【ユーザー事例】攻めの行政経営へ、システムを刷新
基幹系システム > 北海道喜茂別町
副町長 内村俊二氏 / 主幹 佐々木忠氏 / 係長 木下恵一郎氏
- 住所
- 北海道虻田郡喜茂別町字喜茂別123番地
- 電話
- 0136-33-2211
- 面積
- 189.51平方キロメートル
- 人口
- 2291人(平成27年5月末現在)
- URL
- http://www.town.kimobetsu.hokkaido.jp/
内村 俊二副町長
──3月に基幹系システムが本稼働となりました。システムを移行するに至ったきっかけは。
内村 喜茂別町では長年「北海道自治体情報システム協議会」の一員として、システムを共同利用してきました。しかし、クラウドサービスの進展で単独導入した場合とコスト差がほとんどなくなり、新たなまちづくりに向けていろいろと取り組みたいことが出てくる中で、従来システムでは柔軟に対応できない状況でした。また、法制度改正に伴うシステム改修に時間がかかるという点でも、マイナンバー制度のスタートを控えて不安要素と感じていました。
加えて、財政のマネジメント強化のため「統一的な基準による地方公会計」の早急な整備を考えていたこともあって、自分たちのやりたいことをスピーディーに支えてくれるシステムへの全面刷新を決断しました。
使いやすさとサポートで
職員自身がシステムを選択
佐々木 忠主幹
──選定でポイントとなった点は。
佐々木 次期システムの検討は2年ほど前から開始しました。当初は総務課で情報収集を行い、その後、検討委員会を立ち上げて詳細検討を進めました。そして、昨年9月に指名型プロボーザル方式により3社の提案を受け、最終的に職員の意見で「TASKクラウドサービス」を選びました。選定ポイントはシステムの操作性に加えて、導入実績や法制度改正などの最新情報をいち早く提供するサポート面が充実していることが挙げられます。
木下 私は前職が民間企業のSEで、多くのシステム移行を見てきましたが、わずか3カ月半でのシステム立ち上げは異例でしょう(笑)。それでもテクノラボ社とTKCのサポートにより、職員の残業がさほど増えることもなくスムーズに移行を完了できました。本稼働後も特に問題が起きていませんし、担当者としてほっとしています。
──ありがとうございます。これまでと変わった点は何でしょうか。
内村 操作面では、一つの画面で処理が完結するなど便利になったと聞いています。また、最も大きな変化は業務をシステムに合わせて変えたことです。何かのきっかけがないと、様式の変更や業務プロセスの見直しはなかなかできません。特にシステム改修が伴うような変更はコストも手間もかかってしまいます。その点で、今回は見直しの絶好の機会と捉えました。システムに合わせて業務を見直してみると、例えば選挙人名簿をわざわざインチサイズの様式で使い続けていたなど、これまで見過ごしていた“無駄”の改善にもつながりました。
佐々木 さらにサポートが違います。システムが切り替わることで職員には多少の不安もあったと思いますが、操作研修に加えて、選挙や当初課税など初めてのイベントに立ち会ってくれたので安心できました。また、従来はヘルプデスクに問い合わせをするたびにシステムの状況をいちから説明しなければなりませんでしたが、今では決まった担当者が頻繁に訪問してくれますし、質問へのレスポンスも早いんです。中でも、マイナンバー制度の職員研修では、準備作業に悩んでいただけに時宜にかなった支援でした。
マイナポータルを活用し
「町民元気かるて」の構築へ
木下 恵一郎係長
──システム刷新に合わせて、新たな試みもスタートしたと伺いました。
木下 一例がスマートフォンを活用した「水道検針システム」です。もともとはハンディターミナルの利用を想定していましたが、「高齢の検針員でも持ち運びが楽で、操作も簡単で、コストをかけない方法はないか」とテクノラボ社の担当者と話す中で、アンドロイド端末で動くアプリケーション開発につながりました。こうした柔軟な対応も従来では考えられませんでしたね。
また、住民の利便性向上の点では軽自動車税のコンビニ収納もスタートしています。
──すでにマイナンバーを活用した住民サービスも計画中ですね。
内村 現在、町民が自分自身の健康や福祉の情報を確認することができる「町民元気かるて」の構築を進めているところです。いずれはこれをマイナポータルで実現したいと考えています。これにより過去の健診結果を紙で保管する必要がなくなり、また子どもの予防接種の記録を残すことで大人になってから確認することもできます。将来、医療情報と連携できれば町民にとってさらに便利なサービスとなるでしょう。
ただ、マイナンバー制度が導入されても行政がやるべきことは変わりません。大切なのはその新しいインフラをどう活用するかです。今後も、マイナポータルをはじめ新たな技術・サービス仕様への対応が求められます。そのためにもベンダーの皆さんには、われわれのパートナーとして一緒に汗をかき課題解決へ取り組んでいただけることを期待しています。
掲載:『新風』2015年7月号