ユーザー事例

ファーストキッチン株式会社 様

導入システム ASP1000R/FX5/FAManager/eCA-DRIVER

税務・会計業務のデジタル化とシームレスな連携で生産性向上

1977年の創業以来40年にわたり、多彩なメニューで国内の消費者に親しまれてきたファーストキッチン。2016年には、世界第3位の米ハンバーガーチェーン・ウェンディーズの日本法人「ウェンディーズ・ジャパン」のグループに入り、コラボ店「ウェンディーズ・ファーストキッチン」の店舗数を拡大している。
TKCシステムを活用したデジタル化と生産性向上の取り組みについて同グループの尾形圭一CFO、管理部の青山浩部長、安部浩行マネージャー、倉持拓矢チーフ、社長室の小林裕之マネージャー、そしてシステムコンサルタントの宮﨑純子税理士(税理士法人土田会計事務所)に話を聞いた。

──ファーストキッチンとウェンディーズのコラボ店「ウェンディーズ・ファーストキッチン」が好調なようですね。

尾形圭一CFO

尾形圭一CFO

尾形 このコラボレーションは、ファーストキッチンが2016年7月にウェンディーズの日本法人「ウェンディーズ・ジャパン」のグループに入ったことで誕生しました。現在、全国におよそ130店舗あるファーストキッチンの店舗のうち、約40店舗を「ウェンディーズ・ファーストキッチン」に業態転換しており、新店と合わせると約50店舗を日本国内で展開しています。

──両者の強みを融合させることで、シナジー(相乗)効果が発揮されているとか。

尾形 ファーストキッチンの強みは、パスタやデザートなどの多彩なメニューと、好立地の店舗網を持つところ。一方、世界第3位のハンバーガーチェーンであるウェンディーズの強みは、高品質でボリューム感のある本格派バーガー。この二つが組み合わさることで、今まで以上に幅広い客層をつかむことができています。
 もともとファーストキッチンは、パスタやデザートメニューが充実していることもあり、女性客に人気がありました。そこに、ウェンディーズの本格派バーガーを求める男性客が上積みされる形で、来店客数がぐっと増えたんです。ファーストキッチン単体店からコラボ店に転換を図った店舗は、売上高を大きく伸ばしています。

──コラボ店は今後さらに増やしていく方針なのですか。

尾形 ええ。フランチャイズ(FC)の募集も進め、2023年には100店舗にまで増やすことを目標としています。

──そうした中での課題といえば?

青山浩部長

青山浩部長

尾形 限られたスタッフでいかに業務の生産性を高めていけるかが重要なテーマになってきます。それは、ウェンディーズ・ファーストキッチンの財務経理を担当する私たちにとっても例外ではありません。

青山 当社の経営理念は、「ファーストフードの新しい価値を創造し、都市生活者のニーズに応え、地域社会へ貢献する 揺るぎない信頼 あくなき創造 果敢なる挑戦」です。失敗をおそれずに、新しいことにチャレンジしていく社内風土が醸成されています。管理部においても、業務効率を向上させる取り組みに果敢にチャレンジしています。

──その一環として、業務のデジタル化を推進されているそうですね。

安部 業務のデジタル化に取り組むようになったのは、2016年にTKCの法人電子申告システム『ASP1000R』を導入し、電子申告を始めたことがきっかけでした。
 従来は、都道府県・市町村あわせて約70団体の申告書を印刷し、押印後に郵送していました。それを『ASP1000R』を導入して電子申告に切り替えてみると、飛躍的に作業効率が良くなりました。正直それまでは「電子申告は難しいのではないか」という不安を抱いていましたが、システムコンサルタントの宮﨑(純子)先生のサポートをもとにいざ実践してみると、こんなに便利なことはなく、もう紙での申告に戻ることはできません(笑)。

宮﨑純子税理士

宮﨑純子税理士

宮﨑 ご承知のとおり2020年4月から、大法人を対象に法人税等の電子申告が義務化されます。その範囲には法人税申告書別表のほか、添付書類である財務諸表、勘定科目内訳明細書も含まれます。ウェンディーズグループさんの場合、すでに2017年度から財務諸表・勘定科目内訳明細書も含めた電子申告に取り組まれており、かなり先進的でした。

──2017年には、会計システム『FX5』、固定資産管理システム『FAManager』、連結会計システム『eCA-DRIVER』についても導入されました。それにはどんな意図があったのでしょうか。

安部 以前は他社会計システムを使っていましたが、それをTKCシステムに切り替えることにより、「税務と会計の親和性」が高まると期待したんです。実際、消費税の税率別・税区分別残高や別表十六、あるいは各種仕訳データをシステム間で相互に連携できるようになり、利便性が大いに高まりました。

