2022.07.26
保険金請求事件
LEX/DB25572248/最高裁判所第一小法廷 令和 4年 7月14日 判決 (上告審)/令和3年(受)第1473号
被上告人の運転する原動機付自転車は、交差点において右折するために自車線上で停止していたところ、反対車線から中央線を越えて進行してきた車両の運転者の前方不注視等の過失により、同車両と衝突した交通事故によって傷害を受けた被上告人が、加害車両を被保険自動車とする自賠責保険の保険会社である上告人に対し、自動車損害賠償保障法16条1項の規定による請求権に基づき、保険金額120万円の限度における損害賠償額から上告人の被上告人に対する既払金を控除した残額である103万9212円の支払を求め、上告人は、被上告人が上記事故による傷害に関して労働者災害補償保険法に基づく給付を受けたことにより国に移転した直接請求権の行使を受け、国に対して103万9212円の支払をしていることから、本件支払が有効な弁済に当たるか否かが争われ、原審は、有効な弁済に当たらないとして、被上告人の請求を認容したため、上告人が上告した事案で、被害者の有する直接請求権の額と、労災保険法12条の4第1項により国に移転した直接請求権の額の合計額が自賠責保険金額を超える場合であっても,自賠責保険の保険会社が国の上記直接請求権の行使を受けて国に対して自賠責保険金額の限度でした損害賠償額の支払は、有効な弁済に当たるとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、被上告人の請求は理由がないから、第1審判決を取消し、同請求を棄却した事例。