ユーザー事例

青山商事株式会社

申告プロセスの効率化を進める紳士服量販店のパイオニア

郊外型紳士服量販店としてのパイオニアで、いまなおトップを走り続ける青山商事。価格訴求力はもちろん、最近では「いかに付加価値を高めるか」に注力し、女性からの支持も徐々に増えてきている。一方で同社はいま、申告など社内業務プロセスの効率化にも積極的に取り組みつつある。経理部の大迫智一部長と高橋恒治課長に話を聞いた。

青山商事

ターゲットを絞り込み より付加価値を高める

──労働人口の減少によって、紳士服ビジネス自体は逆風といわれています。

大迫 はい。そのため当社では、女性用スーツの拡大戦略を進めてきました。2006年からレディースの取り扱いを開始し、2012年から佐々木希さんプロデュースの新ブランド『エヌライン バイ ノゾミ』を発売。また2013年には『アンカーウーマン』というブランドを、小林麻耶さんなど3名の人気ニュースキャスターをイメージキャラクターに起用して立ち上げました。さらに、昨年5月にオープンした旗艦店の新宿西口店には女性向け専用フロアも設置。これら施策によって「青山といえば男性向けスーツ」という堅いイメージを徐々に変えていきたいと考えています。

──ターゲットをより絞り込んだ業態開発にも取り組まれているようですね。

大迫 『洋服の青山』で主に郊外のロードサイド、『ザ・スーツカンパニー』で都心や地方都市の一等地に出店してきましたが、最近では、これまで手薄かった駅前や市街地への出店も加速しています。また、今春から3本目の柱として『ネクストブルー』という店舗を展開します。これは、ショッピングセンターなどの商業施設内でのテナント出店を想定しており、ターゲットの中心は30代の男女。女性向けが4割を占める品ぞろえになる予定で、機能性をキーワードにトレンドと実用性を両立させた新たなカテゴリーで新規顧客を開拓します。

──一時の「安売り合戦」の時代は完全に終わったようですね。

大迫 世の中の価値観は多様化しているので、一定レベルの品質を保ちながら、年齢や性別、ロケーションなどに合わせたマーケティングとブランディングを展開しないとお客さまの支持を得ることはできません。最近では、安さを看板にしてスーツを売ってきた量販店さんやショッピングセンターなども、採算が合わずに撤退するところも出てきて、そのようなところからわれわれへのテナント出店依頼が増えてきました。

──市場にライバルも多いなか、常にトップを走ってこられました。秘訣は?

大迫 やはり、当社がこの業態のパイオニアであり、マーケットをつくってきたという自負がありますから負けられません。それと、当社社長の青山は「靴の売り上げを伸ばせ」とよくわれわれに言いますが、これは、スーツとセットにして靴など周辺商品を提案し販売すること。つまり「青山に行けば一通りそろう」という総合的な品ぞろえを磨けという意味です。まさに、当社の基本的な強みは、今も昔もそこにあるのだと思っています。

──中国での展開も加速されていますね。

大迫 現在、16店舗になります。いまのところブライダル需要が主ですが、将来的にはビジネス市場を取り込みながら100店舗を目指しています。ただ、人材育成が思うにまかせず、そこがいまのところのボトルネックです。それから、生産面では、人件費が高騰している中国での生産比率を落とすべく、インドネシアに新工場を建設中で、加えてベトナムやミャンマー、カンボジアの協力会社による生産量の拡大も今後の課題です。

国税と地方税をワンクリックで電子申告

──『ASP1000R』(TKC法人電子申告システム)を導入されたきっかけは?

高橋 以前は法人税と地方税は別々の市販のシステムを使って申告書を作成し、紙ベースで税務署に郵送する形でした。すると、国税はまだいいのですが、地方税は毎年の税率の変動などに対応するための煩雑なメンテナンスが必要になってきます。当社の場合、約500の地方公共団体に申告書を提出しなければなりません。導入当時(平成19年)はエルタックス(地方税ポータルシステム)が使えるのは政令指定都市くらいでしたが、近い将来には全国的に完備されるという見通しと、加えて税務当局からは電子申告に移行するようプレッシャーもあり、何らかの解決策が必要だと考えていました。そんな時に当社の監査役からTKCのシステムを薦められたのです。

──TKCのシステムを採用された理由は?

高橋 他社製品とも比べましたが、もっともコストパフォーマンスが良かったですね。入力画面も分かりやすく、入力時、計算時に税法論理をチェックする「エキスパートチェック機能」などで信頼性も担保されます。また、国税も地方税も申告書の作成と電子申告が連動していて、ワンクリックで作成した申告書をイータックス(国税電子申告・納税システム)やエルタックスにそのまま流すことができる。とくに地方税のエルタックスが整ってからは非常に楽になりました。さらに、法人税・地方税の別表間(外国税額控除等)が完全連動しているし、「地方税率マスター」として、全国の都道府県と市町村の地方税率が登録されています。以前は、中間申告を含めて年に2回、約500の自治体から来た封筒を開け、税率変更があるかどうか確認しながらの作業で大変な手間だったし、郵送料や印刷代もばかになりませんでした。CSV読み込み機能によって、全国約800店のデータを簡単に取り込めるのも便利ですね。

──どれくらいの効率化が図れましたか。

高橋 システム化によって業務が標準化されたので、担当別に分散して作業ができるようになったこともあり、トータルでは申告作業にかける日数を1週間くらい短縮できたのではないでしょうか。現在は、当社で経理を担当している子会社2社にも『ASP1000R』を導入しています。

──とにかく負担が減ったと。

高橋 はい。法改正による様式の変更、新別表への対応、地方税率の確認、J-SOX上のIT統制など、いまではすべて『ASP1000R』まかせです(笑)。

──コンサルティング体制はいかがでしたか。

高橋 TKCのシステムコンサルタント、そして藤井芳廣、藤井康裕、白川英孝先生をはじめ、せとうち会計さんには導入時から熱心に対応いただき、感謝しています。導入後も、システム操作の指導はもちろん、定期的に勉強会を実施して、システムの改訂内容や税法改正の内容などを教えていただいています。税と会計の専門家に、いつでも相談できる体制というのは、やはり心強いですね。

──オプションの『e-TAX法定調書』と『e-TAX償却資産』も今期から導入されたとか。

高橋 はい。前者を使えば電子申告等での提出が義務化された国税の給与所得の法定調書と地方税の給与支払報告書を、一括して電子申告できるようになります。また、後者では、当社の固定資産管理システムからデータを切り出し加工、そのままエルタックスに流し込んで地方税の電子申告ができるということで、いずれも全社的な業務の効率化に寄与すると考え採用しました。
 実際、この1月にはじめての運用を行いましたが、たとえば『e-TAX法定調書』では、われわれが人事部を指導しながら、スムーズな提出書類の作成と電子申告を行うことができました。来年からは人事部だけで電子申告が可能になるでしょう。また、『e-TAX償却資産』では、昨年までは紙ベースで行っていたもろもろの面倒な作業をデータ上で操作・加工し、ワンクリックで地方税の電子申告まで持っていけた。これも便利なシステムだと感じました。いずれにせよ今後もTKCさんの提案を生かしながら、経理部だけでなく全社的な業務プロセスの効率化を目指していきたいと思っています。

会社概要
名称 青山商事株式会社
設立 1964年5月
所在地 広島県福山市王子町1-3-5
売上高 2124億円(2013年3月期連結)
社員数 8420名(2013年3月現在連結)
URL http://www.aoyama-syouji.co.jp/

『戦略経営者』2014年3月号より転載

掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、2014年3月現在のものです。
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