事務所経営
「FX4クラウド」の徹底活用で優良関与先の離脱を防止し、関与先拡大に挑戦しよう!
とき:平成24年2月24日(金) ところ:TKC東京本社
中堅企業向けシステムのFX4クラウドの利用企業が、今年2月で400社を超えた。TKC会員事務所による巡回監査を前提とし、巡回監査支援システムとの完全連動や「記帳適時性証明書」の発行など、税理士業務との親和性が高められたシステムだ。FX4クラウド推進にいち早く取り組む会員が、中堅企業への関与のポイントや推進に向けた取り組みについて語りあった。
出席者(敬称略・順不同)
内川清雄(東京都心会渋谷支部)
田中明子(南近畿会なにわ支部)
橋脇公彦(近畿兵庫会姫路支部)
司会
システム委員会 FX4クラウドシステム小委員会委員長
山之内浩明(九州会鹿児島支部)
FX導入を顧問契約の条件とし1ランク上のシステムを早めに提案
山之内(司会) この4月から小規模企業向けシステムとして「e21まいスター」が提供開始されます。これによって、「e21まいスター」「FX2」「FX4クラウド」と、企業規模、成長度合いに応じた3つの自計化システムがラインナップされました。
本日は、年商5億~50億円程度の中堅企業向けシステムであるFX4クラウドの推進を早々に決意された皆さんに、中堅企業に関与する際のポイントや、FX4クラウドを事務所経営にどう役立てていくかについて率直に語りあっていただきたいと思います。
まず、これまでの事務所の自計化推進の取り組みについて、橋脇先生から順番にお話しいただけますか。
橋脇 平成11年に第1次「成功の鍵(KFS)作戦21」が始まりましたが、その頃の関与先の自計化率は3割に満たないくらいでした。そこでこの全国的な運動を利用して自計化を進めようと決意して、「法人はFX2でなければ関与しない」と自分に課し、関与先だけでなく新規企業にもFX2導入を顧問契約の条件としたのです。その方針のもとにこれまでやってきて、いまはほぼすべての法人が自計化しています。
FX2一本でいこうと決めた理由はシンプルで、複数の方法を持てるほど私が器用ではないからです(笑)。関与先ごとに異なるやり方、ましてや他社システムなんてあったらスタッフは余計な苦労をしてしまう。それよりもFXシリーズに絞ることで、FXシリーズを使った監査の技術を磨くことにより力を注いでほしいと思ったのです。
田中明子会員
田中 私も橋脇先生と同じで、営業の入り口の段階で、「うちの事務所はFX2を使って関与させていただきます」とお話ししています。
税理士になった当初は、やっていることは領収書の整理と申告書作成がメインで、自分自身これでいいのかと疑問に思っていましたが、TKC静岡会の坂本孝司先生のご講演で、会計の力を伝道していくことが自分の使命だと気づかされました。スタッフにも「お客様のデータ入力を手伝うとか、そんな恐ろしいことをしてはあかんねん」と話し、会計事務所のすべき業務を自覚してもらうよう心がけています。
同時に、関与先に覚悟をしてもらう必要も感じています。というのは、「自立した経営者」になっていただくために私たちはいるわけですが、自計化は自立の第一歩だと思うからです。ですから、どんなに小さな個人商店であっても「自計化のお手伝いをして業績管理できる仕組みを作るサポートがうちの仕事です」と自計化の大切さをお伝えしています。まだまだ十分ではありませんが、そういう気持ちでFX2を推進しています。
内川 ぼくは、この業界に入って40年です。昨今のコンピュータ主流の時代以前から仕事をしているわけですが、コンピュータに関しては若い人たちに比べて未熟なので遅れてはいけないという危機感をいつも持っています。ですからリテラシーを含め事務所のコンピュータの知識水準を高めることには真剣です。
その取り組みの一つとして、FX4(従来版)が提供開始された十数年前、事務所の売上高とは関係なく、いち早くFX4(従来版)を事務所に導入しました。自分の事務所に入れ実際に使うことが知識水準を上げる近道と考えたからです。FX4(従来版)は業績管理がしやすく、スタッフも経営者的な視点に立てるという効果もありました。
