ユーザー事例

株式会社ホテルマネージメントジャパン 様

子会社26社の月次連結をルーティン化

―グループ拡大、IFRSに対応する連結決算基盤を整備―

eCA-DRIVER導入事例

株式会社ホテルマネージメントジャパン様

ホテルの経営・運営事業を中心に、複数ブランドを展開するホテルマネージメントジャパン。グループ規模の拡大により連結対象会社が増加する中、Excelを中心とした従来の連結決算業務では、作業負荷や属人化への対応が課題となっていた。年に一度の海外親会社へのIFRS報告に加えて、四半期対応も必要となり、連結決算業務の標準化と効率化が求められていた。
同社は、TKCの連結会計システム『eCA-DRIVER』を導入し、子会社が直接データを入力し、本社側がレビューする月次連結の運用体制を確立。連結決算業務の効率化、精度向上、属人化解消を進めている。
『eCA-DRIVER』を導入したきっかけや、月次連結における活用効果、今後の活用計画について、管理本部経理財務部の皆さま、ならびにシステム・コンサルタントの寺村航公認会計士に話を聞いた。

貴社の概要や企業理念などを教えてください。

株式会社ホテルマネージメントジャパン 管理本部 経理財務部長 赤瀨 健次郎氏

株式会社ホテルマネージメントジャパン
管理本部 経理財務部長
赤瀨 健次郎氏

赤瀨 当社は、2005年に設立されたホテル運営事業を中心とする企業グループです。現在は、シンガポール所在の親会社のもと、日本国内におけるホテル事業を担っています。
当社は、ホテルオーナーからの賃貸借契約、あるいはホテル経営会社との運営管理契約といったスキームのもとで運営を担う形を基本としています。グループとしては、オリエンタルブランドをはじめとした複数のホテルブランドを展開しており、単一ブランドに依存するのではなく、それぞれの施設や地域、お客様のニーズに応じた運営を行っている点が特徴です。
また、近年は外国籍の従業員も増えており、従業員の国籍やバックグラウンドも多様化しています。そうした意味でも、当社にとってダイバーシティは事業運営上の重要なテーマになっています。
コロナ禍では、ホテル業界全体が非常に厳しい状況に置かれ、当社も大きな影響を受けました。現在はインバウンド需要の回復を背景に、事業は再び成長局面に入っています。売上高についても、2025年実績で約800億円規模となるなど、コロナ禍を経て大きく回復しています。特に東京や大阪などの都市部では宿泊需要が強く、ホテル単価も上昇傾向にあります。
一方で、需要回復に伴う価格上昇や、地域・国ごとの需要動向の違いなど、運営上の難しさもあります。そのため当社では、特定の市場や顧客層に依存するのではなく、国内外のお客様、ビジネス利用、観光利用など、多様なニーズに応える体制づくりを重視しています。複数ブランドの展開や多様な人材の活用も、そのための重要な取り組みの一つです。

