2025.01.07
固定資産評価審査決定取消請求控訴事件
LEX/DB25621372/札幌高等裁判所 令和 6年 4月19日 判決(控訴審)/令和5年(行コ)第16号
被控訴人会社が、平成30年度の控訴人・小樽市の公売において本件家屋を含む不動産を8900万円で落札してその所有権を取得したが、控訴人市長が、本件家屋の固定資産税に関する価格である令和3年度土地・家屋課税台帳への登録価格を3億1556万7800円と決定したことから、被控訴人が、本件登録価格を不服として審査の申出をし、これに対して、小樽市固定資産評価審査委員会が、小樽市の評価額は適正であるとして審査の申出を棄却する旨の決定をしたことについて、被控訴人が、本件決定につき、〔1〕本件家屋は約17年間使用されることなく放置されていたなどの損耗による評価減点事情があり、また〔2〕本件家屋の地域的状況が劣るなどの需給事情による評価減点事情があるにもかかわらず、固定資産評価基準に従ってこれらの事情が考慮されることなく本件登録価格が決定されたため違法であるなどと主張して、控訴人に対し、本件決定の取消しを求め、原審が本件決定の全部を取り消したことから、控訴人が控訴した事案で、本件家屋は、低層階の窓ガラスの多くが破損しても補修されることなく屋内への雨水等の浸入を許す事態が放置されており、通常の維持管理が全くされてないことは明らかであるから、本件家屋の状況については、通常の維持管理を行う場合に生じる損耗を超えた損耗が生じているといえ、これが長期間の経年劣化に伴う程度の損耗に過ぎないなどということはできないところ、経年減点補正率によることが適当でないとして本件決定を取り消した原判決は相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2025.01.07
損害賠償等請求控訴事件
★「新・判例解説Watch」民法(家族法)分野 令和7年2月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
★
LEX/DB25621384/大阪高等裁判所 令和 5年12月15日 判決(控訴審)/令和5年(ネ)第1308号
大阪府吹田子ども家庭センター所長が、控訴人の長男であるEについて、控訴人から虐待を受けていることが疑われるとして、児童福祉法33条1項に基づく一時保護を開始し、家族再統合に向けた話合いを行うためとして、同法27条1項2号に基づく児童福祉司指導措置決定をしたところ、控訴人が、本件一時保護の開始後に本件児童との面会通信が違法に制限されている(本件面会通信制限)と主張して、被控訴人・大阪府に対し、〔1〕本件面会通信制限の差止めを求めるとともに、〔2〕国家賠償法1条1項に基づき、精神的苦痛に対する損害賠償金の支払を求め(甲事件)、加えて、控訴人が、現時点で本件一時保護を継続することは違法であると主張して、〔3〕本件一時保護の解除(撤回)の義務付けを求めるとともに、本件指導措置決定は違法であるとして、〔4〕本件指導措置決定の取消しを求め(乙事件)、原審が控訴人の請求をいずれも棄却したことから、控訴人が、〔1〕人格権に基づき、本件面会通信制限の差止めを求めるとともに、〔2〕国家賠償法1条1項に基づき、精神的苦痛に対する慰謝料の支払を求めて控訴した(原審甲事件)事案で、本件所長による本件面会通信制限は、児童福祉法33条の2第2項による適法な措置であり、控訴人の人格権を侵害する違法な行為であるとはいえないから、本件面会通信制限の差止請求及びこれによる国家賠償法1条1項に基づく慰謝料請求のいずれについても理由がないところ、原判決は相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2024.12.24
国家賠償請求控訴事件
★「新・判例解説Watch」民法(家族法)分野 令和7年2月上旬頃解説記事の掲載を予定しております★
LEX/DB25621271/東京高等裁判所 令和 6年10月30日 判決(控訴審)/令和5年(ネ)第292号
同性の者との婚姻を希望する控訴人らが、被控訴人・国に対し、現行の法令が、婚姻は男女間でなければできないものとし、同性間の婚姻を認めていないことは憲法14条1項、24条1項、2項に違反すると主張して、国会が現行の法令では男女間でのみ認められている婚姻を同性間でも可能とする立法措置をとらないという立法不作為の違法を理由に、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料各100万円及び遅延損害金の支払を求め、原審が控訴人らの請求をいずれも棄却したところ、控訴人らが控訴した事案で、〔1〕「現行の法令が同性婚を認めていないことの憲法適合性」について、現行の法令が、民法及び戸籍法において男女間の婚姻について規律するにとどまり、同性間の人的結合関係については、婚姻の届出に関する民法739条に相当する配偶者としての法的身分関係の形成に係る規定を設けていないことは、個人の人格的存在と結び付いた重要な法的利益について、合理的な根拠に基づかずに、性的指向により法的な差別的取扱いをするものであって、憲法14条1項、24条2項に違反するというべきであるとする一方、〔2〕「本件立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上違法か」について、現時点までに、同性間の人的結合関係について配偶者としての法的身分関係の形成に係る規定を設けていないことが憲法14条1項、24条2項に違反することが、国会にとって明白となっていたということはできないから、国会が、現時点(当審口頭弁論終結日である令和6年4月26日時点)までに、民法及び戸籍法において男女間の婚姻について規律するにとどまり、同性間の人的結合関係については婚姻の届出に関する民法739条に相当する配偶者としての法的身分関係の形成に係る規定を設けるに至っていないという立法不作為をもって、国家賠償法1条1項の適用上違法であるということはできないとして、本件控訴をいずれも棄却した事例。