2025.04.01
特別地方交付税の額の決定取消請求事件
★「新・判例解説Watch」行政法分野 令和7年5月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
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LEX/DB25574103/最高裁判所第一小法廷 令和 7年 2月27日 判決(上告審)/令和5年(行ヒ)第297号
上告人・泉佐野市が、総務大臣がした特別交付税の額の決定(本件各決定)について、令和元年度における市町村に係る特別交付税の額の算定方法の特例を定めた特別交付税に関する省令附則5条21項(令和2年総務省令第111号による改正前)及び同附則7条15項(令和2年総務省令第12号による改正前)は、いわゆるふるさと納税に係る収入が多額であることをもって特別交付税の額を減額するものであって、地方交付税法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効であるなどと主張して、被上告人・国に対し、本件各決定の取消しを求め、第一審が上告人の請求をいずれも認容したところ、被上告人が控訴し、控訴審が、本件訴えは、行政主体としての上告人が、法規の適用の適正をめぐる一般公益の保護を目的として提起したものであって、自己の財産上の権利利益の保護救済を目的として提起したものと見ることはできないから、裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」には当たらないとして、原判決を取り消し、上告人の訴えをいずれも却下したことから、上告人が上告した事案で、特別交付税は、地方交付税の一種であり、交付されるべき具体的な額は、総務大臣がする決定によって定められるものである(地方交付税法4条2号、6条の2第1項、15条1項、2項、16条1項)から、特別交付税の交付の原因となる国と地方団体との間の法律関係は、上記決定によって発生する金銭の給付に係る具体的な債権債務関係であるということができ、地方団体が特別交付税の額の決定の取消しを求める訴えは、国と当該地方団体との間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争に当たるというべきであり、また、特別交付税の額の決定は、地方交付税法及び特別交付税に関する省令に従ってされるべきものであるから、上記訴えは、法令の適用により終局的に解決することができるものといえ、以上によれば、地方団体が特別交付税の額の決定の取消しを求める訴えは、裁判所法3条1項にいう法律上の争訟に当たると解するのが相当であるとして、原判決を破棄し、本件を大阪高等裁判所に差し戻した事例。
2025.04.01
再審請求棄却決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件(大崎事件第4次再審請求棄却決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告棄却決定)
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LEX/DB25621990/最高裁判所第三小法廷 令和 7年 2月25日 決定(特別抗告審)/令和5年(し)第412号
請求人の母親であるP2に対する殺人、死体遺棄被告事件について昭和55年3月31日鹿児島地方裁判所が言い渡した有罪判決(P2に対する確定判決)及び請求人の父親であるB(平成5年10月2日死亡)に対する殺人、死体遺棄被告事件について昭和55年3月31日同裁判所が言い渡した有罪判決(Bに対する確定判決)に関し、P2及びBに対して無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したとして、請求人が、刑事訴訟法439条1項4号に該当する者として、同法435条6号により各再審開始請求(いわゆる大崎事件第4次再審請求)をしたところ、第一審が各再審請求を棄却したため、請求人が即時抗告し、即時抗告審が、S鑑定及びQ・R鑑定はH及びIの各供述を減殺するものとはいえず、また、N鑑定は、各確定判決が証拠の標目に掲げたJ旧鑑定の信用性を減殺するものではあるが、各確定判決の事実認定においてJ旧鑑定が占める重要性からすれば、各確定判決の事実認定に合理的疑いを生じさせるものとはいえず、H及びIの各供述の信用性、B、C及びFの各自白並びにGの供述の信用性を減殺するものとはいえないとし、弁護人の提出する新証拠は、確定判決の事実認定に合理的疑いを差し挟むものとはいえないと判断した原決定に誤りはないとして、本件各即時抗告を棄却したことから、請求人が各特別抗告した事案で、本件各抗告の趣意は、いずれも、判例違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認の主張であって、刑事訴訟法433条の抗告理由に当たらず、なお、所論に鑑み、職権により判断すると、本件各再審請求において提出された各新証拠を併せ考慮してみても、各確定判決の有罪認定に合理的な疑いを生ずる余地はないというべきであるから、新証拠はいずれも各確定判決の認定に合理的な疑いを生じさせるものではないという原々決定を是認した原決定は、正当であるとして、本件各抗告を棄却した事例(再審開始決定をすべきとする反対意見あり)。
2025.03.25
固定資産価格審査決定取消請求事件
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LEX/DB25574074/最高裁判所第二小法廷 令和 7年 2月17日 判決(上告審)/令和5年(行ヒ)第177号
本件家屋を所有する上告人(被控訴人・原告)が、大阪市長により決定され家屋課税台帳に登録された本件家屋の平成30年度の価格を不服として大阪市固定資産評価審査委員会に対して審査の申出をしたところ、これを棄却する決定(本件審査決定)を受けたため、被上告人(控訴人・被告)・大阪市を相手に、本件審査決定の取消しを求め、第一審が上告人の請求を認容したため、被上告人が控訴し、控訴審が第一審判決を取り消して請求を棄却したことから、上告人が上告した事案で、本件登録価格を決定するにあたり、本件家屋について、その低層階を構成する構造に応じたSRC造等経年減点補正率を適用したことが、評価基準に反するものということはできないとして、本件上告を棄却した事例(反対意見あり)。