年間の決算スケジュールと、月次連結を行う背景について教えてください。

株式会社ホテルマネージメントジャパン 管理本部 経理財務部 アシスタントマネージャー 中村 友美子氏

株式会社ホテルマネージメントジャパン
管理本部 経理財務部
アシスタントマネージャー
中村 友美子氏

中村 現在、当社の連結対象会社は26社です。月次決算と四半期決算については、日本基準でほぼ同じスケジュールで運用し、年次決算はシンガポールの親会社にIFRS基準で報告しています。
まず、各子会社が毎月5営業日までに締め処理を完了します。その後、各子会社の担当者が『eCA-DRIVER』へデータを入力します。入力期限は、おおむね毎月17日頃です。18日以降は、本社側で子会社が入力したデータをチェックし、必要に応じて子会社へ修正依頼を行います。修正完了後、本社側で補正入力や報告書作成を行い、月次および四半期の資料作成は概ね毎月25日頃に完了します。
年次決算については、当社が12月決算であるため、1月20日頃に税前数値を『eCA-DRIVER』へ入力します。その後、本社側でチェックを行い、1月末に税前数値をいったん確定します。2月末頃に税金の見込み納付等の情報が入った段階で、システムへ税額を反映し、税額確定後の数値を作成します。その後、3月中旬頃にJ-GAAPの数値が確定し、さらにIFRS対応の作業へ進みます。
IFRS対応については、基本的に本社側で行う作業であり、子会社に追加で作業を依頼するものではありません。日本基準の数値確定後、IFRS調整等の作業を実施し、4月中旬頃の完了を目指しています。
当初は、年次や四半期で対応する考え方もありました。しかし、子会社数が増え、金額規模も大きくなる中で、四半期ごとの作業では対応が間に合わないのではないか、まとめて行うよりも、毎月ルーティンとして連結決算を行う方が安定すると判断しました。毎月作業することで、子会社側も本社側も手順に慣れ、結果として四半期や年次の決算もスムーズになります。

連結決算業務のシステム化を検討したきっかけを教えてください。

赤瀨 もともと当社では、2019年頃までは年1回の決算対応が中心でした。その後、親会社から日本基準で良いので四半期ごとに報告してほしいとの要請があり、四半期ベースで連結数値を把握・報告する必要が出てきました。結果的には月次連結を日本基準で作成していますが、年次決算ではIFRSへ組み替えて親会社へ報告しています。その際、リースのオンバランスなどは影響額が大きく、誤った場合のリスクも高いです。
当初はExcelで対応していましたが、子会社数が増えるにつれて、連結決算業務の負荷が大きくなっていきました。子会社が増えるたびにシートを追加したり、勘定科目を追加したりする必要があり、長年の運用の中で独自の修正や加工も積み重なっていました。その結果、ファイル構造や処理の流れが複雑化し、担当者以外には分かりづらい部分も増え、確認や修正にも時間を要する状況でした。
こうした四半期報告への対応と、子会社数の増加に伴う業務負荷の高まりが、連結会計システム導入検討のきっかけとなりました。そこで、2022年頃から連結会計システムの検討を進め、2023年に『eCA-DRIVER』を導入しました。

『eCA-DRIVER』の導入を決めたきっかけを教えてください。

赤瀨 私は前職で連結決算システムの導入に関わった経験があり、大規模なシステムを含め、連結会計システムについて一定の知識がありました。
一方で、当社の連結会社数の規模やグループの事業内容を踏まえると、大規模なグローバル企業やメーカー向けの高機能なシステムよりも、当社の規模や実務に合ったシステムを選ぶことが重要だと考えていました。
当社グループは、各ホテル運営会社が比較的水平に並ぶ構造です。そのため、大規模なカスタマイズを行わなくても、当社の規模や実務に合うシステムであることを重視しました。
また、当社では通常業務と並行しながら限られた人員で導入を進める必要があったため、機能面だけでなく、導入工数や運用負荷とのバランスも重要でした。『eCA-DRIVER』はクラウド型のため、情報システム部門の大きな関与を必要とせず、経理部門主導で導入を進められた点も当社に合っていました。
その点で、『eCA-DRIVER』は当社にとって必要な機能を十分に備えつつ、子会社が直接入力し、本社側がその内容を確認する運用にも適していると感じました。本社側だけでデータを集めて加工するのではなく、子会社にも入力してもらう運用を想定していたことも、選定理由の一つです。
さらに、システム・コンサルタントやTKCの支援を受けながら導入を進められることも大きな安心材料でした。実際、導入時にはこまめに打合せを行い、疑問点を確認しながら進めることができました。