関与先に対しては、年商2、3億円の規模であろうとも、将来成長していく可能性が高ければ、FX2からFX4へと、一つ上のシステムを標準化するような提案、指導をしてきたつもりです。
──私の事務所も半年に1回、1ランク上のシステムを関与先にご案内しています。それによって会計日記帳の関与先がどんどんFX2に変わっていったという経験があります。
内川 十数年前には、売上高が低くても成長して上場を目指す企業が数多くありました。そういう企業には無理をしてFX4(従来版)の導入を進めました。その結果、財務システムが構築できて、その後eCA-DRIVER(連結会計システム)などと連携できるようになった企業もあります。
中堅企業関与は社長からの信頼が不可欠
専門家目線の提案力を磨くべき
──年商5億~50億円程度の中堅企業が、TKC会員事務所の関与先として減少傾向にあるというデータがあります。皆さんはこの規模の企業に関与されていますが、「優良関与先の離脱防止」という観点から、中堅企業に関与する際の留意点をどうお考えでしょうか。
内川 ぼくがTKC東京都心会の会長を務めていた頃、この問題について議論したことがありました。いまも本質は同じで、中堅企業は独自のコンピュータシステムを持つことが多く、経理スタッフが優秀であることも多いのです。
──ある程度の規模の企業になると、経理担当者のレベルが高く、会計事務所の人間が気後れしてしまう。内川先生の事務所は数多くの中堅大企業に関与されているそうですが、こうした課題への対応について教えてください。
内川清雄会員
内川 企業との関わり合いという点では、ぼくらができる領域はやはり税務会計を中心とした延長にあると思います。経営者と一緒に企業の将来や戦略を考え、予言していく易者的な役割も担っていますが。
内部統制について経営陣と一緒に検討し、規約の整備などを行うこともあります。内部統制については意外と経理担当者にとっても弱点があり、経営者から見ると不正など心配の多い部分ですから、残高チェックなどを決算のときだけでなく四半期決算でも報告すべきです。
実際に、FX4クラウド導入に向けたある中堅企業の内部チェック過程で、従業員の不正が発覚したことがあります。結果として内部統制機能があるFX4クラウドが導入され、経営者から非常に信頼していただくことにつながりました。
中堅企業への巡回監査でのチェックは、報酬に見合わないケースもあるし、あまり関与したことのない大きさの企業という理由から躊躇しがちです。そこで、1つの会計事務所だけでなく、ほかのTKC会員と一緒にチームを組んで巡回監査を実施している企業もあります。
──中堅企業の経営者は会計事務所に特に何を期待しているとお感じですか。
内川 身近な、株価評価、事業承継、持株会社、資本政策など、経営者が社内の人には相談しにくいことへの助言です。金融機関と別に私たちが信頼してもらえれば、会計事務所の「ビジネスドクター」としての役割は大きくなります。
同時に、そうした仕事をスタッフがどこまでできるかという問題もあります。「ビジネスドクター」を目指していくためにも、最低TKC上級実務試験の合格者か、税理士レベルか、何らかのコンサルティングの資格を持っていないと信用されにくいのではないかと思い、FX4クラウド導入企業には税理士資格をもつスタッフを必ず1名つけています。ただ大切なのは資格のある、なしに限らず、信頼される仕事の積み重ねだと思いますが。
橋脇 徹底的に財務・税務のプロであれば、その分野から中堅企業の信頼は徐々に勝ち取れるはずです。その部分は決して曖昧にしてはいけないと考えています。
私の事務所では、専門家の目線で必要な提案をして、スケジュールを組んで会社の管理部門を徹底的に指導するという取り組みをしています。具体的には、社長にも加わってもらう勉強会を企画し、総務、経理など管理部門の人たちにFX4クラウドを中心に指導をし、理解を深めてもらっています。よりよい経営情報をタイムリーに出すために、実務面も踏まえて管理部門として何をすればよいかをそこで具体的に検討します。
また情報担当部門の責任者ともしっかり打ち合わせを行い、その議事録を作成して経営者に見せるようにしています。そういう取り組みは「この税理士はやってくれる。会計事務所が変わると違うものだな」と経営者に感じていただき、信用を勝ち取る絶好の機会になると思います。
