ニュースリリース
【調査報告】ユーザー(市区町村)の半数超が来秋から「公金納付デジタル化」に対応予定
2025年6月25日
株式会社TKC(本社:栃木県宇都宮市/代表取締役社長:飯塚真規)は、当社の基幹系システム・公会計システムを利用するお客さまを対象に「公金納付のデジタル化への対応に向けた検討状況に関するアンケート調査」を実施しました。
【調査結果サマリー】
- 約8割が、取りまとめ担当部署を「設置/設置予定」
- 取りまとめ部署は、約6割が「会計部門」
- 半数以上が「開始時期」を決定(2026年9月が46%、2027年4月が6%)
- 対応予定の公金の種類は、「介護保険料」と「後期高齢者医療保険料」が同率1位。次いで、「行政財産の目的外使用料」や「道路占有料」のほか、「幼稚園・保育園等の利用料」など
- 6割以上が、財務会計システムなどの改修や業務フローの見直し検討を開始
公金納付のデジタル化とは
国は「規制改革実施計画」(2024年6月21日閣議決定)等に基づき、住民・民間事業者の利便性向上や自治体の事務効率化の観点から“公金納付のデジタル化”を進めています。
2026年9月からは、全ての自治体が利用する地方税ポータルシステム「eLTAX」と「地方税統一QRコード」(eL-QR)による全国統一の仕組みを活用した電子納付が始まります。これにより、住民や事業者はeL-QRが付いた納付書で、金融機関からの口座引き落としやインターネットバンキングでの納付に加えて、スマートフォン決済アプリを利用した電子納付が可能となります。一方、自治体にとっても納付情報がデータで届くことにより収納管理事務の効率化につながります。
この取り組みが全国的に進むことでより大きな効果が期待されることから、国は全国の自治体へ幅広い公金を対象にeL-QRを活用した電子納付に対応するよう求めています。
◇ ◇ ◇
TKCでは今回の調査結果を踏まえ、自治体(特に市区町村)の皆さまが公金納付のデジタル化へスムーズに対応できるよう財務会計システムなど各種業務システムの改修・機能強化を進めるほか、さまざまな機会を通じて最新情報の提供や制度への理解促進に努め、「行政効率の向上による住民福祉の増進」の実現をご支援してまいります。
調査概要
- ●調査の狙い
- 地方税以外の公金納付のデジタル化対応に向けた検討状況(対象となる公金の種類や開始時期、取りまとめ担当部署の設置など)の実態調査
- ●調査対象
- TKCの基幹系システム・公会計システムを利用する332団体(2025年1月1日現在)
- ●有効回答数
- 113団体・122名(団体数では調査対象の34%)
- ●調査方法
- TKCシステムを利用する団体を対象としたWebアンケート
- ●実施時期
- 2025年1月24日(金)~2025年2月14日(金)
調査背景
総務省によれば、保険料や水道料金などの公金納付のために、推計で年間4億件近くの納付書が作成・送付され、その多くが“紙”と“対面”での支払いとなっています。
昨今、キャッシュレス決済ニーズが高まる中で、2026年9月からは「地方税統一QRコード」(eL-QR)が付いた納付書であれば、どの自治体に対しても全国の金融機関から納付できるのに加え、スマートフォン決済アプリを利用した電子納付が可能となります。
すでに、2023年4月からeL-QRを活用した電子納付をスタートしている地方税では、年間利用件数が8,193万件(納付額は約12兆円/2023年度実績、出典:総務省資料)に達しており、同様に、地方税以外の公金納付についてもデジタル化を進めることで住民・事業者と自治体の双方に大きな効果をもたらすと期待されています。
自治体が、来年9月から公金の電子納付サービスを開始する場合、今年度中に財務会計システムをはじめ関連する業務システムの改修を行う必要があります。そこで、公金納付のデジタル化対応に向けた検討状況や推進上の課題等を明らかにし、より多くの自治体において積極的な取り組みにつながることを目的に今回の調査を実施しました。
調査結果
図1.取りまとめ担当部署の決定状況(n=113)
