株式会社ダイワ様

株式会社ダイワの皆さんと坂槙監査担当

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

“部門の階層管理”機能を使い
「アメーバ経営」を実践する

プラスチック材料販売で長野県内トップクラスの地位にあるダイワ。材料の販売だけでなく、優れたプラスチック加工技術にも定評がある。4年前から京セラの「アメーバ経営」を採用している同社では昨年11月にTKCの『FX4クラウド』を導入。「アメーバ経営と部門別会計は結び付く」という上條悦男社長(61)と、管理部の宮澤岳男マネジャーの二人に話を聞いた。

「資材調達」と「加工」がワンストップでできる

――プラスチック素材の卸売りのほか、加工も手がけているそうですね。

上條悦男社長

上條悦男社長

上條 もともとは各種プラスチック素材の卸売業者としてスタートしましたが、今から12年前に加工分野にも進出し、樹脂製の機械部品などの製造販売をするようになりました。また、プラスチック加工で培った技術を応用して、タクシーの運転席と乗客席とを仕切る「防護板」を自社開発したり、ほかにも「アルミフレーム設計製作」の仕事をするなど、事業の幅を広げています。

――主なユーザーは?

上條 材料販売については長野県とその周辺エリア(中部地方、上越・中越地方)の広告看板会社や工業用の加工会社、それから建材屋さんなどです。
 そして加工のほうは、主に組み立て装置メーカーなどです。たとえば大手情報機器メーカーのFA(ファクトリーオートメーション)装置を製造している会社の部品を手がけたりしています。どちらかというと大量生産ではなく、一品モノの加工をやることが多いですね。

――会社の強みを教えてください。

上條 プラスチックの調達から加工・成形までをワンストップでできるのが私たちの最大の強みです。通常なら加工会社が問屋から材料を仕入れて加工するのが一般的ですが、しかし当社の場合は問屋自らが加工もしているわけで、原材料を直接調達していることから特にコスト競争の面で有利な立場にあります。
 ただ、プラスチック素材の販売先である加工会社さんと、仕事の取り合いをするわけにはいかないところもある。営業エリアなどによっては、何らかの“すみ分け”が必要になってきます。そんな理由から目を向けたのが、「樹脂研磨加工」に力を入れることでした。たとえば通称ガラエポと呼ばれるガラスを含んだ樹脂加工については、加工機械が傷つくことを恐れて敬遠している加工会社も多い。みんなが嫌がる仕事をあえて積極的に取りにいくことで、お客さんである加工会社と正面からぶつかり合うことを避けています。
 ちなみに樹脂素材は「熱可塑性」と「熱硬化性」の二つに分けられます。加工が難しいのは熱硬化性樹脂のほうですが、今はそちらをメーンに研磨加工をしています。金型用断熱板や精密微細加工用樹脂板など、高い精度が求められる仕事をいろいろ受注していて、0・01ミリ単位の平行度加工を請け負うケースもあります。

――社員全員で考えた「次の30年の経営革新計画」を実行中だそうですが……。

上條 昨年、当社は創業30周年を迎えました。「会社の寿命30年説」もあることから、新たな30年に向けた「ダイワNEXT30th:経営革新計画」をみんなで考えました。具体的には、京セラの「アメーバ経営」にもとづく部門別採算経営に力を入れていくことなどがあります。2003年に盛和塾に入ったのがアメーバ経営に関心を持つようになったきっかけで、4年前から本格的に導入しています。
 また昨年、本社工場を新設したのも経営革新計画の一環。それまで製造工場は茅野市(諏訪工場)と松本市(松本工場)にありましたが、問屋業と製造業を一つの敷地内に集約したいという構想をかねてから持っていて、それを松本市の大久保工業団地内に新たに土地を確保して実現しました。生産拠点と本社機能の統合により、業務の効率化がだいぶ進んだといえます。
 なお営業拠点については現在、本社と東北信営業所(長野市)の2カ所あります。

――近年はエコ商品の販売にも力を入れているようですね。

上條 LED照明や採光材(樹脂製)などがそうです。LED照明には省エネかつ長寿命なので経費削減効果が期待できるというメリット、採光材には太陽光を直接取り入れることで日中の電力消費量を削減できるというメリットがあります。それと、環境活動に力を入れているということで会社のブランドイメージの向上につながるという利点もある。うちの工場でもそれらのエコ商品を使っていて、まさにその効果を体感しています。

3部門の階層管理で11チームの業績をみる

――矢沢会計事務所との付き合いが始まったいきさつは?