──システムを通じて、総務、経理まで巻き込んで「チーム」で会社をよくしようとしているのですね。
橋脇公彦会員
橋脇 それを目指しています。また、会計事務所の企業経営への関わり合いという点で、FX4導入企業ほぼ全社の経営会議に参加させてもらっています。ほかに月に1回、会社の幹部会議にも出席し、こちらから説明したり、意見を求められたりしています。「経営参謀」というとちょっとたいそうかもしれませんが、そういう位置づけに会計事務所がなっていかないと。この規模の企業には正確な巡回監査だけではあまり喜びを感じてもらえませんから(笑)。
また経営会議には必ず担当スタッフを同席させています。逆に企業のほうからスタッフの出席を依頼されたりすることもあります。会議で質問される経験や、勉強会のレジュメやシナリオなどを作成することで担当スタッフが成長していくことを期待しています。
──田中先生は「優良関与先の離脱防止」に向けた対策をどうお考えですか。
田中 ある中堅企業の関与先の社長と部長と、四半期業績検討会で巡回監査担当者と共にお話ししていますが、内川先生がおっしゃったように、社長が望んでいるのは「今後どうなるか」というマクロの部分の情報だと感じます。ですから過去の数字を比較し、数字の上から会社の動きが見えることをお伝えするようにしています。会社の戦略が方向性として正しかったか、また財務状況がどう変わったか、数字の上から会社の状況が目に見える点をもっと経営者にアピールしていきたいと思います。
そうした意味からも、担当者が毎月の巡回監査の中で社長と話さずに帰ってきていたら、関与先の離脱は確実に起こると思います。税理士資格の有無は関係なしに、どれだけ社長に対応できるか。やはり学び続け、事務所の業務品質を高めていくことが大切で、そこが信頼される原点だと思います。
他社システムとのデータ連携やMR設計ツールを使ってみるとこれは快感
──さて、昨年6月に提供開始されたFX4クラウドですが、>FX4(従来版)から開発コンセプトが刷新され、税理士業務との親和性が高められて、巡回監査支援システムとの完全連動、また「記帳適時性証明書」の発行などが可能になりました(下表)。内川先生、橋脇先生はこうした「強み」をもつFX4クラウドを実際に関与先に導入されていますが、いかがですか。
内川 導入コストが安いことと、他社業務システムのデータをそのままFX4クラウドに取り込めるため、移行が簡単でスムーズにできる点はよいです。
また、未来のことについては経営者もわかりませんので、過去データあるいは予算数値を、FX4クラウドでドリルダウンして、担当者別、支店別、商品別などにしたデータから、企業サイドの視点とは違った助言をすることもできます。
じつは、当税理士法人の支店がある千葉県旭市は、東日本大震災によって甚大な被害を受けた地域です。地震の被害や津波による床上・床下浸水が起こり、死者も数多く出ました(東北地方に比べめだってはいませんが)。8メートルの津波が事務所にも来まして、事務所の車も8台流されてしまった。確定申告業務は、スタッフの自宅を借りて行いもしました。
そういう体験から、地震や津波、火災が起きたときに、データをサーバーではなくTKCデータセンター(TISC)で管理するクラウド方式のメリットはとても大きいと感じています。企業にとって、BCP(事業継続計画)対策からも、大切なデータを集中的に保管し、セキュリティを確保できることの意味は高まってきているからです。
橋脇 具体的な話になりますが、たとえば年商50億円の企業は最初に予算のグランドデザインを描いて、部門におろして、すりあわせをしながら「全社計画」としている。大切なのは部門長に財務情報を理解してもらうために、部門損益をどう設計するかということです。その部門損益の設計は、部門長が経営者感覚を磨くための教材となるよう、FX4クラウドを使って最初の段階で検討しておくことが大切です。自部門の貢献が全社計画の達成と直結していることを実感してもらう仕掛けが重要だと思います。
