ユーザー事例

一畑電気鉄道株式会社 様

導入システム eConsoliTax/eTaxEffect

適正な連結納税申告書を「電子申告」で提出

出雲大社や宍道湖など、魅力的な観光資源に恵まれた島根県。その県庁所在地である松江市に本拠地を置くのが一畑グループだ。鉄道事業を中心に、ホテル業や百貨店業も手掛けている。一畑電気鉄道の茢田満夫常務取締役と、経理課の松原賢一課長代理にTKC連結納税システム『eConsoliTax』の活用ポイントなどを聞いた。

一畑電気鉄道株式会社

昔懐かしい車両が残る山陰地方唯一のローカル私鉄

―― 一畑電鉄は、山陰地方に唯一残る私鉄だとお聞きしました。

茢田 松江市(松江しんじ湖温泉駅)と出雲市(電鉄出雲市駅)を結ぶ「北松江線」(約34キロ)と、途中で分岐して出雲大社(出雲大社前駅)へ向かう「大社線」(約8キロ)があります。島根県東部にある宍道湖の北岸を沿うような形で路線が敷かれています。かつて東京や大阪の私鉄で使われていた、昔懐かしい車両が今も現役で活躍しており、典型的なローカル私鉄の雰囲気を醸し出しています。

――主にどんな方たちに利用されているのでしょうか。

茢田 出雲・平田方面から松江方面に来るための通勤・通学の足として利用される乗客が多いといえます。年間輸送人数は約160万人。出雲大社への参拝をかねて松江観光に訪れた人たちが乗っていることも少なくありません。松江市内には、夕陽の名所としても有名な宍道湖のほか、天守閣の国宝化を目指している松江城、明治の文豪・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の旧居など魅力的な観光スポットがいくつもあります。一畑グループが運営する「ホテル一畑」(宍道湖畔に立地)には、松江観光に来たお客さまが大勢宿泊されています。

――現在、一畑グループは子法人を含めて何社で構成されているのですか?

茢田 全部で18社です。持ち株会社である一畑電気鉄道と、100%出資子会社17社で構成されています。グループの事業内容は大きく5つに分けられます。(1)交通分野(鉄道、バス、タクシー)、(2)サービス分野(ホテル業など)、(3)卸小売業(百貨店、自動車販売、土産品販売など)、(4)建設分野(総合建設、電気・管工事業)、(5)不動産事業(自社物件賃貸など)の5分野です。

―― 一畑グループの歴史について教えてください。

茢田 創立は1912(明治45)年。一畑軽便鉄道株式会社としてスタートしました。出雲市にある一畑薬師への参詣者輸送が主な目的だったのが社名の由来です。大正時代に出雲~平田間が開通し、昭和のはじめ(1930年)に川跡~出雲大社前間の運行が始まってほぼ現在の路線になりました。さらに乗合バスやタクシー事業に乗り出すほか、1958(昭和33)年には「一畑百貨店」を開業して百貨店事業にも参入しました。
 一畑百貨店はJR松江駅前にあり、市街中心部の核となる商業施設として認知されています。ただ、最近は消費不況の影響をもろに受けて厳しい状況にあることは否めません。それでも、低価格な商品ばかりを増やすような真似はせずに、百貨店としてのイメージを損なわないような品揃えを意識して行っています。

――地域住民の生活に必要な各種インフラを提供するなかで発展してきたという印象を受けます。

茢田 もちろん地域住民の支えなくしては我々の事業も成り立ちません。地域の皆さまにどうお役に立てるかが一畑グループの生命線といっても過言ではありません。電車のなかにそのまま自転車を乗り入れられる「サイクルトレイン」という全国でも珍しいサービスを行っているのは、なにも観光客のためだけでなく、出雲方面から電車に乗って松江市中心部に買い物にくる人たちの利便性を高めるためでもあります。

――ところで、一畑電鉄を舞台にした映画が近々公開されるそうですね。

茢田 ええ。タイトルは『RAILWAYS(レイルウェイズ)』。今年5月末から全国でロードショーされます(配給・松竹)。東京から島根にUターンして電車の運転手になった49歳の男性を主人公にした物語で、出雲市出身の錦織良成監督がメガホンを取りました。鉄道ファンに人気の高い国内最古の車両「デハニ50形」が登場することも話題の一つですが、沿線の美しい風景を通じて島根県の魅力が存分に描かれている点が何よりも素晴らしいと思います。この映画がヒットすれば、一畑電車の知名度が全国的に高まるのではないかと期待しています。

