株式会社飯島精機様

株式会社飯島精機

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

部門・プロジェクトごとの管理で
経営の意思決定がより迅速に

金属部品の設計、製造、品質保証まで一貫して提供し、高い評価を得ている飯島精機。今年の5月には株式会社化を果たし、信頼性をより強固なものにした。的確な経営判断を早期に下すため松村武士社長(35)が活用しているのが『FX4クラウド』。部門ごとの業績把握をベースに、年率10%をこえる勢いで業績を伸ばしている。

不断の教育で技術力を磨き微細加工により差別化を図る

──機械部品の製造を手がけられていると聞いています。

松村武士社長

松村武士社長

松村 金型で鉄の板を曲げたり、穴をあけるなどして部品をつくるプレス加工を主力にしています。プレス加工による部品製造が売り上げの8割ほどで、もうひとつの柱は金型の設計、製造です。そのほか、部品組み立てに使う自動機や省力機、不良品をチェックするための検査装置の製作も行っています。

──取引先の業界ごとのシェアを教えてください。

松村 大別すると自動車、工作機械、プリンターなど民生品の3つのジャンルがあり、それぞれ3割ぐらいです。なるべく特定の業界に偏らないよう心がけています。

──事業面の特色というと?

松村 ただ単に金属部品を製造するだけでなく、お客さまの作成する図面の設計、企画段階から社員が携わり、製品化、品質保証まで一貫して提供しているところですね。当社の規模でそこまで行える会社は少ないとお客さまから評価していただいています。

──近年、顧客ニーズの変化はありますか。

松村 この業界は品質の高い製品を納期までに納めて当たり前のため、おなじ土俵で競い合ってもどんぐりの背くらべになってしまいます。利益を確保するうえでチャレンジしているのが、金型による微細加工です。従来削っていた部品をプレス加工してコストを抑えたり、他社の手がけていない部品を製作したり、プレス加工はアイデア次第でさまざまなことが行えます。大手企業のOBを顧問に迎え、アドバイスをもらいながら取り組んでいるところです。

──部品製造業は受注型産業といわれますが、営業活動は行っていますか。

松村 自社ホームページの検索エンジン対策、取引先からの紹介、展示会出展などを通して近年、毎年2~3社新たな取引先を開拓してきました。以前より私が営業担当として納期や価格交渉を行ってきましたが、新たにもう1名営業スタッフを置き、打ち合わせなどに同席してもらっています。

──技術の継承はどのように?

松村 社内ではリーマンショックの影響を上回る〝カベ〟と呼んでいますが、ここ数年でベテラン社員が相次いで定年退職し平均年齢が30代後半にまで一挙に若返り、若手社員にいかに技術を身につけてもらうかが最大の課題となっています。わからないことがあっても質問しない若手社員も少なくないため、困ったときに質問しやすいよう先生役の社員を指名し、2カ月間、カリキュラムに沿って集中的に基礎技能を習得させています。生産性は一時的に下がりますが、急がば回れで腰をすえて取り組んでいます。社外で行われる研修会もカレンダーをつくり、計画的に参加してもらっています。

──例えばどんなテーマですか。

松村 設計図面の読みとり方から品質管理、特殊機械の操作方法までキャリア年数に応じてテーマはさまざまですね。研修会で知り合った同業他社の社員を通して部品製造に関する相談に乗ってもらったり、取引がはじまるきっかけになったこともあります。

──2004年に社長に就任されたそうですね。

松村 ええ、当時24歳でした。20歳で入社したときに創業者である祖父から次の社長はお前だといわれていたので、ある程度覚悟はしていました。

唐澤孝好顧問税理士

唐澤孝好顧問税理士

唐澤 前社長から経営センスを買われ、後継社長に指名されたとうかがっています。社長就任以降、前年比10%を上回る伸び率で成長されており、地域の若手経営者のホープとして活躍されています。

──この間、リーマンショックなどもありましたが、どんな手を打たれたのでしょう。

松村 2009年9月期の売上高は前年比67.2%と大きな打撃を受けました。当時徹底したのは、固定費などの費用を極力おさえて会社に資金を残すこと。役員報酬を減らし、社員には一時期、2勤5休体制で働いてもらい休業補償を得て雇用を維持できました。売り上げは一時的に落ち込みましたが、社内勉強会を開くなどして、金型設計や品質保証の当社なりのスタンダードを築けたのは収穫だったと考えています。

