【ユーザー事例】データ連携で、当初課税業務を大幅に改善
申告受付、イメージ管理 > 奈良県香芝市
総務部 税務課 主幹 奥田恵士 氏 / 主事 吉田昌弘 氏 / 主事 森 麻希 氏
- 住所
- 奈良県香芝市本町1397番地
- 電話
- 0745-76-2001
- 面積
- 24.26平方キロメートル
- 人口
- 78,611人(平成28年4月末日現在)
- URL
- http://www.city.kashiba.lg.jp/
――税務課の業務改善へ取り組まれているとうかがいました。
奥田 税務課の職員は繁忙期になると休日出勤や長時間残業が当たり前で、労働基準法の順守に加え、職員の健康管理の面でも早期の改善が急務となっていました。中で最も大きな課題と感じたのが、電子申告・国税連携データを基幹系システムへ取り込むためにかかる一連の作業でした。
香芝市では平成21年度からeLTAXを利用していますが、従来は基幹系システムとデータ連携する仕組みがなく、すべてのデータを印刷して入力業務を外部委託していました。その数は6万〜7万枚に及び、十分気をつけていても印刷の途中でプリンターのトナー切れや紙詰まりなどが発生し、その都度どこまで印刷できたのか確認しなければなりませんでした。また、印刷した資料へ扶養人数を補記するなどの手間もかかっていました。こうした状況は業務効率が悪いだけでなく、課税漏れやミスの原因ともなります。
吉田 さらに、保管用の資料をファイリングするのも一苦労でした。加えて、印刷した課税資料を5年間事務室で保管するため、その保管場所の確保にも苦慮していたのです。
奥田 それらの解決策としてTKCが提案してくれたのが、「申告受付支援システム」と「課税資料イメージ管理サービス」の活用でした。
奥田恵士 主幹
吉田昌弘 主事
納税者対応の迅速化など副次効果も
――システム採用のポイントは。
奥田 まず、データ連携の基盤としてすでに導入していた「TASKクラウド地方税電子申告支援サービス」が活用できるため、他社に比べてコストがかからないことが挙げられます。また、当市の導入している基幹税務システムとの連携実績も豊富で、かつ電子申告を熟知しているという安心感もありました。
平成27年1月から、申告受付支援システムと課税資料イメージ管理サービスの利用をスタートしましたが、いまさまざまな面で効果を実感しています。
申告受付支援システムを介して基幹系システムへデータ連携できる仕組みが整ったことで、印刷にかかる手間やコストの削減とともに人為的ミスを排除できました。
さらに、申告受付支援システムを活用して住民税申告書の対面受付も開始しました。以前は職員が計算しながら申告書を受け付けていましたが、システムに切り替えたことで、受付後の補記やデータ入力などの作業が不要となり、住民税申告書にかかる業務時間が大幅に削減されました。
吉田 また、課税資料イメージ管理サービスにより、いまでは自分の席にいながらにして該当するすべての資料を簡単かつ迅速に呼び出すことができます。これは本当に便利になりました。以前は税務署や他部署から照会依頼があるたびに、それまでの作業を中断してロッカーからファイルを取り出し、該当資料を一つずつ探していました。個々の手間はさほどではなくても、照会件数が多く、依頼が重なると結構煩わしいものです。
この点では、課税資料を業務で利用する納税促進課からもイメージデータを照会できるようにするなど、システムの導入を機に、それまでの運用面の見直しも行いました。
さらに、紙の資料を広げる必要がなくなったことで第三者による “盗み見”などのリスクが減り、情報セキュリティーの確保にもつながりました。
森 実務面では、エラー修正が楽になりました。申告受付支援システムが受信データの論理チェックを行ってくれるので、私たちはそこで抽出されたエラーだけを確認すれば済みます。その上で基幹系システムへデータを取り込めるので、効率的に業務が流れるようになったと感じています。
もう一つ、副次的な効果として窓口対応の“迅速化”と“質の向上”が挙げられます。これまでは4月にやっと課税資料が揃うという状況だったため、その前に納税者から問い合わせがあっても明確な回答を返せませんでした。しかし、いまではeLTAXでデータが届いた翌日には申告受付支援システムで情報を確認することができるため、納税者にとって最適なアドバイスが行えます。
また、窓口対応しながら控除額の有利判定や住民税の試算、確定申告すべきかどうかもその場で判断できるようになりました。
マイナンバーで税業務は一層煩雑に
――今後のご計画はいかがでしょうか。
森 麻希 主事
奥田 業務改善への取り組みは、今後も進める計画です。特に、来年1月1日以降は税務関係書類にマイナンバーが記載されることとなり、これに伴い照会依頼への対応記録をすべて残さなければならないなど、より一層業務が煩雑化します。もはや紙の課税資料では限界です。
同じ悩みを多くの市区町村が抱えています。TKCには、ぜひ自治体クラウドによる共同利用なども見据えながら、これからも市区町村の業務改善や効率化を積極的に支援していただけるよう願っています。
掲載:『新風』2016年7月号