FX4クラウドの他社業務システムとのデータ連携や、MR(マネジメントレポート)設計ツールによるオリジナル帳表の作成機能などは、いっぺん使ってみるとこれはもう快感ですよ(笑)。特に、中堅企業のほとんどはエクセルで管理表を作成しているので、これを財務と直結するMR設計ツールは、極めて有効な武器になると思います。
消費税法改正への対応に不安があるので安心できるFX4クラウドを提案
司会/山之内浩明委員長
──田中先生はFX4クラウド導入に向けて積極的に提案されている最中だそうですが、推進のきっかけは何ですか。
田中 私の事務所の関与先の中では数少ない大きい企業です。医療法人と介護関係の法人数社のグループで、経理部門の3名で数社の処理を行っています。
FX4クラウドをおすすめしようと思ったのは、今回の平成23年度税制改正で消費税がかなり厳しくなるからです。その企業が使っている他社システムでは決算時に消費税の最終一括振替のようなことが可能ですが、今回の改正では個別判断を求められるケースが増えましたので、そのことへのこわさを感じていました。ですから、この消費税法改正に対応し、法令に完全準拠しているFX4クラウドを何としても使っていただきたいと思っていました。
またいま、経理の方が数人で処理をしている状況なので、FX4クラウドの複数人で同時入力できる機能もよいと感じます。改正消費税法をFX4クラウド導入のチャンスと捉えて、サーバーが更新されるタイミングで見直しできればと提案しています。
──経理部門の方はあまり変化を好まないものでしょうが、具体的にどのように提案しているのですか。
田中 たしかに経理部門の方たちのシステムを変えることへの抵抗はすごいです(笑)。そこをクリアするにはシステムを変えることによる会社のメリットをしっかりお伝えすることだと思います。そうでないと、なかなか決断していただけません。
経理部門の方々には巡回監査がもれなくついてきて一つ一つの仕訳ごとにチェックが入ることなどのメリットを感じてもらえればとお話ししています。それによって数字に対する信頼性が格段に向上することと、書面添付に結びつけられることが現場の方にとってのメリットだと伝えています。
また経営者には、FX4クラウドと巡回監査によって経営に役立つ指標ができてくる点を提案していこうと考えています。FX4クラウドはFX4(従来版)に比べてシステム導入の初期費用も非常に安くなったので、そういう点も含めてアピールし、積極的におすすめしていきたいと思います。
──FX4クラウドの利用契約書には第4条に巡回監査の実施が明記されています。監査手続きの一部省略という文言も入っていますが、この点も含めて中堅企業への巡回監査で気をつけている点をお話しいただけますか。
田中 過去に税務調査があった会社であれば指摘された事項をお聞きして留意点を明らかにしています。経理の方が不安に感じているところを巡回監査担当者が毎月重点的にチェックする。どうしてもすべて見られずにポイントを絞らざるを得ないので、TKCシステムが入っていないところは非常に不安です。
内川 年商50億円、100億円規模の企業であると、訴訟リスクがあります。その監査責任が会計事務所に来る可能性もあります。その意味では今後、こうした規模の企業への巡回監査のガイドラインを作っていくことが必要です。
橋脇 たしかに、これはFX4クラウドの利用契約書によって顕在化してきた課題だと思います。税理士として関与する以上、その部分は知りませんでしたとは言えないはずです。専門家の責任は本来そういうものだと思います。
それならば巡回監査の実施を前提に、たとえば経営者から内部統制の宣誓書をとって、証明三表の一つに付け加えるなどして整備していきながら、年商50億円、場合によっては100億円規模でも、巡回監査を実施していく仕組みを作っていく。そうしていかなければならない時期に入ってきたように思います。
──我々はFX4クラウドを携えて、そこに挑戦して切り開いていくときなのでしょうね。
橋脇 たとえば年商30億~50億円くらいの規模の企業なら、2、3人が入ってやる。年商50億~100億円くらいの規模の企業なら、内川先生がお話しされたようにほかのTKC会員と協力しながらグループでやるといったことも検討できると思います。