システム間のデータ連携が業務効率を飛躍的に高める

──『FX4クラウド』を導入したいきさつをお聞かせください。

5S活動により工具などの設置場所をルール化

5S活動により工具などの設置場所をルール化

松村 『FX4クラウド』を導入する前は『FX2』を利用していましたが、伝票枚数が毎年増加し、経理業務がおくれがちでした。また、最新の売り上げデータは販売管理システム内にあり、システムの入っているパソコンを行き来して確認していたため効率が悪かったんです。あるとき、「戦略経営者」で『FX4クラウド』の記事を目にして監査担当の坂井さんに相談したところ、クラウドなら当社の課題を解決できると紹介していただきました。

──最新業績を確認するのに時間と手間がかかっていたわけですね。

松村 製品を出荷した時点で販売管理システムに売り上げデータを入力し、その後、経理担当者が『FX2』に再度売上伝票を入力するという流れで業務を行っていました。ですから『FX2』を開いても、最新の売上高を把握できないことがよくありましたね。

──提案を受けた際、『FX4クラウド』のデモはご覧になりましたか。

松村 操作説明を含めるとトータルで7~8回、システムの画面を確認しました。正直、ここまでできるのかと驚きました。

──具体的には?

松村 「マネジメントレポート(MR)設計ツール」を活用してボタン一つで自動的に独自帳表を作成できるところですね。従来、各システムで数字を確認しスプレッドシートでオリジナルの業績資料を作成していましたが、このシステムなら資料をつくる時間を短縮でき、経営判断の迅速化に役立つと思いました。

──現在の利用状況を教えてください。

松村 日々の仕訳入力は1名の経理担当者が行っています。『FX4クラウド』と販売管理システム間の仕訳連携をテスト中で、販売管理システムに入力した売り上げデータがクラウドに自動読み込みされるようになる予定です。

坂井宏光監査担当

坂井宏光監査担当

坂井 クラウドに移行されて今年の9月でちょうど1年になるため、毎月の監査時に運用を段階的にサポートさせていただいています。

──システム上、どのように業績管理を行っていますか。

松村 部品加工と金型製造の2部門に分け、《部門別変動損益計算書》で限界利益をよく確認しています。工場の機械を動かしてこそという商売なので、限界利益が機械の減価償却費を含めた固定費を上回っているかをとくに注視しています。さらに当社には部門横断の委員会(安全衛生委員会、5S委員会、教育委員会)があり、プロジェクトごとの予算を管理する機能も活用しています。

──プロジェクト管理は『FX4クラウド』ならではの機能ですね。

松村 はい。当初のニーズだった部門別の詳細な業績分析資料も「MR設計ツール」で簡単に作成できるようになり、毎月開催している経営会議などで活用しています。

──経営判断の迅速化というニーズはいかがでしょう。

松村 県外の取引先を訪問したり、学会やセミナーに出席するため出張する機会が多く、以前は経理担当者に最新業績をメールで送信してもらったりしていました。クラウドなら外出先でもシステムを起動でき、リアルタイムの数字を確認できるので早期に手を打てます。知りたいときにすぐに業績がわかるので、ストレスが生まれにくく精神衛生上もいいですね。

唐澤 販売管理システムとの自動仕訳連携が実現すれば、より迅速に業績を把握できる一気通貫の体制が構築されると期待しています。

──今後、注力される分野をお聞かせください。

松村 ここ数年、金型による微細加工の研究、開発に力を入れています。半導体、医療業界などに他社のまねできない精密な部品を提供していきたいですね。

企業情報

株式会社飯島精機

株式会社飯島精機

設立
1961年10月
所在地
長野県上伊那郡飯島町田切1番地5
売上高
4億円
社員数
27名(パート含む)
URL
http://iijimaseiki.jp/

顧問税理士 唐澤孝好
唐澤孝好税理士事務所

所在地
長野県上伊那郡飯島町七久保734-2
TEL
0265-86-2575
URL
http://karasawakaikei.tkcnf.com/

『戦略経営者』2015年9月号より転載)