2019年4月号Vol.114

【こちらデジタル・ガバメント対応推進室】手続きデジタル化への第一歩

──窓口支援サービス

室長 松下邦彦

 「デジタル手続法案」(以前はデジタルファースト法案と呼ばれていた)の準備が進んでいます。自治体でも従来の手続き〝オンライン化〟よりも多くの分野で、より効果的に行政手続きを〝デジタル化〟することが求められます。
 今回は、行政手続きデジタル化への最初の一歩となる「窓口業務の改善」を支援するシステムやサービスの動向を紹介します。

 行政手続きを住民の視点から見ると、〈自分が利用できる制度を探す〉ことから始まり、〈申請書を作成・提出〉して〈証の受け取り、資格の取得、給付受領・納付〉で終わります。行政手続きデジタル化の最終的な目標は、スマートフォンやパソコンでこれら一連のプロセスを〝デジタルで完結〟できることです。マイナンバー制度で実現されたマイナンバーカード(公的個人認証)や情報提供ネットワークは、これを実現するための技術的な基盤です。また、デジタル手続法案が成立すれば制度的な裏付けが強化されます。
 とはいえ、行政サービスデジタル化を一度に実現するのは困難であり、最終目標に至る〝ファーストステップ〟として、まずは行政手続きを実施する場である〈窓口業務の改善〉から取りかかる必要があります。

窓口業務支援サービス、続々登場

 昨今、窓口業務を支援するシステムやサービスが次々と登場しています。
◯証明書交付申請端末サービス
 コンビニエンスストアで、住民票の写しや印鑑証明書を受け取る「証明書コンビニ交付サービス」が普及しつつあります。ところが、マイナンバーカードを持っている人でも〈コンビニ交付サービスが導入されていることを知らない〉、あるいは〈その利用に不安がある〉ため、多くの人が役所等の窓口に出向いて証明書を取得しています。この状況に対して、交付申請を庁内で受け付ける端末サービスが登場しています。
 住民はコンビニ交付と同様の操作で証明書の交付を申請し、職員が庁内のプリンターで証明書を印刷して窓口で渡します。これにより交付申請にかかる職員の作業を軽減するだけでなく、住民に対して、次からはコンビニ交付利用へと誘導する効果も期待できます。
 この交付申請端末は、コンビニと同じマルチコピー機を庁内に設置するよりも少ない経費で導入できます。
◯手続き案内サービス
 住民は各種手続きを申請するにあたり、まず自分に適用できる制度を探します。制度や手続きについては、紙の資料やWebサイトが用意されていますが、それを読んでも住民が自分に適用できる制度を探し出すことはなかなか困難です。そうすると住民は窓口で相談することとなるため、職員は代表的な手続きについて十分な知識を備えておく必要があります。こうした職員の手続き案内を支援するのが「手続き案内サービス」です。
 サービスでは、端末を使って簡単な質問に回答(入力)してもらうことで住民の状況を把握し、それに基づいて適用できる制度や必要な手続き、準備事項、手続き窓口などを記載した案内票を印刷します。そのため、職員は幅広い手続きの知識を持つ必要はありません。
 同様の手続き案内をWEbサイト上で提供する自治体が増えています。中には、LINE等のメッセージアプリで質問・回答することにより、手続きを案内する事例もあります。
◯申請書作成・事前入力サービス
 庁内向けの手続き案内サービスには、案内票とともに手続きに必要な申請書を印刷できるものがあります。こうしたサービスでは住所・氏名などの基本情報が申請書に記載されるため、繰り返し記入する住民の手間を省きます。また、住所・氏名等を画面から入力するだけでなく、〈マイナンバーカードや運転免許証から自動的に入力できる〉〈窓口で順番を待つ間に住民がスマートフォンで申請内容を入力できる〉サービスも登場しています。
 インターネット上の手続き案内サービスでも、必要な手続きの一覧表とともに申請書ファイルをダウンロードできるものがあります。これにより窓口へ出向く前に自宅で申請書を印刷、記入することができます。また、スマートフォンやパソコンで申請書の内容を入力できるサービスもあり、作成した申請書を印刷できます。さらに事前入力した情報を保存し、それを窓口でQRコード表示して記入済みの申請書を印刷するサービスも出現しています。
 加えて、住民票の写しや戸籍謄抄本の申請書をネット上で作成し、サービス事業者がそれを印刷して手続き料金の郵便小為替等とともに郵送を代行するサービスも現れています。

行政も住民も、もっと便利に

 手続き案内や申請書作成サービスは職員の業務効率化を支援するとともに、行政手続きをデジタル化するための第一歩となります。例えば、事前に入力した申請書を紙に印刷するのではなく、電子的に送信する仕組みに置き換えれば「オンライン申請」となります。
 ただし、ここで留意すべき点があります。手続き案内サービスで質問する内容は、自治体の基幹システムが保持する情報が大半です。また、事前入力の画面は、一般的に既存の紙の申請様式〝そのまま〟のため多くの項目を入力しなければならず、デジタルで完結するオンライン申請ではとても使いにくいものとなります。手続き案内の質問を減らし申請の〈入力作業を減らす〉ためにも、基幹システムが保持する情報を利用することが必要です。窓口支援サービスを導入・運用する中で基幹システムの情報を利用する必要性が広く認知され、本格的な行政手続きデジタル化に向けた機運が高まることが期待されます。

◇   ◇   ◇

 総務省の研究会がまとめた『自治体戦略2040第一次・第二次報告書』は、従来の半分の職員でも自治体としての機能を実施しうることを目的として〈AIやロボティクス(RPA)を活用したスマート自治体の実現〉を訴えています。確かに、AIやRPAは有効な手段の一つとなるでしょうが、長期的には行政手続きに関する一連の業務プロセスをデジタル化することが行政の効率化と住民の利便性向上のために必須となります。
 TKCではまずは窓口支援サービスを充実させるとともに、行政手続きデジタル化の実現支援へさまざまな取り組みを進めていきます。

※掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、取材当時のものです。

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