尾形 また、各種税制改正にしっかり対応してくれる点も、TKCシステムの魅力でした。保守料の範囲でシステムを法令に準拠した形にレベルアップしてくれるため、とにかく安心感があります。当社は、テイクアウトと店内飲食の両方を手がけるハンバーガーショップを展開しているため、2019年10月から始まる消費税の軽減税率制度の影響を大いに受けますが、TKCの会計・税務システムは、安心して対応をお任せできます。

──経費精算などのデジタル化も進めているそうですね。

倉持拓矢チーフ

倉持拓矢チーフ

倉持 電子申告でデジタル化のメリットをあらためて認識したことを受け、経費精算、帳簿・領収書保存、税務申告届出、請求書発行、社内稟議などあらゆる業務をデジタル化し、それをできる限りTKCシステムと連携させるようにしています。
 とくに経費精算については従来、現場社員が紙ベースで提出した経費申請書をわれわれ管理部が旧会計システムに手入力していたため、手間がかかっていました。そこで、『FX5』導入時に、親和性が高いクラウド経費精算システム『楽楽精算』を導入しました。現在、現場社員が領収書をスマートフォンで撮影して『楽楽精算』にアップロードすると、経費申請データが生成されるようになっています。その後、上長・管理部が電子承認すると仕訳データが生成されるので、これを『FX5』に連携しています。

──なるほど。

倉持 『FX5』は簡単な設定で業務システムと連携できるため、経費精算だけではなく十種類以上の業務システムと連携させています。

──クラウド型の会計システムである『FX5』導入の効果といえば何でしょうか。

安部浩行マネージャー

安部浩行マネージャー

安部 まず「業績管理資料の自動作成による生産性向上」があげられます。以前の会計システムのときはデータをファイル切り出ししたうえで、手作業で業績管理資料(店舗責任者向け、経営層向け、取締役会向け、監査法人向け)に加工していました。それが『FX5』の「マネジメントレポート設計ツール」を活用することで、簡単な設定で自動作成できるようになりました。

小林 経営陣からはさまざまな観点で情報を収集・分析したレポートを求められますが、瞬時に回答できるようになっています。例えば、全国の店舗を経営形態別(直営店・FC店)、業態別、立地別などの切り口でグルーピングした業績管理資料などが、簡単に作成できます。
 さらに、財務データだけではなく客層や時間帯、メニュー別の売上数、従業員の労働時間等の非財務データも会計システムに取り込んで一元管理し、財務データと非財務データを組み合わせて業績との相関関係を分析することで、経営判断に役立てています。

──ほかに『FX5』導入の効果をあげるとしたら……。

安部 「店舗責任者(店長)の意識を運営者から経営者へと転換できたこと」もそうです。従来は、管理部から各店舗に業績管理資料(PL)を紙で配付していましたが、いまでは店長が『FX5』に直接接続して自店舗の業績を確認し、例えば店舗コストはどのような理由で発生しているか等を自ら分析できるようになりました。
 また、本社(営業部、管理部)あるいはスーパーバイザーと、『FX5』の同じデータを見ながら電話で店舗業績についてディスカッションできる仕組みも構築しています。このようなことができるようになったのは、やはりクラウドサービスという点が大きなメリットだと思っています。この結果、店長はまさに経営者の視点で店舗運営をしてくれるようになりました。

──連結決算についてもTKCシステムを活用されていますが、その感想もお聞かせください。

小林裕之マネージャー

小林裕之マネージャー

小林 連結財務諸表を作成する際、以前は関係会社間取引を把握するために3~4日は必要でした。それが現在は、個別決算が固まればその日のうちに関係会社間取引を把握し、連結決算の数字を出せるまでになっています。

安部 TKCの連結会計システムに切り替えたのを機に、監査法人にもシステム上のデータをクラウド上で直接確認してもらうようにしました。これにより、監査対応にかかる時間が三分の一になっています。

──最後に尾形CFOから一言お願いします。

尾形 ウェンディーズの創業者の哲学を表す「QUALITY is our recipe(品質こそが我々のレシピです)」という言葉があります。素材、料理、サービス、雰囲気の全てに最高の品質を求めていくことが私たちの原点です。管理業務においてもデジタル化により生産性を向上させて、さらに高品質なサービスを追究していきたいですね。

会社概要
名称 ファーストキッチン株式会社 ファーストキッチン株式会社
設立 1977年9月
所在地 東京都新宿区四谷4-34-1
売上高 92億円(2018年12月期)
社員数 正社員180名、アルバイト・パート2,300名
URL https://www.first-kitchen.co.jp/
掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、2019年7月現在のものです。
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