そういう巡回監査の実施を前提として、今回FX4クラウドで「記帳適時性証明書」が中堅規模の企業に発行できるようになったのは、企業の信用力向上に寄与しますよね。
事務所のレベルアップとシステムを武器に中堅企業を開拓していこう
──今後、自計化推進、関与先拡大の観点から、事務所経営の面でFX4クラウドをどのように展開していこうとお考えかお聞かせください。
田中 ある中堅規模の関与先の相談役の方に、継続MASを使っている関与先のお話をしたら、「そんなことできるんや」と、継続MASに感動されたのです。これだけの規模の企業なのにこういうことをしていないことに驚きましたが、数字を作る作業と、役員会の資料作成の間の作業がものすごく大変ということでした。FX4クラウドであればその辺が一体化できるのではないかと思います。巡回監査をし、それがそのまま経営者が使う経営指標としてのツールにもなるものとして提案し、FX4クラウドを事務所のセールスポイントにしていきたいと思います。
また中堅企業に関与し、社長から信頼を得ていくためには、スタッフのレベルアップは必須です。自分たちよりも少しレベルの高い会社と仕事をすることは、スタッフにとってストレスかもしれませんが、そうでなければ会計事務所としての成長はないと思います。まだまだ小規模法人が関与先の大半で中堅企業の数は多くありませんが、FX4クラウドを使ってもらい、この規模の企業に関与し続けていきたいと思います。
橋脇 これからも変わらず、関与イコール自計化です。ただ具体的に現場でやるのはスタッフですから、スタッフが「e21まいスター」「FX2」「FX4クラウド」と、すべてのシステムに精通していなければだめだと思うのですね。大工がのこぎりの目立てをしたり、のみを研いだりするのと同じように、我々は道具を徹底的に理解し、使い込まなければいけないと思います。
また事務所のFX3からFX4クラウドへの切り替えを、TKC社員の応援ももらって所員全員で行いましたが、そういう実体験をしながら、関与先への提案力を高めていく努力をしています。やはり自分で体験しないと関与先にも自信を持ってすすめられないし、迫力も出ませんから。
実際にFX4クラウドを導入し、システムと会計が分かるTKC会計人だからこそできる支援が、年商50億円規模の中堅企業にはたくさんあると感じています。今後もFX4クラウドを武器に挑戦していくつもりです。
内川 書面添付まで結びつけていく使い方と、予測値を含めた戦略的な使い方が可能であるFX4クラウドは非常にいいと思います。また、非営利法人もクラウド型システムに高い関心を示しています。3月から提供開始されるFX4クラウド(社会福祉法人会計用)にも大いに期待しています。
あとはFX4クラウドをよりよいシステムにするための努力をみんなでしていくことです。いま、我々が思っている以上に中堅企業の方たちはERP(企業全体を経営資源の有効活用の観点から統合的に管理し、経営の効率化を実現するITシステム)を含めたいろいろなシステムの研究をしています。
ですからFX4クラウドの改善点があれば、システムを導入した企業と、開発したTKCさんと、その仲介役のぼくら会計事務所が情報共有しながら、企業にとってさらに使い勝手のよいものにしていく。その際、経営者や、実際に入力する現場の人たちの意見も統合すべきです。
ここではシステム委員会に頼り切るのではなく、使い勝手のよさも含め、私たち一人ひとりの会員とシステム委員会、TKCさんとが一体で取り組んでいくべきではないでしょうか。
ちょっときざな言い方になりますが、国家から資格を与えられている我々は、企業を黒字にしていく責任がありますので、徹底した支援を行っていく必要があるのです。
──これまで会計事務所は中堅大企業に対する苦手意識がどこかにあり、巡回監査、書面添付の実施にも二の足を踏んでいた面もあると思います。そこを、FX4クラウドという新たな道具を携えて、スタッフ錬成、研修を通して事務所の仕組み作りを見直し、フロンティアとしてどう挑戦していくか。今後の会計事務所の経営戦略として、中堅企業をクライアントにできるFX4クラウドを使って得るものは非常に大きいと思います。
(構成/TKC出版 清水公一朗)
(会報『TKC』平成24年4月号より転載)