上條 アパート経営をしていた私の実父がお世話になっていた縁からです。私が脱サラして諏訪市の自宅で会社を立ち上げたときからのお付き合いです。巡回監査担当をしてもらっている坂槙(弘教)さんの前職は銀行マン。その頃の人脈を生かして営業先をあちこち紹介してもらっています。

――『FX4クラウド』を導入したのは昨年11月だと聞いています。

宮澤岳男マネージャー

宮澤岳男マネージャー

宮澤 アメーバ経営にもとづく部門別採算経営を実践するにあたって一番困ったのは、当時使っていた市販の会計システムでは部門ごとの数字をきちんと捉えることが難しいことでした。そこで使い勝手のよいシステムへの変更を検討していたときに坂槙さんから紹介を受けたのが『FX4クラウド』でした。その中身をよく勉強させてもらったところ、まさに私たちがやろうとしている部門別採算経営と直結するシステムであることがわかり、すぐに導入を決めました。

坂槙弘教・監査担当 ダイワさんのような中堅企業には、「自立した経営」をシステムによって実現してもらいたい。そんな気持ちから『FX4クラウド』を推薦しました。

――御社の部門別採算経営とはどのようなものですか。

上條 簡単に言えば、会社を小集団(アメーバ)にわけて、それぞれの「時間当たり採算」の最大化を追求していく経営管理手法です。
 まず(1)産業資材事業部(2)製造事業部(3)管理部の三つに大きく部門わけし、その下に合計11チームをぶら下げるという組織体制にしています。チームには、(1)の下には「本社」「東北信営業所」があり、(2)には「機械加工」や「手加工」などのチームがあります。(3)については、「総務」「経理」「配送」です。
 『FX4クラウド』では、「部門の階層管理」が可能です。それが特徴のひとつでもあるわけですが、その意味では、アメーバ経営を実践するうえでの有効なツールになると言えます。

   

――TKCシステムを導入してみて、他にどんなところにメリットを感じていますか。

宮澤 「時間当たり採算表」というアメーバ経営独特の様式の資料があるのですが、各チームごとの《変動損益計算書》を作成し、そこから入手した数字をほぼそのまま各チームの採算表に転用することによってワンアクションで作れるようになりました。毎月の経営会議で必要になる「チーム別時間当たり採算表」の作成作業はこれまでより大幅に短縮されました。経営管理の仕事を担当する私にしてみれば、それが大きなメリットですね。

MR設計ツールを活用してオリジナル帳表を作る

――『FX4クラウド』で特に注目している機能は何ですか。

宮澤 自分たち独自のオリジナル帳表をスプレッドシート上に簡単に作れる「マネジメントレポート(MR)設計ツール」は徐々に活用させてもらっています。
 一般的な財務会計では、製造部門を「製造費用」を使うコストセンターと見なしますが、アメーバ経営では製造部門こそが採算を創りだすプロフィットセンターだという位置づけ。だから「製造原価報告書」のうえに「収入の部」をもってきた帳表を作らなければならない。そのときにMR設計ツールが役立つわけです。
 また、販売管理や生産管理などの業務システムとも簡単にデータ連携できる機能があるのもありがたい。「仕訳テンプレート機能」を使えば、販売データ等を自動で仕訳に取り込めます。

――経営実績は「ガラス張り」にしているそうですね。

上條 毎月の売り上げ等の数字は各チームのリーダーが中心となってスタッフに周知し、開示することにしています。それは彼らに経営者意識を持ってもらいたいという思いからです。つまり、チームのリーダーがひとつの会社の社長なんですよ。それらリーダーが先頭に立って「売り上げ最大」「経費最小」「時間最短」という目標に向かって真摯に取り組んでくれるようになれば、間違いなく会社は強くなる。そのためにも「いつ、どこで、どのように経費を使ったか」「自分たちのチームはどのくらい稼いでいるか」ということを全部ガラス張りにしておく必要があるのです。

――会社全体の「生産性」を高めるためにどんな取り組みをされていますか。

上條 とくに加工(製造)については、ガラス研磨の機械の増設や、工場レイアウトの増改築などを進めています。また、CAD/CAMの技術力をさらに向上させることで生産性をあげていこうと考えています。あと、以前から取り組んでいる「5S」活動も生産性を高めるうえで欠かせないものですね。

――最後に、今後の抱負をお聞かせください。

上條 部門別採算経営を誠実に実践していくことが当面の課題だと思っています。本当の意味での部門別採算経営をしていくためには、それにリンクした「心」の勉強をもっとしていかなければならない。「何のために仕事をしているのか」「何のために収益獲得が必要なのか」などを社員全員が理解できていないと、なかなか前に進んでいけないからです。あくまで全員参加の経営を追求しながら、永続的な発展、繁栄を目指していきたいというのが私の思いです。

企業情報

株式会社ダイワ

株式会社ダイワ

所在地
長野県松本市笹賀7824
(大久保工業団地)
TEL
0263-24-1020
売上高
13億7000万円
社員数
70名(パート含む)
URL
http://www2.da-i-wa.com/

顧問税理士 矢沢弘住
矢沢税務会計事務所

所在地
長野県諏訪市湖岸通り5-19-30
TEL
0266-52-2115
URL
http://yazawa.tkcnf.com/

『戦略経営者』2012年10月号より転載)