公金納付のデジタル化は複数部署に関連する事案のため、自治体では庁内の体制整備として「取りまとめ担当部署」の設置が不可避となっています。その設置状況について質問したところ、全体の半数に近い54団体がすでに取りまとめ担当部署を「決定」し、「設置予定」(33団体)と合わせて約8割が体制整備を進めていることが明らかとなりました。
図2.どこが取りまとめを担当するか(n=54)
取りまとめ担当部署が「決定」していると回答した54団体のうち、全体の約6割にあたる32団体が「会計部門」(会計・出納・財務)と回答。最終的に出納情報を統合する会計部門を中心として、公金事務を行う原課などとの調整を進めている状況が明らかとなりました。
図3.公金の電子納付の開始時期(n=113/一部開始を含む)
全体の半数以上が、具体的に開始時期を定めて準備を進めていることが明らかとなりました(2026年9月が52団体、2027年4月が7団体)。
なお、開始時期は「未定」と回答した団体も、多くはシステム提供事業者との調整や事務フローの見直し段階にあることによるもので、今後順次確定していくとみられます。
図4.対象とする公金の選定状況(複数回答/予定含む)
対象とする公金は、取扱件数が相当量となる「介護保険料」と「後期高齢者医療保険料」が同率トップとなりました。次いで、自治体区域外にも納付者が広く所在する「行政財産の目的外使用料」や「道路占有料」のほか、「幼稚園・保育園等の利用料」などが挙げられています。
このほか「高校授業料」や「奨学資金貸付返済金」、「放置違反金」、「施設使用料」などでも電子納付の導入が検討されていることが分かりました。なお、対象とする公金は「未定」と回答した団体も、システム事業者との調整ができ次第、今後順次確定していくとみられます。
図5.TKCシステム以外の業務システムの整理・対応調整の状況(n=113)
公金納付のデジタル化対応では、TKCシステム(基幹系・公会計)以外にも改修が必要なシステムがあります。これについて質問したところ、半数の55団体が「調整中」と回答しました。「未定・不明」とした団体も、業務システムを所管する担当部署がシステム提供事業者との間で個別に情報共有・相談を進めていることがうかがえます。
総括=調査結果から
- 回答者の属性を見ると全体の約6割が「会計部門」に所属する職員で、庁内の取りまとめ担当部署として想定されることからも、関心の高さがうかがえます。
- 全体として、公金納付のデジタル化への対応を機に、支払い手段の多様化による「住民・事業者の利便性向上」や「収納管理事務の効率化・最適化」への期待の高さがうかがえる結果となりました。
- 対象公金の選定については着実に検討が進む一方で、業務システムの改修範囲やこれにかかる費用などが現時点では確定できないこともあり、事務フローの見直しはこれから本格化していくものと見られます。
- 自由回答からは、全ての自治体に共通して取り扱い件数が多い公金(国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料)に限らず、幅広い公金での電子納付を想定している実態が明らかになりました。
- 推進上の課題として、関連する部門が複数にわたることから部門間の「情報共有不足」や「取り組み意識の温度差」などが読み取れました。
解決には、自治体トップのコミットメントに加え、情報共有やコミュニケーション促進などによる部門間の連携強化が必要と考えられます。
TKCの対応
TKCでは、自治体(特に市区町村)の皆さまが、地方税以外の公金納付のデジタル化へスムーズに対応できるよう、2024年9月に組織横断による専門プロジェクト(Next eL-Payプロジェクト)を発足しました。
対象公金の選定状況を踏まえ、介護保険料や後期高齢者医療保険料、その他の公金を取り扱う財務会計システムなどについて、2026年9月のサービス開始を見据えたシステムの改修・機能強化を進めています。
また、製品の提案・導入支援だけではなく、お客さまが公金納付のデジタル化へスムーズに対応できるよう、さまざまな機会を通じて最新情報の提供や制度への理解促進に努めています。
参考情報 : eL-QRを活用した公金収納のデジタル化で実現できること
以上
当リリースに関するお問い合わせ先
株式会社TKC 東京本社 広報部
TEL:03-3266-9200