高助商事有限会社 様

高助商事有限会社

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

販売管理システムとの連携で
入力業務の効率性が大幅に向上

神奈川県小田原市で自動車関連サービスを展開する高助商事。新車・中古車の販売から自動車整備、保険の取り扱いまで多様なサービスを地域密着型で展開している。高井雅弘社長と吉野広之進顧問税理士、監査担当の小森浩司氏に、『FX4クラウド』導入の効果などを聞いた。

整備から保険の販売まで自動車サービスを一貫提供

──会社の沿革をご説明ください。

高井雅弘社長

高井雅弘社長

高井 もともと祖父がはじめた石材店が当社のはじまりです。その後モータリゼーションの進展とともに「街の修理屋さん」として自動車整備事業をスタート、石材部門と自動車部門の2本柱で事業を継続してきました。さらに私の代に入り新車・中古車の販売や生損保の販売まで事業領域を拡大、スズキの特約代理店や三井住友海上あいおい生命保険の代理店として今に至っており、現在では整備と販売、保険の三つが事業の柱になっています。また当社は全日本ロータス同友会(※)(ロータスクラブ)に加盟しており、個人向けリースやレンタカー、キャンピングカーの販売などもしています。

──強みはなんでしょう。

高井 規模の拡大を追うのではなく、高付加価値のサービスを意識した地域密着経営を心掛けています。自動車修理のお客さまが次に車検でご利用いただき、その後板金や保険でもご活用いただくといったように、車に関するさまざまなサービスを一貫して提供するのが理想です。

──他社との差別化はどのように?

(上)整備工場 (下)リニューアルした新店舗

(上)整備工場 (下)リニューアルした新店舗

高井 今年に入り、新店舗をリニューアルしました。木のあたたかみを感じられるインテリアにしたほか、子供連れでも気兼ねなく来店できるようにキッズスペースを設置。スマホなどですぐに情報が見られるようにホームページを作成するなど、女性が来やすい雰囲気づくりを心がけたところ、女性客が依然に比べ大幅に増加しました。この点が、なかなか女性ひとりでは入りにくい普通の修理工場とは大きく異なるところだと自負しています。

──自動車に関する女性客のニーズが拡大しているのでしょうか。

高井 はい。昔に比べ確実に女性の運転手は増えましたからね。家計のなかでも自動車の購入に際して女性が決定権を持っている場合が多いのではないでしょうか。従って当社で販売している自動車のラインアップはほとんどが小型車や軽自動車になっています。あるディーラーでは店舗でコーヒーやお菓子を振る舞う「カフェ化」をグループ全体で推進していますが、当社でも景品つきのくじやラムネのプレゼントなど女性やお子さんに喜んでいただけるイベントを工夫しています。

──消費税増税などがありましたが、業界環境はいかがですか。

高井 自動車取得税が廃止されるので新車の小型車については増税後に安くなる可能性があり、5%から8%のときほど駆け込み需要はありませんでした。いずれにせよ利幅が少ない自動車業界では、ポルシェに特化した整備を展開するとか、通常の一般整備は基本的にやらず車検だけに特化するとか、あるいは当社のように販売から整備まですべてをやるのかなど、何かしら強みがないと勝てない厳しい環境です。

※全日本ロータス同友会
 自動車整備業者の組織として1975年1月に設立。自動車整備業界の近代化、社会的地位の向上、さらには法定需要依存体質からの脱皮など、新しい業界づくりの理想を掲げてスタートし、1社ではできないことも全国の同友(約1650社)が結束することで成長してきた。

部門別管理の導入で収益の見える化を実現

──3年前に顧問税理士を変えたと聞きました。

高井 以前は親戚の税理士の方にお願いしていたのですが、「税金が安ければいい」という昔ながらのやり方で、決算まで利益が出ているのかどうかまるで分らない状態でした。しかし12年前にロータスクラブの会員となり、特色のある経営をしている同業の経営者から多くの刺激を受けるなかで、自分でも将来に向けた設備投資を実行に移そうと考えるようになりました。そこでまずは財務の正確な把握をしなければならないと思い、知人を通じオフィスオハナさんに見てもらうことにしたのです。