『eCA-DRIVER』導入前の連結決算業務の課題とシステムの導入効果をお聞かせください。

中村 『eCA-DRIVER』導入後、当社の連結決算業務は大きく変わりました。従来は、各子会社からデータを集め、本社側でExcelに展開して加工していましたが、現在は、子会社が直接『eCA-DRIVER』へ入力し、本社側がその内容をレビューする運用に変わっています。
子会社側の入力は、慣れた担当者であれば1社あたり1時間かからない程度で完了します。新規に連結した子会社の担当者なども、初回は多少時間がかかるものの、月次業務ということもあり2~3回実施すれば、概ね1時間未満で対応できるようになります。
本社側では、子会社の入力内容に大きな修正がなければ、補正入力自体は1時間未満で完了します。最終的な数値確認や検証を含めても、全体として1~2日程度で対応できるようになりました。
この運用により、本社側の役割は、データを集計・加工することから、入力内容を確認し、必要に応じて補正・検証することへ変わりました。レビューや検証に集中できるようになったことで、工数削減だけでなく、連結数値の精度向上にもつながっています。
また、Excelで連結決算を行っていた時は、どうしても担当者に依存する部分がありました。ファイルの構造や処理の意図を理解している担当者であれば問題なく対応できますが、異動や退職があった場合、後任者が同じように処理を理解するのは容易ではありませんでした。
『eCA-DRIVER』を導入したことで、処理手順がシステム上で標準化されました。分からない点があればTKCのサポートに確認できる点も、Excelにはない安心感です。入力マニュアルも整備しており、担当者が変わっても一定の手順で業務を継続できるようになりました。

子会社に『eCA-DRIVER』を展開したことで、どのような効果がありましたか。

赤瀨 当社グループでは、経理業務をシェアードサービス会社に委託している会社もあり、担当会社の変更が比較的頻繁に起こります。そのため、担当者が変わっても同じ手順で業務を進められることは重要でした。
その点、『eCA-DRIVER』は入力の流れが分かりやすく整理されており、マニュアル化しやすい仕組みとなっています。
初めて担当する方には一度説明しますが、その後はマニュアルを見ながら入力できます。担当会社が変わっても、同じ手順で作業できるため、大きな混乱なく運用できています。
また、以前は子会社ごとの科目名や処理方法の違いを本社側で吸収していましたが、現在はシステム運用に合わせて、グループ全体として一定のルールに統一していくことができています。子会社側にもグループ共通のルールを意識してもらいやすくなった点も、システム化の効果です。

子会社数の増加やM&Aへの対応について、システム化の効果を教えてください。

中村 当社では、M&Aや新規設立により子会社数が増加しています。そのため、新しく子会社が増えた際に、スムーズにマスターのメンテナンスができることが重要でした。
『eCA-DRIVER』導入後は、新規子会社追加時のシステム対応をある程度パッケージ化できました。例えば、マスター関連の整備などは、概ね1日あれば対応できるようになっています。
また、新しい子会社に対しても、現地へ行って対応することは基本的にありません。マニュアルを渡したうえで、初回だけWeb会議で画面共有しながら一緒に入力することで対応できています。現地に行かずともスムーズに運用開始できる点は、子会社数が増加する当社にとって大きなメリットです。

導入時の体制や工数、苦労した点について教えてください。

赤瀨 導入プロジェクトは、メイン担当者1名を中心に進めました。『eCA-DRIVER』はクラウド型のため、情報システム部門の大きな関与は必要なく、経理部門主導で導入を進めることができました。
導入にあたっては、TKCの支援を受けながら進めました。こまめに打合せを行い、設定内容や進め方を確認しながら導入を進められた点は助かりました。
導入期間中は、月によって差はあるものの、多い時で月20~50時間程度の工数がかかりました。打合せは月1~2回程度で、初期は月2回程度実施しました。加えて、過去データを『eCA-DRIVER』へ入力して検証する作業などもあり、通常業務と並行しながら、実際の運用を確認していきました。
導入過程では、システム操作そのものよりも、子会社側へ連結決算の必要性や月次で対応する背景を丁寧に説明することが重要でした。期限までに入力してもらう理由も含めて共有することで、グループ全体で連結決算業務への理解を深めながら運用を定着させていきました。

月次決算、IFRSへの対応について、『eCA-DRIVER』の導入効果はどのようなものがありましたか?

