TKC会員事務所の経営基盤の強化のために

税理士業務の完璧な履行を追求するとともに、中小企業の存続・発展を積極的に支援するためには、TKC会員事務所の経営基盤の強化と業務品質の向上が不可欠になります。

『TKC会計人の行動基準書』を遵守

 私たちTKC会員が遵守すべき行動規範であるとともに、会計事務所が成功するためのバイブルとも言えるのが、『TKC会計人の行動基準書』です。第1章「総論」、第2章「倫理規定」、第3章「実践規定」、第4章「遵守義務」の4章から構成されています。

 TKC全国会の創設者である飯塚毅初代会長は、その制定の目的を次のように述べています。

 行動基準書の制定は、米国公認会計士協会(AICPA)の制定にかかる約2000頁に及ぶ『職業専門家としての行動基準書』“Professional Standards”に範をとったものであり、その基本とする考え方は、職業専門家集団の社会的権威の向上は、その集団的な自律強化の方向にしかない、という点にあります。
(出典:飯塚毅「なぜTKC会計人は日本を制する、といえるのか」『TKC会報』1978年8月号)

 1960年代の米国では、銀行が大型コンピューターを次々に導入して中小企業の財務計算を受託し、会計人業界は大きな危機に見舞われました。このとき米国公認会計士協会(AICPA)は、約2000頁にもおよぶ非常に厳格な『行動基準書(Professional Standards)』の中から、倫理規定とその施行規則を大量に印刷して全金融機関に送付し、会計士の崇高な職業倫理観と厳格な業務内容とをアピールしたといいます。つまり、厳格な拘束性の中で業務を行っている会計士は信用に足る存在であるとの認識を持ってもらえるよう、金融機関への理解と啓蒙を促したわけです。その結果、金融機関と会計士との連携が進み、会計士に対する信頼と社会的地位が向上しました。

 私たちTKC会員も税理士業界の社会的権威の向上と金融機関との信頼関係を築くために、厳格な行動規範である『TKC会計人の行動基準書』の遵守に努めています。

TKC全国会バッジ会員の拡充

 TKC全国会では、翌月巡回監査の実践や「継続MASシステムによる経営計画策定支援」「FXクラウドシリーズによる自計化支援」「税理士法第33条の2に規定する書面添付の実践」「生涯研修54時間の履修」など、TKC全国会の理念および政策を積極的に実践しているTKC会員に対して「TKC全国会バッジ」を貸与し、これを顕彰しています。

 これは、まだその基準に到達していないTKC会員に対して助言し、TKC会計人としての業務品質の向上を図り、TKC会員事務所全体をレベルアップすることを目的としています。

巡回監査士・巡回監査士補の養成

 事務所の総合力を高めることは、職員の巡回監査能力の向上なくして実現することはできません。このため、TKC全国会では1985年4月より職員研修制度を構築しています。

 2012年4月からは職員研修制度の一環として、職員の巡回監査能力の向上を目的とした「巡回監査士」の資格認定を開始しました。また、2016年からは「巡回監査士補」の資格制度を新設し、その取得を推奨しています。さらに、新入職員研修、初級職員研修、巡回監査士補研修、巡回監査士研修と段階に応じた職員育成のためのオンデマンド研修も充実しております。現在、巡回監査士は5,520人、巡回監査士補は12,460人、合計17,980人の資格取得者がいます。(2026年1月1日現在)

3-1-4④《資格取得の支援》
 会員は、職員が税理士、巡回監査士、その他の職業専門家としての公的資格を取得することを積極的に支援しなければならない。

 この資格は、主に税理士事務所および税理士法人に勤務する職員を対象とした資格で、職業倫理、巡回監査、企業会計、経営助言のほか、所得税、法人税、消費税、相続税といった各税目等についての高度な専門知識と倫理観に関する学習を行い、これに基づいて行われる巡回監査士試験に合格した職員に与えられます。

 なお、巡回監査士・巡回監査士補は、コンサルタント系の民間資格認定団体では最も権威のある公益社団法人全日本能率連盟の登録資格(認証番号第129号および第133号)です。

 近年、会計事務所では、社会情勢や関与先企業のニーズの変化に対応して業務内容が広範囲化・複雑化しており、職員はこうした資格の取得により、所長の右腕として活躍の場を広げ、中小企業経営者の支援にあたることが期待されています。

 職員教育は、事務所の業務品質と経営効率の向上に直結します。巡回監査士・巡回監査士補が増え、事務所の業務品質が上がり、質の高い中小企業支援ができれば、経営者をはじめとした社会の納得を得られる機会が増えることにもつながります。このため、われわれTKC会員は、最大限の関心と精力を注ぎ、職員教育にあたるべきだと考えています。


(『TKC全国会のすべて 2026年9月版』より転載)