吉野広之進顧問税理士

吉野広之進顧問税理士

吉野 経理の役割は本来、さまざまな数字を比較することによって会社の財務を正確につかみ、利益の拡大につながる打ち手を講じ、内部留保を積み、そしてさらなる成長につなげることです。しかし最初に高助商事さんの財務諸表を見たときに、会社の内実が何も見えてきませんでした。これだけ幅広いサービス、取扱商品を手掛けているのに、部門別管理や個体識別をしておらず、過去の検証ができなかったからです。しかも現金の出入りを重視し、決算のときに最終的に調整するというような比較的現金主義に近い形態で経理が行われていたので、まずはTKCの『FX2』を入れ、原則通りの発生主義に転換することから始めました。

──2018年から『FX4クラウド』を導入されています。経緯について教えてください。

高井 最初は『FX2』を入れ、整備、販売、保険の3部門による部門別管理をはじめました。最初の決算が終わり、担当が小森さんに変わった後くらいに『FX4クラウド』を入れています。その一番の理由は、ロータスクラブの会員が使っている販売管理システム「ブロードリーフ」との連携です。とくに当社の場合は自動車販売や車検整備の売り上げに関し、消費税やお客さま負担分の立替金といった特有の複雑な取引が発生し、一つ一つの資料をチェックするのに莫大(ばくだい)な時間がかかってしまっていました。システムとの連動でブロードリーフの数字がそのままTKCシステムに反映されると聞いたのでこれは便利だと思い導入を決断したわけです。

小森浩司監査部課長

小森浩司監査部課長

──導入の効果はいかがでしょう。

小森 それまで入力担当者がブロードリーフの数字をいったん出力してそれをTKCシステムに入力し直していました。その手間がそっくりそのままなくなったので、時間的にもだいぶ楽になったと思います。打ち間違えもゼロになりますしね。以前は巡回監査の日に残高チェックを1日がかりで行っていましたが、連携後は2~3時間に短縮することができました。私たちは自動化できるものはできるだけ自動化して、経理担当者のフリーな時間を可能な限り生み出すことが重要だと考えているので、「銀行信販データ受信機能」や「TKCモニタリング情報サービス」なども提案し、導入いただいています。こうしたさまざまな機能をフル活用することで、今後人件費のさらなる上昇が予想されるなか、たとえシステム料がかかったとしても、経理業務全体のコストは下げられると考えています。

高井 この業界は取引数も多いので経理業務が大変なのですが、データ連携のおかげで相当楽になりましたね。ブロードリーフは自動車整備に関するシステムでは最もコストがかかると言われていて、TKCも決して安くはありません。当社の規模だとぜいたくだと言う人がいるかもしれませんが、私は人件費と考えれば安いものだと思います。もう一つ良いと思ったのは、入力担当者が変わったときも、スムーズに引き継ぎができると感じたこと。オフィスオハナさんが常にバックアップしてくれるので、担当者1人にすべて任せていて、その人が辞めてしまったときに困る、ということがないでしょうから。
 いずれにしろ相当経理業務が楽になったので、この組み合わせを一度経験してしまうと、もう以前には戻れません(笑)。当社のような規模の小さい会社ほど効果が高いのではないでしょうか。

店内と整備風景

──データをどのように経営判断に生かしていますか。

高井 部門別管理で部門ごとの収益の状況がはっきりしたので、利益率の推移を注視するようになりました。スタッフの配分をどうするか、どの部門に将来投資すべきかといった経営判断の際の一番の材料になっています。

──今後の抱負を。

高井 一緒に働いている社員とともにできるだけ長く会社を続けていきたいと思っています。成長のための設備投資を惜しむ気持ちはありませんが、他店舗展開や規模の拡大を追うようなことはしないつもりです。既存事業をとことん突き詰め、強くしていくことが第一だと考えています。

企業情報

高助商事有限会社

高助商事有限会社

設立
1953年11月
所在地
神奈川県小田原市板橋199
URL
http://www.takasuke-j.com/

顧問税理士 税理士法人オフィスオハナ
代表社員 吉野広之進

所在地
神奈川県横浜市西区北幸2-9-40
URL
https://www.office-ohana.jp/

『戦略経営者』2019年11月号より転載)