【ユーザー事例】
四国初のコンビニ交付サービス。
目的は市民の利便性向上!
住民向けソリューション「証明書コンビニ交付システム」 > 愛媛県宇和島市
宇和島市役所 総務部企画情報課 課長補佐兼情報統計係長 山下真嗣氏
- 住所
- 愛媛県宇和島市曙町1番地
- 電話
- 0895-24-1111
- 面積
- 469.58平方キロメートル
- 人口
- 83,536人(平成25年5月31日現在)
- URL
- http://www.city.uwajima.ehime.jp/
山下真嗣課長補佐
──これまでの情報化の取り組みについて教えてください。
山下 現在の宇和島市は平成17年8月に1市3町(旧宇和島市・吉田町・三間町・津島町)の合併により誕生しました。各市町ではそれまでも着実に情報化へ取り組んでまいりましたが、なかでも、旧三間町では平成14年には各公共施設を光ケーブルで結んだり、自動交付機を利用した証明書交付サービスを実施するなど、ICTを活用した住民の利便性向上へ積極的に取り組んできました。
そのため合併時には、すべての支所・本庁に交付機を設置することを検討しましたが、最終的には費用等の問題によりその時点では見送らざるを得ず、三間庁舎でのみサービスを継続することになりました。以来、この問題は市民サービス向上の観点から継続して検討すべき課題となっていました。
──平成25年6月1日より四国では初となる「コンビニにおける証明書等の交付(コンビニ交付)」を開始されましたが、サービス導入のきっかけは何だったのでしょうか。
山下 きっかけの一つは、証明書自動交付機の更新時期となり、改めて市民サービス拡大について検討したためです。
しかし、全ての支所・本庁へ交付機を設置するとなると導入コストが膨大となりますし、また増設しても・しなくても交付機を使い続ければ5~6年おきに入れ替えの費用がかかります。それ以外にも住基法改正など、法改正に伴うシステム改修費も課題となっていました。
そのような中で財団法人地方自治情報センターが実施していた補助事業の存在を知り、コンビニ交付サービスの導入の検討を開始しました。
コンビニ交付であれば、これまで自動交付機を設置していなかった地域でもコンビニの店舗を活用することで証明書交付サービスが提供でき、市民の利便性向上につながるなと考えました。
ただ、検討をはじめた平成22年当時は、市内はおろか、四国にもコンビニ交付を実施できる店舗(当時はセブン-イレブン)がなかったんです。そのため、庁内ではコンビニ交付サービスの導入に対して慎重な意見が多く、なかなか話を前に進めることができませんでした。
──そのような状況の中で、どのように計画を進められたのですか。
山下 市では『第2次宇和島市行政改革大綱』(推進期間:平成23年度~平成26年度)を作成しており、まずはその実施計画に企画情報課主導で「コンビニ交付サービスの導入」を盛り込みました。
また、原課の担当者へ「住民基本台帳カード利活用セミナー」でコンビニ交付の導入効果を直に聞いてもらうなど積極的に働きかけることで、庁内の意識を醸成していきました。
そして、平成24年5月末に、平成25年より新たにサークルKサンクスとローソンがコンビニ交付サービスの提供を開始するとの報道があり、市内にあるコンビニでもサービスを利用できるようになりました。これが最後の一押しとなり、平成24年9月には予算化を決定し、サービス導入に至りました。
採用の決め手は「クラウド」
──「TASKクラウド証明書コンビニ交付システム」を採用いただいた理由は何ですか。
山下 理由は三つあります。まずは入札でしたのでシステムの導入と維持にかかるコストが安価だったことです。
二つ目の理由は、TKCのシステムがLGWANを活用する「クラウド方式」だったという点です。というのも宇和島市では、次の更新のタイミングで基幹系システムについてクラウド化することを検討しており、今後導入していくものは可能な限りクラウド化していきたいと考えていました。その理由は、サーバ室のある本庁舎が昭和51年に建設されたものであるため老朽化がかなり進んでいるということと、海が近いということを考えると、庁舎内のサーバ室でデータを管理するよりも、堅牢なデータセンターでデータが管理されるクラウド方式の方が、業務継続性の確保の点からも有効だと考えたからです。
三つ目は実績です。今回のコンビニ交付により、宇和島市ではクラウドサービスを初めて導入することとなりましたが、TASKクラウド証明書コンビニ交付システムが4団体で稼働実績があるという点は安心できました。庁舎外に住民データを置くことについては、すでに基幹系サーバのハウジングを実施していますのでそれほど抵抗はありませんでしたが、それでもまったく実績がないところに預けるのは不安がありますからね。
──サービスを導入するにあたり課題はありましたか。
山下 課題となるようなことはありませんでしたね。ベンダーが異なるため、基幹系システムとの連携部分の構築については気になっていましたが、TKCでは標準的なシステム連携の仕組みが構築されていたため、実際には大きな問題もなく導入作業が進み、サービスを開始することができました。
──市民サービス向上の点で、今後のご計画を教えてください。
山下 コンビニ交付サービスについては、6月1日より「住民票の写し」と「印鑑登録証明書」という形でスタートしました。ただ、コンビニ交付サービス導入の目的はシステムを導入することではなく、住民の方の利便性を向上させることです。そのため、まずは5年間で利用率を上げるための取り組みを進めていく予定です。具体的には、①地元ケーブルテレビの活用、②公共施設等にポスターを掲示し周知する、③人が集まるスーパーマーケットなどに出向いて住基カードの申請受付を実施する──等の方策を考えています。
また、将来的にはコンビニ交付サービスにおいても各種税証明や戸籍証明書、戸籍附票の写しを提供できるようにしたいと考えています。
これからも、市民満足度の高い行政運営を推進するため、市民の声を反映した質の高い行政サービスの提供に努めてまいります。
掲載:『新風』2013年7月号