【ユーザー事例】クラウド活用で市民150万人の利便性向上を目指す
証明書コンビニ交付システム > 兵庫県神戸市
市民参画推進局参画推進部 区政振興課業務改善担当係長 小嶋 崇行氏 / システム担当係長 野口 泰弘氏 / 岡本 康志氏
- 住所
- 兵庫県神戸市中央区加納町6丁目5番1号
- 電話
- 078-322-5072
- 面積
- 152.14平方キロメートル
- 人口
- 1,536,182人(平成27年6月1日現在)
- URL
- http://www.city.kobe.lg.jp/
──証明書コンビニ交付サービスを導入されたきっかけを教えてください。
岡本 これまで神戸市では、三宮証明サービスコーナーや市内12カ所に設置した自動交付機で、時間外の証明書交付サービスを市民に提供してきました。しかし、交付機本体の老朽化が課題となっていました。
証明書コンビニ交付サービスについては、3年前に交付機のリプレース時期を迎えた頃から検討していましたが、当時は、住民基本台帳カードの普及が思ったように進んでいなかったことから見送っていました。そして今回、マイナンバー制度の開始に併せて、新たに交付する個人番号カードを活用する新サービスとして、自動交付機を廃止し、平成28年1月より証明書コンビニ交付サービスを開始することに決めました。このタイミングでサービスを開始することで、個人番号カードの普及にもつながると考えています。
野口 しかも、個人番号カードに初期搭載される「利用者証明書用電子証明書」を利用する公的個人認証方式(新方式)を採用するため、サービスの利用開始前に住民にあらためて来庁してもらう必要がありません。また、ICカード標準システムの導入も不要となるためコストが抑えられるというのも大きかったですね。
職員負担や業務継続性を考慮して
クラウド方式で調達
岡本 康志氏
──システム選定で、クラウド(LGWAN-ASP)方式を前提とされた理由は何でしょうか。
野口 理由は大きく3点あります。
まず、システム運用にかかる職員負担が軽減できる点です。庁内にサーバを設置した場合、システムメンテナンスや障害対応など時間外作業に職員が立ち会う必要があります。しかも、コンビニ交付サービスの提供時間は早朝から深夜にわたるので、職員負担は特に大きくなり、限られた職員で対応するのは非常に厳しいと考えました。一方でクラウド方式なら、これらのシステム運用をベンダーに任せられるほか、機器の冗長化や24時間体制の運用・監視などで、より安定したシステム運用が実現できると考えました。
2点目は、サービスを止める時間を最小限にできることです。庁内にサーバを設置した場合、マシン室のメンテナンスや庁舎の電気設備の点検に伴う停電などで、年に数日はサービスを止める必要があります。不定期にサービスを止めるとなると、市民の利便性が低下するほか事前の周知も難しいですが、クラウド方式なら、これらの課題を解消できます。
3点目は、神戸市の個別事情になりますが、すでに他のサービスで「セルフASPセグメント」を構築済みで、新たにコンビニ交付で利用するのが困難だったということもあります。
また、クラウド型とすることで特別交付税措置の対象となることも挙げられますね。
──クラウドに対して抵抗感はありませんでしたか。
小嶋 崇行係長
小嶋 採用にあたっては、庁内で定められた手続きを行いましたが、極端に大変なものではありませんでした。
野口 基幹システムをLGWANに接続することについても、住民基本台帳法の改正や戸籍の副本バックアップ時に対応していたため、今回は必要なセキュリティー対策を講じることで、特に問題にはなりませんでした。
コンビニ交付では政令市初のクラウド
システムは実績を重視
野口 泰弘係長
──システム選定でポイントとなったことは何でしょうか。
小嶋 システム選定は、総合評価一般競争入札で行い、実際の選定にあたっては外部の有識者にも意見をいただきました。最終的に2社からの提案を受け、共同利用型の「TASKクラウド証明書コンビニ交付システム」を採用しました。
神戸市として初めてLGWAN-ASPサービスを採用することもあり、選定では実績を重視しました。特に、TKCは、すでに同サービスでの豊富な実績があったほか、税の分野ですが政令市でも実績があった点を評価しました。
また、他のベンダーとは異なり、他団体と共同利用する形態のため、コストメリットに優れている点も大きかったです。
野口 既存システムとのデータ連携についても、汎用的に対応できる仕組みが用意されており、実績もあることから安心できました。
──最後に、今後の取り組みを教えてください。
小嶋 まずは、マイナンバー制度に確実に対応し、コンビニ交付サービスをスケジュール通りに開始することが先決ですが、その後についても、市民の利便性をさらに向上できるよう、研究を進めています。例えば、公的個人認証の仕組みを活用し、電子申請の拡充を図っていきたいと考えています。
掲載:『新風』2015年7月号