【ユーザー事例】「ICTの力」で市民の利便性向上を図る
証明書コンビニ交付システム > 兵庫県姫路市
情報政策課 課長 田中英男 氏 / 情報政策課 マイナンバー制度・最適化担当 係長 原秀樹 氏 / 前田大誠 氏
- 住所
- 兵庫県姫路市安田4-1
- 電話
- 079-221-2111
- 面積
- 534.33平方キロメートル
- 人口
- 532,922人(平成27年8月1日現在)
- URL
- http://www.city.himeji.lg.jp/
──証明書コンビニ交付サービスを導入されたきっかけを教えてください。
田中 これまで姫路市では、証明書自動交付機を市内5か所に設置し、サービスを提供してきました。しかし、運用経費が高額なほか、障害対応など、職員負担が大きいことが課題となっていました。そこで、証明書コンビニ交付サービスについて、先進事例の研究など検討を進めていましたが、運用している基幹システム(汎用機)に大がかりな改修が必要なことや、住民基本台帳カードがあまり普及していないことなどがハードルとなっていました。
しかしこれらは、①「姫路市情報システム最適化計画」に基づき、市の基幹システムを順次パッケージシステムへ移行する、②マイナンバー制度で交付する個人番号カードに、公的個人認証の利用者証明用電子証明が標準実装され、カードの多目的利用が容易──なことから解決できると考えました。
原 これらを踏まえ、サービスを開始すれば、希望者のみの交付である個人番号カードの普及につながるとともに、市民にとってもマイナンバー制度が始まったことで、より便利になったと実感できます。また、個人番号カードが普及すれば、窓口での本人確認や番号の真正性の確認にも利用できることから、行政事務の効率化につながることも期待できます。そこで、マイナンバーの利用が始まる平成28年1月に合わせて証明書コンビニ交付サービスを開始することとしました。
職員の負担軽減と
業務継続性を重視
前田大誠 氏
──システム選定にあたり、重視した点をお聞かせください。
前田 選定では、次の2点を重視しました。一つはシステム導入・運用に伴う職員負担をいかに軽減できるかです。姫路市では、今後、業務の特性に応じて業務ごとに最適なシステムを調達し、マルチベンダー化していく計画です。新たにベンダー間の調整などが必要となり、職員負担も増加することから、個々の調達では負担の軽減を重視しています。加えてコンビニ交付は、土日祝日を含めて早朝から深夜までのシステム運用が必要なため、それに伴う負担軽減を特に重視しました。
二つ目は業務継続性です。コンビニ交付は市民に直結するサービスであり、市民の利便性を確保するためにも、できるだけサービスを止めないことが求められます。ハードウェア等の冗長化対策、システムを安定運用するための管理・監視体制など業務継続性を確保する仕組みを重視しました。
原 さらにもう一点。今回は調達のスタートが遅れたため、他市に比べ非常にタイトなスケジュールとなっています。そのため、いかにスムーズに構築するかもポイントでした。実際に採用を決めたTKCは複数団体を立ち上げたノウハウを持っており、提示されたスケジュールも安心できる内容でした。
──TKCのクラウドサービスを採用された理由は?
原 秀樹 係長
原 調達の仕様上、クラウド型限定にはしませんでした。これは、提案の幅を持たせて各社の強みを聞いてみたいと考えたからです。しかし、コスト面も含めて構築から運用管理にかかる負担、業務継続性の観点で比較すると、結果的にクラウド型(LGWAN-ASP方式)が一番魅力的でした。
前田 TKCのサービスは、前述の姫路市が重視する点にも合致しており、安心できました。具体的には、①24時間365日体制での運用・監視で、最小限の職員負担で安定したシステム運用が実現できる、②定期メンテナンスや災害などによる庁舎の停電、県域LGWAN回線の停止があってもサービスが継続できる──点は非常に安心できました。多くの団体との共同利用で割り勘効果が得られるのも魅力的です。
原 選定後に、TKCのデータセンターについて、十分に確認させていただきましたが、他社とは違いましたね。
ハードウェアやネットワークだけでなく、アプリケーションも一体的に教育を受けた社員が監視しているため、障害発生時もスムーズに対応できると感じました。これはなかなかないサービスだと思います。さらに、東日本大震災の事例を踏まえて、着実に、設備の見直しや改善を図っているのも評価できました。
──今後の取り組みを教えてください。
田中英男 課長
田中 姫路市では、市長を本部長とする「社会保障・税番号制度導入推進本部」を設置し、システムの改修に加えて、市民への広報や新たなサービスの検討なども行っています。まずは個人番号カードへのワンカード化を進めるため、図書館カードとの一体化を検討しています。
原 姫路市は面積が広く、本庁舎までバスや船を利用して1時間ほどかかる山間部や離島があるため、市民の利便性向上を図るためには「ICTの力」が不可欠です。将来的にはICTを駆使して、市民が自宅にいながら行政サービスが受けられる「姫路市役所マイ・ポータル」のようなサービスを提供し、市民が利便性向上を実感できるようにしたいと考えています。
掲載:『新風』2015年10月号