【ユーザー事例】システムの刷新で、職員本来の業務へ注力可能に
基幹系システム > 宮城県登米市
産業経済部 工業振興課 課長 櫻 節郎 氏 / 企画部 企画政策課 情報システム係 主幹兼係長 佐々木 隆 氏
- 住所
- 宮城県登米市迫町佐沼字中江2-6-1
- 電話
- 0220-22-2111
- 面積
- 536.12平方キロメートル
- 人口
- 81,318人(2017年8月末日現在)
- URL
- http://www.city.tome.miyagi.jp/
──基幹系システムの刷新に至った経緯を教えてください。
櫻 2005年に9町の合併によって登米市が誕生しました。以来、ベンダーとは1期を5年とする契約を締結してきました。今回の更新時は番号制度への対応等により例外ではありましたが、契約終期に各課の業務担当者が一堂に会して業務への適合性、制度改正に向けての対応や、その情報提供力、障害時の対応など、多面的な観点からシステムを棚卸し、契約更新の有無を協議するプロセスを実践しています。これにより、合併以降5年ごとに基幹系システムを刷新する結果となっています。
このような土壌がある状況で、私が電算主管課の責任者を務めていた15年当時に次の基幹系システムを任せるベンダーとして、プロポーザルによってTKCを選定しました。
コストと使い勝手のバランスを重視
──選定時の評価で重視したポイントは何でしたか。
櫻 節郎 課長
櫻 重視したのは①業務への適合性②コスト③クラウド型であるか、の3点。
標準パッケージで「システムが業務に合っているか」を重点に評価しました。単に安ければいいのではなく、コストと使い勝手のバランスをとる必要があります。ただ、選定では「ノンカスタマイズ」の基本方針を打ち出したことによって、「システムに業務を合わせる」方向へ各課の職員の協力を得ることができました。
もちろん、登米市独自の福祉サービスなどの「業務にシステムを合わせる」ため、コストをかけてカスタマイズする必要がある部分は存在します。しかし、大部分の業務においては「システムでできないなら、ちょっと手法を変えてやってみよう」と、現場の職員の間で創意工夫が生まれて、ノンカスタマイズに限りなく近づける導入ができました。
また今回のシステム更新では、クラウドの導入が前提でした。以前の基幹系システムは自庁型で運用してきましたが、東日本大震災を経験して以降、クラウドによるシステム運用が今後は必要だと認識していました。そこで、クラウド化に向けての第一歩として、プライベートクラウドに近づけるよう自庁にあるものを外に出して運用していこうと考えました。
職員本来の業務へ注力可能に
──システム導入後、業務はどのように変わりましたか
佐々木 隆 主幹兼係長
佐々木 大きな変化は、TKCの「アウトソーシングサービス」を導入したことで、業務時間が大幅に短縮され、職員の負担を軽減できたことです。
以前は、庁内に設置した大型プリンターで、住民に発布する各種の帳票を印刷していました。さらに、帳票のカットや封入、封緘も、職員が自ら手作業で行っていました。
櫻 そのような作業は、職員の本来の業務ではありません。そこで、TKCへの移行に伴い、アウトソーシングすることにしました。
佐々木 従前であれば、帳票を住民に発布する前に、職員が1件ずつ封入・封緘しながら全件チェックする必要がありました。しかし現在は、TKCがチェックした上で納品されているので、職員のチェックもサンプリング検査へ変更できました。こうして発布までの日数を短縮でき、かつ、職員の作業工数も大幅に減らせました。
櫻 また、本番の印刷前にPDFをテスト納品いただけるので、事前にデータを確認できることも見逃せません。 事前のデータ確認の工程を設けていただいたことで、職員も余裕をもって確認できます。かつ、納品までの期間も短縮できました。TKCのアウトソーシングサービスを利用して、いろいろな面で非常によかったと思っています。
さらに窓口に関しても、クラウド化したことで、住民情報など重要なデータをデータセンターに保管できています。万が一、何かがあっても窓口業務を継続できるという安心感につながっています。
──最後に、今後のご計画についてお聞かせください。
佐々木 今後、住民がマイナンバーの利便性を感じられるサービスの展開が必要となります。
東日本大震災では、手作業で避難者の情報収集や名簿の確認作業を行いました。これを、全国の市町村や避難所に設置したカードリーダーでマイナンバーカードを読み取り避難者の所在確認ができれば効果的です。このように、具体的な利活用へ発展させていきたいですね。
TKCでも新たな取り組みを検討されていると伺いました。その試行で協力できることがあれば、ぜひ声を掛けてください。
櫻 TKCへ移行して1年が経過しました。システム移行時から、打ち合せ事項や課題など全てをドキュメント化してきました。各課担当者と担当SEや営業担当だけでなく、私たち電算部門や、TKC社内でも共有化することにより、さまざまな障害等の未然防止策を講ずることが可能となるので、引き続き協力してください。
ノンカスタマイズによるクラウドシステムへの移行は、同じ都道府県内での業務の標準化を進めることにもなります。宮城県の自治体でも、こうした業務の標準化が進んでいけば、共同化クラウドはもう造作もないでしょう。
ゆくゆくはTKCで宮城県自治体共同化クラウドを構築していただいて、さらにコスト低減を図っていければと思います。
掲載:『新風』2017年10月号