「ASP処理方式」がシステム選定の決め手

―― 一畑グループが「連結納税制度」を採用したのはいつ頃ですか。

松原 平成21年3月期の決算からです。じつは連結納税制度が創設された平成14年頃に一度、導入の検討を行ったことがあります。そのときには、「損益通算」や「内部損益の繰り延べ」など連結納税にすることで享受できる節税効果と、新たに連結納税を開始するに当たっての導入コストを天秤にかけてみたところ、あまりメリットはないと判断しました。そのため導入をしばらく見送っていたのですが、不況の影響で厳しい経営を迫られている子会社があることや、ここ数年の法改正(棚卸資産の低価法採用など)を踏まえると、連結納税にした方が得策だと考えるようになり、適用申請したわけです。

――TKCの連結納税システム『eConsoliTax』を選んだ理由をお聞かせください。

松原 連結納税システムの導入にあたり当初、TKCともう1社別のベンダーさんを候補として考えていました。それぞれの会社にデモ・プレゼンをしてもらったうえで最終的にTKCに決めたのは、『eConsoliTax』がASP(アプリケーションサービスプロバイダ)処理方式だったというのが大きな理由です。専用サーバーを自分たちで用意しなくてもTKC側でデータを一元管理してくれるため、初期導入費用をかなり抑えることが可能でした。

――システムを本稼働させるにあたり、苦労した点はありますか。

松原 当初、親会社の経理担当者みんなが心配していたのは、「連結納税制度の内容やシステムの操作方法について十分に理解できるのか」ということでした。しかしTKCのマニュアル類がしっかりしていたことや、私たちのために特別に用意してくれた「チェックリスト」があったお陰で、滞りなくシステムを動かすことができました。最初の連結納税マスターの登録作業についても問題なく行えました。

「申告検討表」を用いてデータ入力漏れをチェック

――「連結納税申告書」を作成するまでの業務フローを教えてください。

松原 まずは3月期の決算をふまえてグループ各社ごとに「仮計算」を行い、単体決算を確定します。そして5月以降に、連結グループ一体としての「全体計算」をして申告書を作成するといった流れです。実際の申告については前回、電子申告を通じて行いました。『eConsoliTax』では申告データをワンクリックで電子申告データに変換できるため非常に作業が楽でした。
 なおグループ各社の単体決算をするなかではTKCの税効果会計システム(『eTaxEffect』)を利用しています。それにより大幅に作業が効率化できました。じつは一畑グループの場合、経理・税務関連の仕事に関しては親会社への“業務集中”が進んでいて、各子法人の税額計算などは私を含めた一畑電気鉄道の経理スタッフ4名で担当しています。この人数で連結納税の作業をこなしていくためにも、システムの効果的な活用が不可欠となります。

――とくに使い勝手がよいと感じている『eConsoliTax』の機能といえば…。

松原 例えば、グループ各社の税額、あるいは全体計算項目の各社への按分状況などが確認できる「申告検討表」を打ち出せる機能がそうです。連結法人すべての「別表4の2」の申告調整内容を一覧で見ることができるなど、データの入力ミス・入力漏れを横断的にチェックする際に役立ちます。

――会計事務所のコンサルティングを受けられるというのもTKCシステムの特徴ですが、その辺の評価はいかがですか。

松原 連結納税制度を採用したのは島根県内で私たちが最初でした。だから疑問点があっても周辺の企業には相談するわけにもいかない。さまざまな不安要素があるなかで、福田先生のサポートには大いに助けられました。システム導入後も、システムのレベルアップ内容や毎年の税法改正について、定期的に足を運んで説明してくれるので本当に頼りにさせてもらっています。

――今後、システムをより活用していくうえでどんなことを考えていますか。

松原 スタッフの中にはまだ連結納税に関する十分な知識を持ち合わせていない者もいるので、その“育成ツール”としても役立てていきたいと考えています。一畑グループは2年後に創立100周年を迎えます。それに向かってさらなる組織力の強化に努めていきたいものです。

会社概要
名称 一畑電気鉄道株式会社
業種 鉄道事業など
代表者 大谷厚郎
本社 島根県松江市中原町49
TEL 0852-26-1319
売上高 229億円
社員数 約1600名
URL http://www.ichibata.co.jp/

『戦略経営者』2010年4月号より転載

掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、2010年4月現在のものです。
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