【ユーザー事例】 業務改善により市民サービスの向上を図る
基幹系ソリューション「申告受付支援システム」 > 埼玉県鴻巣市
鴻巣市役所 総務部 市民税課 課長 大塚伸也氏 / 主幹 山崎勝利氏 / 副主査 瀬山 博氏 / 主任 齋藤則考氏
- 住所
- 埼玉県鴻巣市中央1-1
- 電話
- 048-541-1321
- 面積
- 67.49平方キロメートル
- 人口
- 119,978人(平成25年10月1日現在)
- URL
- http://www.city.kounosu.saitama.jp/
大塚伸也課長
──TASKクラウド申告受付支援システムを導入された経緯を教えてください。
大塚 鴻巣市では、昭和63年より汎用機を自己導入して基幹系業務を行ってきました。しかし、平成24年7月に住基法の大幅な改正があり、汎用機での対応は困難となったことから、住基システムなどの一部をオープンパッケージに切り替え、汎用機との連携により対応しています。今後は、番号制度の対応に合わせ、税等のシステムも汎用機からオープン系のパッケージシステムに入れ替える予定となっています。このような中で、申告受付支援システムも、業務改善の一環として平成24年度に導入しました。
瀬山 鴻巣市は上尾税務署から遠方に位置し、また給与所得者や年金所得者のA申告に限定せず事業所得者や不動産所得者等のB申告も受け付けているため、毎年おおむね1万2000人が申告相談に訪れます。これは管内では最も多い受付数です。そのため期間中は、市内6会場を移動しながら申告相談・受付を行っています。
大塚 各会場では、職員が市民の方一人ひとりと面談しながら手作業で確定申告書等を確認していますが、ピーク時には待ち時間が3時間を超えることもありました。また、対応する職員には相応な知識も要求され、その人員確保が年々厳しくなっているという現状もあります。
さらに、受け付けた申告書はパンチ入力を外部委託し、それを汎用機へ取り込んで課税計算を行っていますが、その委託コストがかかるほか、膨大な課税資料の内容確認、あるいは電算入力後のエラーチェックに恒常的な時間外・休日勤務が発生し、職員の業務負担が大きいなどの課題もありました。このため市民・職員双方の課題解決が急がれていました。
現場へ足を運ぶ、提案姿勢を評価
山崎勝利主幹
──TKCシステムを選ばれた理由は。
山﨑 システム選定は、平成24年7月に複数業者によるデモンストレーション、プロポーザルおよびヒアリングの方式で実施しました。評価にあたり重視したのは、①基幹系システムの改修を極力抑える、②申告受付業務における諸課題を解決し市民サービスの向上に寄与する、③合算処理の効率化、の三点です。
TKCについては、地方税の電子申告を検討する際に研修講師を務めてもらって以来、プライベートフェアなどを通じて基本的な知識は持っていましたが、今回関心したのはその提案姿勢でした。実際に申告会場にまで足を運び、現状を観察した上で課題解決策を提案してくれたのは非常に好感を持てましたね。また、合算処理についても、TKCシステムがどのような仕組みで処理しているのかきちんと説明してくれました。正直いってわれわれの考え方とは違っていましたが、説明を聞きTKCならば市の要望も採り入れてよりよいものを提供してくれそうだという安心感につながったと思います。
さらに、鴻巣市では「TASKクラウド地方税電子申告支援サービス」を利用していることから、TKCの申告受付支援システムを採用することで電子申告や国税連携のデータを自動連携できるようになる点も評価しました。現時点ではセキュリティポリシーの制約もあって、この仕組みを利用していませんが、番号制度も始まることからいずれは自動連携により、さらなる業務改善を図っていければと考えています。
合算処理の前倒しで業務に余裕も
瀬山博副主幹
──実際に利用されていかがでしたか。
齋藤 平成24年分の確定申告業務から切り替えたのですが、まず申告受付業務の効率化と時間短縮が図られ市民サービスの向上につながりました。実際、申告相談に来られた方から「待ち時間が短くなった」とおっしゃっていただき、とてもうれしかったです。職員からも今までより税額計算がスムーズになり、対応時間が短縮されたという感想が聞かれました。
瀬山 また、今回の申告受付から生命保険料控除の取り扱いが変わりましたが、税務の経験年数が浅い職員でも円滑な税計算が行えるようになったのは大きな効果です。また、外部へ委託するパンチ入力件数が減少したことでコスト削減に繋がるとともに、補記作業などにかかる手間も軽減されました。
──合算処理はいかがでしょうか。
瀬山 これまでは、すべての課税資料が揃う4月中旬に合算業務と課税計算のチェック作業が集中していました。しかし、課税資料の種類ごとに合算処理が行えるため、前職給与支払報告書の合算や徴収区分判定など4月に実施していた作業を前倒しし、エラーチェックを行うことができました。
山﨑 加えて、業務の分散化により期限内に確定申告された全ての国税連携データを、当初に発付する特別徴収税額通知書に反映できるようにもなりました。これまでは一部データで反映が間に合わず、やむを得ず2段階にわけて通知書を発送していました。この点でも大きな業務改善となりましたね。
齋藤則考主任
──今後の取り組みを教えてください。
大塚 合算処理についてはまだ改善の余地はあるものの、申告受付支援システムの導入により、多くの課題を解決することができました。これに次いで「TASKクラウド法人市町村民税システム」の導入も決定し、さらなる業務改善を進める計画です。その目標は市民サービスと利便性の向上です。そのためにも、基幹系システムのオープン化と併せ、一層の業務改善を図るとともに“市民の視点に立った新たなサービス”を創造していくことが重要です。TKCにも情報提供などを通じて、ぜひわれわれの取り組みを積極的に支援していただきたいと考えています。
掲載:『新風』2013年10月号