赤瀨 『eCA-DRIVER』導入の意義は、単にExcelをシステムに置き換えたことではありません。
子会社26社を対象に、月次で連結決算を回す仕組みを整えたこと。子会社が直接入力し、本社側がレビューする運用により、業務を分散しながら精度を高めたこと。M&Aや新規設立によって子会社が増えても、マスター整備や入力フォローを標準化し、拡張性のある運用基盤を作ったこと。これらが当社にとっての大きな成果です。
また、海外親会社へのIFRS報告を見据え、月次ベースで連結データを整備している点も重要です。年次だけで対応するのではなく、毎月のルーティンとして連結決算を行うことで、四半期・年次・IFRS対応までを安定的に進められる体制を構築しています。
事業環境が変化し、グループ規模が拡大していく中で、連結決算業務を属人的な作業ではなく、組織として継続的に回る仕組みにする。『eCA-DRIVER』は、当社にとってその基盤となっています。

システム・コンサルタントの支援について、どのような印象をお持ちですか。

山浦佑太税理士事務所 公認会計士・税理士 安藤善教氏

システム・コンサルタント
東京みなと会計事務所 所長
東京みなと会計合同会社 代表社員
公認会計士・税理士 寺村 航氏

赤瀨 システム・コンサルタントの支援は、単なる操作面のサポートにとどまらず、連結決算業務の理解を深めるうえでも非常に大きかったと感じています。
もちろん、『eCA-DRIVER』導入による工数削減や効率化も重要ですが、それ以上に、連結決算とはどういうものか、どのような考え方で進めるべきかを、体系的に理解できるようになった点が大きいと感じています。
Excelで担当者が個別に作業しているだけでは、周囲のメンバーから見ると、何を作っているのか、どのようなロジックで処理しているのかが分かりづらくなります。一方、システム化し、システム・コンサルタントの支援を受けながら導入を進めたことで、連結決算の流れや考え方が組織として共有されやすくなりました。
本社経理だけでなく、子会社側とも連結決算に対する考え方を共有しやすくなりました。担当者個人に依存するのではなく、組織として連結決算を回していくための基盤づくりにつながったと考えています。

『eCA-DRIVER』の機能面への期待やTKCのサポート体制について印象を教えてください。

中村 機能面では、通知機能のさらなる進化に期待しています。RP(レポーティング・パッケージ)配布時には報告期日を設定していますが、期日を過ぎた場合に子会社側が自分で気づけるようなアラートがあると、より効率的な運用につながると感じています。親会社側の確認・フォロー負荷の軽減にも有効と考えています。
サポート面では、TKCのレスポンスの早さを評価しています。サポートデスクは月に1回程度利用することがあり、問い合わせた際には同日中に連絡があります。また、TKC担当者にメールで質問することもありますが、その場合も迅速に対応してもらえる点が安心感につながっています。

今後の課題や活用計画について教えてください。

赤瀨 連結キャッシュ・フローについて、年1回の作成ということもあり、現時点では本社側で作成しています。今後は、子会社入力の運用が定着してきた月次連結精算表の流れを活かし、連結キャッシュ・フロー情報の収集にも『eCA-DRIVER』の活用を広げていきたいと考えています。
さらに、予算連結や見通し管理など、管理会計領域も強化していきたいと考えています。将来的には、予算や着地見込みデータも一元管理し、月次実績と見通しを組み合わせることで、連結ベースでの業績管理をより高度化していきたいです。

会社概要

株式会社ホテルマネージメントジャパン

設立
2005年8月1日
所在地
東京都港区港南2丁目15番3号 品川インターシティC棟 8階
従業員数
3,970名 ※2026年3月時点
売上高
848億円 ※2025年実績
URL
https://www.oriental-hotels.com/company/
株式会社ホテルマネージメントジャパン
掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、2026年4月現在のものです。
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