【ユーザー事例】社会変化に柔軟に対応できる情報基盤の構築へ
基幹系システム > 大阪府泉南市
総務部総務課課長 川井 茂氏 / 主幹兼管理係長 松野 康弘氏
- 住所
- 大阪府泉南市樽井1-1-1
- 電話
- 072-483-0001
- 面積
- 48.98平方キロメートル
- 人口
- 63,732人(平成27年5月1日現在)
- URL
- https://www.city.sennan.lg.jp/
──今年1月に、クラウド方式の基幹系システムが本稼働しましたね。
川井 泉南市では、昭和59年より各業務システムを連携させたオンラインシステムをスタート。平成10年には大型汎用機を庁舎に設置しシステムを運用してきましたが、機器の老朽化等に伴い、20年度からは委託事業者の汎用機システムをホスティングサービスで利用するスタイルへと切り替えました。しかし昨今では、マイナンバー制度への対応を控え、次期システムの検討が急務となっていました。
また、①システムの維持費用が増加傾向にある、②度重なるプログラム改修でシステムが複雑化している、③法制度の新設・改正や社会制度の変化、市民ニーズの多様化、行政サービスのあり方などへの対応が急がれる、④東南海・南海地震など自然災害発生時の業務の継続性が求められる──などの観点から、これまでの運用形態には限界を感じるようになっていたのです。
そこで、25年12月に公募型プロポーザル方式による事業者選定を行い、「TASKクラウドサービス」への移行を決定しました。
利用者目線での
システム選定にこだわる
川井 茂課長
──TASKクラウドの選定理由は。
松野 自治体は、これまで自前でシステムや情報機器を購入し、運用および維持管理するのが一般的でしたが、クラウドサービスによりこれらの管理にかかるコストと手間、設置スペースが不要となります。加えて、最適なコストで「市民サービスの向上」と「業務効率の向上」を実現し、将来にわたって安定したシステム運用を実現できると考えました。
システムの選考では、ノンカスタマイズであることに重点を置きました。また、業務で使用する担当職員21名には機能要件、仕様書の作成などに関わってもらい、実際にシステムを操作・体感し、評価を行いました。やはり、実際に使う職員が“使いやすい”“快適に動く”と実感できるシステムであることが大前提で、操作性や機能面を重視しました。
さらに、初めてのオープン系システムということで、事前にベンダー3社にデモンストレーションを依頼して勉強会も行いました。それにより、職員のシステムに対する理解も深まったようです。
川井 今回の選定で最もこだわったのは、「自分たちが使いたいと思えるシステムを自分たちで決める」ことです。
職員の評価で、操作性と機能面のいずれも高得点となったのが、TKCのシステムでした。操作性では非常に直観的なシステムだと思いましたし、機能面においては一部に強化が必要と感じた点もありましたが、業務に使用するシステムとしては最も適していると判断しました。
マイナンバー制度を見据えた
情報政策の展開へ
松野 康弘係長
──以前に比べ変わった点は何ですか。
松野 最も大きな変化は、システムの操作性です。汎用機ではコマンド入力をしていましたからね。また、以前は17時30分までしかシステムを利用できなかったのですが、この稼働時間の制約がなくなった効果も大きいのではないでしょうか。
具体的には、国税連携、電子申告データの自動連携により、基幹系システムへ即時にデータを反映することが可能となり、事務が軽減されました。
また、「TASKクラウド申告受付支援システム」により、基本情報(住所、氏名等)、被扶養者情報、所得情報等の入力が不要となり、申告相談者一人当たりに要する時間が大幅に削減されました。加えて、申告漏れの所得情報の補完作業も効率的になりました。
ほかにも、簡単な統計資料の作成などで、新しいシステムをフル活用しています。
──勉強会を開催されていますね。
川井 同程度の人口規模で、TASKクラウドのユーザーでもある四條畷市さんと勉強会をスタートしました。目的は、システムを有効活用するために先行団体に学ぶことと、よりよいシステムとしてもらうための機能研究です。まずは、マイナンバー制度の勉強や実務対応の情報交換から始めています。
──なるほど。今後の取り組みについてお聞かせください。
川井 マイナンバー制度の導入に伴い、市民にそのメリットを感じていただくためには、窓口手続きの簡素化だけではなく「利便性の向上」を実際に体感できることが大切だと思っています。そのためにも、まずは個人番号カードを多くの方に取得していただけるよう、広報活動に力を入れます。また、コンビニ交付など独自利用のサービスも幅広く検討する計画です。
国では、マイナンバーの利用拡大についての議論も始まりました。市としても情報セキュリティーの一層の向上を図るとともに、制度や社会環境などさまざまな変化にも柔軟に対応できる情報基盤を構築し、今後も利便性の高い行政サービスを市民へ提供していけるよう取り組んでまいります。
掲載:『新風』2015年7月号