ユーザー事例

アサヒプロマネジメント株式会社 様

統合ビジネスサービス会社としてアサヒグループの躍進に貢献

シェアードサービス(間接部門の集中化)のみならず、最近ではアサヒグループのIT・財務分野でのコアな戦略的業務にも関わるアサヒプロマネジメント。グループの伝統的な革新気質とチャレンジ精神を受け継ぐ、福田行孝取締役と小暮裕正財務企画部担当課長、そして、より効率的な決算申告体制の構築をサポートする税理士法人三部会計事務所の菊地富二夫顧問税理士を交えて話を聞いた。

アサヒプロマネジメント株式会社

シェアードサービスに加えIT・財務の本部機能も担当

──アサヒグループのシェアードサービスセンター(SSC)が主業務だとお聞きしています。

福田 当社の場合通常のSSCとは少し違っていて、アサヒビールやアサヒ飲料、カルピスなどを傘下に抱えるアサヒグループホールディングスと一体となってグループの運営に関わっている会社です。

──2000年に設立されたアサヒマネジメントサービスが前身だとか。

福田 当初は人事の給与、社会保険、そして比較的小規模な子会社では経理業務なども受託していました。各社の間接業務を集約して効率化をすると同時に品質を上げていくのがわれわれの仕事でした。

──2011年にアサヒグループホールディングスが設立されます。

福田 そこが当社の転換点となりました。グループ各社は事業に専念する一方、大規模会社も含めて共通のバックヤードに横串を通す。そのためには従来のSSCの概念にとどまらず、ITや財務を含めた戦略的な部分も包括する別会社が必要だろうということで、当社がその役割を担うアサヒプロマネジメントという会社に衣替えしたのです。

──いまでは、非常に幅広い業務を手がけられているようですね。

福田 当社の業務は大きく2つに分けられます。一つは従来型のSSCとしてのミッション。もうひとつはグループ本社機能の一部です。たとえば、グループ全体のIT戦略、あるいは財務分野では資本戦略立案や決算管理など、本来本部が行うべき経営の中核部分にまで入り込んだ業務を行っています。コンセプトとしてはSSCではなくSSR=シェアードサービス&リエンジニアリング、プラス、IBS=統合ビジネスサービスを目指しています。

──目指すは効率化ですか。

福田 「効率化」は大切ですが、あくまで手段です。 「人を育て、グループに輩出していく」ことが本来のミッションだと考えています。当社で人事や経理、財務関連の知識・経験を積み、そして次のステップに進んでもらう。たとえば、近年重視されている海外ビジネスでは、外貨の管理、国際税務、国際労務管理など高度な知識と能力を持つ人材が必要です。それらの人材を効率化と教育によってつくりだすことが当社の役割です。

──過去の『スーパードライ』の開発がそうだったように革新的ですね。

福田 スーパードライの例でいうと、当時はビールといえば「苦くて重い」が誰も疑わなかった常識でした。ところがアサヒビールでは原点に戻って、お客さまが本当に飲みたいビールを追求し、たとえば、当時は珍しかった消費者試飲調査を東京と大阪で行うなどして、スーパードライの開発につなげた。革新的かつ挑戦的なアクションだったといえるでしょう。そういった当グループのチャレンジ精神はいまに引き継がれています。アサヒプロマネジメントの業務もその延長線上にあるといえるかもしれませんね。

26社に『ASP1000R』導入し業務の効率化と標準化を実現

──各社の決算申告業務では、TKCの『ASP1000R』を26社に導入されています。

小暮 きっかけは平成18年、外国税額控除制度(外国で払った法人税額を、日本の法人税額から差し引くことで、二重課税を防ぐための制度)が改定され、その対応が従来のスプレッドシートでは難しくなったことです。そのため、パッケージソフトの導入を検討していたのですが、うわさではTKCさんの『ASP1000R』というシステムは、別表間の連携ができるとのこと。ためしにセミナーに参加してみるとまさにその通りで、期限が迫っていたこともあり採用を即決しました。

──まず、導入されたのは?

