連結会計の迅速化がグループに“勢い”をつける
創業から120年余の歴史を刻み、現在は電設資材や設備・電子機器等の商社として、北関東を席巻する藤井産業。そんな同社が昨年度から導入したのがTKC連結会計システム『eCA-DRIVER』だ。その活用法と、昨今の同社のグループ戦略について、秋本榮一常務取締役、経営企画部の杉浦啓一課長、長尾道明主任に聞いた。

世の中のニーズを読み取り変化することを厭わない
――長い歴史をお持ちですね。
秋本 1883年に藤井石松が鍛冶屋として創業し、第2次大戦後は金物店を営みながら、高度成長の波に乗り、家電、電線、セメント、鋼材分野での大手企業の販売代理業務へと進出していきます。さらに、競争激化によるパイの縮小が顕著になると、これら代理店事業を徐々に縮小し、電設資材販売を中心とした現在のスタイルにシフトしていきました。ほぼいまの業容になったのは昭和60年くらいでしょうか…。平成3年には、店頭市場(現ジャスダック)への上場を果たしました。その意味では、時代の流れにあわせて柔軟に変化し続けることで、成長してきたといえるのかもしれません。
――それにしても幅広い分野で事業展開されています。
秋本 当社の事業は大きく3つのセグメントに分けることができます。まず、全体の約50%を占める「電設資材」。この分野では、照明や電線のほか、建物の電気工事に関わる一切の材料を扱っています。それから約30%を占める「産業システム」では、制御機器、半導体、建設・プラント設備、IT機器類などを主に生産工場に販売。また、コマツ栃木や栃木小松フォークリフトという関連会社を通じて、建機やフォークリフトの販売・保守を行っています。そして、残りの20%を占めるのが「施工」で、ALC(軽量気泡コンクリート)を使った建物の外壁や屋根、あるいは総合建築分野では新日鐵さんのパッケージ商品の設計・施工を行っています。
――このところ増収増益が続いていますが、貴社の強みは?
秋本 これはもう社員のレベルが高いことだと思います。我々は卸売業者ですから、個々の商材は、当然のことながら他社と同じです。かといって値段勝負になってしまうと利益が出にくくなる。ですから、我々が生き残っていくためには「提案力」が絶対条件です。扱い品目も専門性の高いものばかりですからね。そのため、当社では、研修など教育制度を整備して、徹底したスペシャリストの育成を心がけています。社員1人1人がクライアントの要望に応えるだけでなく、専門家として新しいことを提案していく「ソリューション企業」が、藤井産業の将来のあるべき姿だと思っています。
――そんな事業の広がりの1つに、近年の「環境商材」への傾倒があるということですね。
秋本 ええ。たとえば、ここ本社には、「エコスクエア」というフロアがあり、太陽光や風力発電、屋上緑化などの実例を展示しています。会社全体が進むべき方向として「環境」を位置づけているわけです。ちなみに、当社では太陽光発電やオール電化、IHヒーター、エコキュートなどには、業界内でもいち早く取り組み、すでにかなりの実績を上げています。
これに加えて、いま、「安全・安心」をキーワードにした商材の販促にも取り組んでいます。要するに、防災やセキュリティ関連商品のことですが、とくに工場などでは、ネットワークカメラを使った「見える化システム」の構築で、セキュリティはもちろんのこと、ムリ・ムダ・ムラの発見による生産性向上も実現できると好評です。
――つまり、社会を意識したCSR的な動きですね。
秋本 はい。それと、外部への働きかけもそうですが、会社内部の引き締めも喫緊の課題です。ご存じの通り、いわゆる『J-SOX法』によって内部統制報告書の提出が今年度から義務づけられましたから、そこへの対応にも万全を期しています。
決算作業時間の大幅短縮で“45日ルール”をクリア
――その内部統制対策として、『eCA-DRIVER』の導入も位置づけられるわけですか。
杉浦 それが直接のきっかけでした。いままさに、公認会計士の方と内部統制機能のチェックを行っている最中なのですが、『eCA-DRIVER』というシステムの信用性のおかげで、連結会計の部分はとてもスムーズに進んでいます。
――ところで、『eCA-DRIVER』導入のいきさつを教えてください。
杉浦 実は、10年くらい前から連結会計システムを導入したいと思っていました。が、いかんせん高額だった。そのため、既存の表計算ソフトを使って連結会計を行っていたのですが、複雑に入り組んでしまい、実際、私にしか分からない状態だったのです。この状態で、もし会計上の大幅な変更があったりしたら大変なことになる、ということで、2年ほど前から具体的な導入の検討を始めました。
――数あるシステムから
杉浦 当初、6社から見積もりをとり、コスト面から3社に絞りました。そのなかで、
それから、当社も
――昨年の4月から試験導入、9月から本格導入されたということですが、印象はいかがですか。
杉浦 目標だった決算作業時間の短縮は達成できました。4、5日は短くなったのではないでしょうか。何しろ、上場企業の4半期決算の45日開示が今年度から義務づけられましたからね。それと、
――連結会計のプロセスを教えてください。
杉浦 当社は7社の連結対象子会社があり、いまはまだ、各社から表計算ベースのデータを収集し、こちらで『eCA-DRIVER』に入力する形をとっています。が、近いうちに、レポーティングパッケージ(RP)に直接入力してもらい、それを回収する体制をとりたいと思っています。
入力後に整合性のチェックをかけながら連結精算表を作成していきます。ここで不審点があれば「ドリルダウン機能」を使えば仕訳単位まで検証が可能なので、作業が長時間止まることはありません。
ここから連結キャッシュフロー計算書、連結財務諸表の作成までは一足飛びです。「一括処理」ボタンをクリックするだけですからね。
金融庁の開示システムまで一気通貫にデータ連動
――とくに、「ここが便利」という機能はありますか。
長尾 本社と関連会社との「内部取引」がマトリックス表示され一目で分かる機能には重宝しています。そこが連結決算でもっともややこしい部分ですからね。それから先ほど出たドリルダウン機能も便利ですし、CSV形式への吐き出し機能があるので、加工してデータ分析資料を作成することもできる。また、連結精算表の2期比較検証資料・推移表も活用させていただいています。
杉浦 さらに、プロネクサスさんの決算開示システムとデータ連携したことで、一気通貫で金融庁の電子開示システム(EDINET)にまで連動できるようになりました。これは画期的なことです。
長尾 これまでは、プリントアウトしたものを、開示報告書に転記していたわけですからね。大幅に手間が省けました。
――今後はいかがでしょう。
秋本 当社では2010年3月期に連結売上高600億円超を目標にすると同時に、営業利益を前期の2%から2.5%に上げたいと考えています。ただ、サブプライムローン問題などで業界環境が厳しさを増しているのも事実。当面は、拠点を増やして営業エリアを北関東から関東全域、あるいはその外へと広げていくことで成長路線を維持する方針です。その意味でも、関連会社が今後増えていく可能性は高く、『eCA-DRIVER』のパフォーマンス、あるいは
名称 | 藤井産業株式会社 |
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代表者 | 藤井昌一 |
所在地 | 栃木県宇都宮平出工業団地41-3 |
TEL | 028-662-6018 |
売上高 | 579億円(連結ベース) |
社員数 | 621名(連結ベース) |
URL | http://www.fujii.co.jp/ |
『戦略経営者』2008年10月号より転載
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