的とした成長ファンドを活用した取り組みも行っています。

──全方位からの支援体制を敷いておられると……。

杉山 東京一極集中と地域経済の疲弊が叫ばれていますが、復活のキーマンは地元の中小企業であることには論をまちません。しかし、中小企業には、ノウハウや情報が足りません。つまり、強力なサポーターが必要なのです。そして、より強力なサポーティングを行うには、われわれ金融機関だけではなく、地域の関係諸機関が手を結び、一体となることが求められます。今後とも、これらネットワークをより緊密化していくことに努力していくつもりです。

独特の会計処理も柔軟な対応で乗り切る

──TKCとの出会いは?

寺本 平成26年3月期の決算から『ASP1000R』(TKC法人電子申告システム)を導入しました。それ以前は、スプレッドシートで申告書を作成していたのですが、業務の属人化への懸念や電子申告の必要性を感じるようになり、パッケージソフトの導入を検討。その際、監査法人からTKCシステムの高い評価を伺っていたことと、TKC三重北・南支部の税理士先生方との認定支援機関同士の勉強会を継続実施していたつながりもあり、『ASP1000R』の導入を決定したと聞いています。

──導入効果は?

寺本 「エキスパートチェック機能」など、イージーミスを自動的に防ぐ仕組みがあり、インターフェースも分かりやすく、業務の標準化ができました。また、ワンクリックで電子申告できるようになり、以前の紙ベースの申告作業に比べ、大幅に手間が減少しました。とくに地方税の申告では非常に重宝しています。当庫は愛知、岐阜、三重に支店があるため以前は各自治体の税率を毎年精査してから、計算を行い、封入・送付作業を行わなければなりませんでした。しかし、いまはシステムに税率マスターが搭載されているので、その作業がゼロになりました。また、システムコンサルタントの松田德弘先生の存在も大きかったと思っています。操作面はもちろん、税務や税制についての細かい質問にも、その都度答えていただけますから、非常に助かっています。

松田 導入時には前年の申告書一式をお借りして『ASP1000R』へ入力し、シミュレーションした上で、くわしんさんの担当の方々に、操作の説明、入力の際の留意点を解説しました。また、その後も年2回は訪問して、コンサルさせていただいています。

──昨年10月に『FAManager』(TKC固定資産管理システム)の操作体験会に申し込みをされました。

水谷友美さん

水谷友美さん

水谷 固定資産管理については、自社で開発したシステムを使用していましたが、それでは会計上の数字しか扱えず、申告書は別途計算のうえ作成していました。ところが、税制改正などへの対応が大変で、システムメンテナンスの作業が限界に達しつつありました。それをご存じだった松田先生から、『FAManager』を勧められ、導入の検討に入りました。

──操作体験会での印象はいかがでしたか。

寺本 使い勝手がいいと感じました。ただ当庫には独特の会計処理があり、そこがどうなるかという不安もありました。

──独特の会計処理とは?

寺本 従来、銀行業の決算経理基準では、160%の減価償却率が必要でしたが、2008年度の決算からその規定が廃止となり100%となりました。こうした償却率の変化をFAMで表現できるのかがポイントでした。

──どうされたのですか。

松田德弘税理士

松田德弘税理士

松田 FAMの自動計算では対応できないため、データを切り出して償却額を別途計算の上、CSV取り込み機能を活用して任意償却メニューで一括登録する方法をとりました。くわしんさんの事務担当の方々は非常に優秀で、たとえば、実務担当の水谷さんは、償却データをエクセルに切り出し、FAMへ再度取り込むという面倒な作業を非常にスムーズに行われています。

水谷 松田先生には初期設定から本稼働まで3度も来社してご指導をいただきました。ありがたかったですね。

──導入後はいかがでしょう。

水谷 前述した通り、以前は、会計処理と申告書が分離した状態だったので、非常に手間がかかり、ケアレスミスも多かったように思います。また、固定資産データが申告の際に正しく反映されているのか、いつも不安でしたね。ところが、『FAM』では、固定資産の登録さえできれば、会計・税務、そして電子申告へと一気に連動しているので、自動的かつ瞬時に正しい申告を行うことができ、飛躍的な効率化が図れたと思います。税制改正の内容なども年2回のバージョンアップで常に最新の情報に更新されるので、心理的にも楽になりました。

松田 繰り返しますがくわしんさんの事務担当チームはレベルが高く、とくに「困った」という局面はありませんでした。TKCシステムを非常にうまく使いこなされているという印象です。

寺本 それもこれも松田先生をはじめTKCのコンサル体制のおかげだと思っています。もっといえば、TKCの製品思想のなかに、実務担当者に対する税務・会計の専門家のコンサルティング機能が、必要不可欠な要素として盛り込まれている……これが他社と違うところなのでしょう。

会社概要
名称 桑名信用金庫 桑名信用金庫

(数値はいずれも平成29年3月末現在)

出資金 9億4,904万円
会員数 2万1,101名
店舗数 25店舗
役職員数 381名(非常勤役員を除く)
預金 4,595億円
貸出金 2,017億円
URL http://www.kuwashin.co.jp/

『戦略経営者』2017年9月号より転載

掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、2017年9月現在のものです。
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