小暮 海外でのビジネスを手がける持ち株会社でした。それはそれでうまくいったのですが、しばらくは導入はこの1社だけでした。しかし、特定の担当者が毎年の税制改正に対応するにはあまりにリスクが大きいことに気づいたのです。というのも、当社では中小規模の関連会社は共通のスプレッドシートを使って計算していたので、ひとつミスをすると全社で間違えてしまう危険性があったのです。そこで、そんなリスクを回避するツールを入れたいと、平成22年、すでに実績のある『ASP1000R』を複数の会社に一気に導入することを決定しました。

──他社ソフトとの比較検討はされましたか。

小暮 一応は何社かのシステムを俎上には上げましたがやはりTKCさんのソフトの信頼感の方が一枚上でした。前述したように別表間のデータ連携による計算の正確性はもちろんですが、都道府県、市町村の地方税の税率や均等割率なども、毎年の改定にその都度対応してくれます。以前は、すべての自治体のホームページをみながら、いちいちスプレッドシートの設定を手作業で変えなければならなかった。大変な手間でしたので、これがなくなっただけでもありがたかったですね。現在は中小規模会社を中心に26社に導入しており、ここに関しては業務の標準化が進み、担当者が変わっても簡単に引き継げるような体制をつくることができました。つまり、これまで大きなリスクだった業務の属人化の排除ができたわけです。

──このころから、三部会計事務所のコンサルティングを受けられたと聞いています。

小暮 そもそも、三部会計の菊地富二夫先生は、当グループの多くの中小規模企業の顧問税理士だったこともあって、たとえば入力方法が分からなければ気軽に聞ける気安さがありました。当然、意思の疎通がスムーズにいき、その意味ではラッキーだったと思います。

菊地 以前から税務顧問として12月~2月くらいにかけて申告書作成作業のサポートをさせていただいていたのですが、手作業が多いうえ、対象が20社くらいに上っていましたから大変な業務量でした。スプレッドシートで計算されたデータを申告書に打ち込んでチェックし、そこではじめて決算を締めるという状態でしたし、また、子会社ではいろんなソフトを使用していましたから、それも混乱の種で、実際、サーバーを宅配便で送ってもらい、申告書作成作業を行ったというケースもありました(笑)。

──『ASP1000R』を導入されてからはいかがでしたか。

菊地 とても楽になりました。別表間のデータ連携もそうですし、「エキスパートチェック」機能によって税法上の誤りや関連データの相互チェックを自動で行ってくれますからね。決算申告作業のスピードも品質も上がったと思います。

小暮 それから、地盤が固い上に免震構造が施されているTKCのデータセンターである「TISC」のセキュリティーが完璧であることも、ASPサービスを受ける側のわれわれの安心感となっています。

──電子申告への対応は?

小暮 全部ではありませんが順次紙から電子へと移行しています。地方の支店が多く地方税への煩雑な対応が迫られる会社では、『ASP1000R』からイータックス(国税電子申告・納税システム)はもちろん、エルタックス(地方税ポータルシステム)へ直接データを流す機能を活用する計画をたてています。

──今後はいかがでしょうか。

福田 アサヒグループホールディングスとの一体運営を進め、グループの横串を通す当社の機能をまっとうすると同時に、新たな戦略立案にも積極的に関わっていきたいですね。そのためにも、税務や決算申告の分野でのTKCさんとの協力をより進めていきたいと思っています。

会社概要
名称 アサヒプロマネジメント株式会社
所在地 東京都墨田区吾妻橋1-23-1
資本金 5000万円
社員数 227名

『戦略経営者』2014年月6号より転載

掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、2014年6月現在のものです。
※掲載企業様への直接のお問い合わせはご遠慮くださいますようお願いいたします。