【ユーザー事例】さらなる業務効率の実現に向けて
基幹系システム > 静岡県牧之原市
総務部 部長 大石一志 氏 / 管理情報課 課長 今村隆史 氏 / 主管兼情報システム係長 萩原貴憲 氏
- 住所
- 静岡県牧之原市静波447-1
- 電話
- 0548-23-0001
- 面積
- 111.68平方キロメートル
- 人口
- 46,796人(平成28年5月末日現在)
- URL
- http://www.city.makinohara.shizuoka.jp/
コスト削減と防災の観点からクラウド化を推進
――基幹システムをクラウド化(平成27年11月)した背景についてお聞かせください。
大石 平成17年にTKCシステムへ移行しました。今年で、ちょうど10年目の節目を迎えるにあたり、クライアントサーバー方式を継続するか、「新世代TASKクラウド」へ移行するか、運用形態の見直しが必要であると判断しました。その際、特に重要視したのは、電算コストの削減、業務継続性の向上、マイナンバーを見据えた情報セキュリティーの確保の3点です。
――業務継続性という観点は以前より重要視されていますね。
今村 クラウド化以前より、TKCで住民情報などの重要データのバックアップを実施してきました。南海トラフや、近隣に浜岡原子力発電所があるので、特に災害対策の意識は高いですね。これまでにも、西原茂樹市長も参加して、「第3世代携帯電話の通信ネットワーク(3G)回線」を利用したデータ復旧訓練なども行ってきました。
大石一志 部長
今村隆史 課長
――クラウド化や、それに伴う新システムの効果はいかがでしょうか。
萩原 クラウド化により、職員の運用管理に伴う業務負荷を軽減できました。例えば、電源設備の法定点検のために定期的に計画停電が行われると、これまではネットワークインフラやサーバーなどの機器に障害が発生していないか検証が必要でした。ところがクラウド化したことで、職員の点検作業が随分と楽になりました。また、プログラムの更新についてもデータセンター側で実施しますので、全体的に職員の残業時間が軽減できました。これで、住民サービスの停止時間も最小限に抑えることができています。
また、クラウド化により操作方法が若干変わりましたが、職員からは入力ガイドや業務手順を画面表示して処理漏れを防止するなど工夫されているなど評価は高いですよ。加えて、データセンターに構築したクラウド環境で、2週間の運用テスト期間を設定しました。このことで、職員にとって新システムへの習熟に十分な時間を割くことができ、不安もなく移行できました。
――クラウド化に合わせて、セキュリティーソリューションの導入を進められたと伺いました。
大石 クラウド化に伴って、IT資産管理ツールと二要素認証を導入しました。二要素認証については、静脈認証も採用しています。一般的に、生体認証というと職員の抵抗があるかなと懸念しましたが、それは杞憂でした。これも部長情報会議などでセキュリティー対策の一環であることを説明してきたことがよかったですね。
住民サービスとコスト削減の両立にむけて
――今後のご計画をお聞かせください。
萩原 現在、自動交付機を各庁舎に1台導入していますが、更新時期が近づいています。そこで、選択肢の一つとしてコンビニ交付の導入検討を開始しました。ただ、マイナンバーカードの利用を視野に入れると、調整が必要な部分がいくつかあります。例えば、現行の自動交付機で利用している市民カードや印鑑登録証が使用できなくなりますし、そのことで市民の皆さんに不便をおかけするわけにはいかないですからね。
――TKCに期待することをお聞かせください。
荻原貴憲 係長
萩原 ペーパーレス化の推進を期待しています。コンピューターが普及してから何十年と経ち、その間ずっとペーパーレスがうたわれてきましたが、頻度などの問題で実現できていない分野があると思います。紙とデータを併用することで事務作業が繁雑になりますし、紙の簿冊を庁舎ごと、責任者単位で分散管理している方法では情報漏洩のリスクとなります。ひとたび災害が発生すれば、紙の情報では復元に膨大なコストがかかることにもなります。また、保管管理に要する資産の有効活用の観点からもデータセンターで一元管理されていれば、不安の解消や無駄の排除につながりますからね。
今村 やはり第一に、市民サービスの向上につながる機能の提供です。市民が生活しやすくなるシステム、その上で、職員の負担も同時に軽減できるようであればベストですね。年々サービスの多様化が進み、以前は福祉の業務であれば10人程度で対応していたものが、現在では部だけで約80人の体制が必要になっています。
牧之原市では職員のワークライフバランスを考え、休暇や家族との時間を確保しつつ、生産性を向上する取り組みを今年度から始めました。サービス向上と生産性を図ること、一見、二律背反する問題もシステムを活用することで解消できるのではないでしょうか。
萩原 マイナンバーが導入され、これから申請行為がより重要となります。そこで、住民が来庁する負担を軽減するために、電子申請に期待しています。もちろん、本人確認などセキュリティー上の課題もありますが、電子データである以上、活路はあると思います。昼夜間問わず、自宅で申請できるような仕組みを実現したいですね。
掲載:『新風』2016年7月号