【ユーザー事例】
後乗りを前提に、
茨城県の標準となるシステムを構築
基幹系ソリューション > 茨城県五霞町
五霞町役場 総務課 課長 山中一郎氏 / 主幹 鳩貝浩之氏 / 副主幹 矢島征幸氏
- 住所
- 茨城県猿島郡五霞町大字小福田1162-1
- 電話
- 0280-84-1111
- 面積
- 23.09平方キロメートル
- 人口
- 9,250人(平成26年3月1日現在)
- URL
- http://www.town.goka.lg.jp/
山中一郎課長
──平成26年1月14日に五霞町で稼働を開始した「いばらき自治体クラウド」についてご紹介ください。
山中 いばらき自治体クラウドは、常陸大宮市、那珂市、かすみがうら市、五霞町の4市町が次期システムをクラウドにより共同で構築し、コストの削減や住民サービスの向上、業務の効率化、情報セキュリティーの充実を図ることなどを目的としたものです。
茨城県では平成23年度より自治体クラウドの導入が推進されており、県の調査をきっかけに「自治体クラウド・共同アウトソーシング部会」が設置されました。そして、その中で13市町が参加した基幹業務のワーキンググループがもととなり、最終的にはサーバー機器のリースアップ時期が近い4市町が先行して「いばらき自治体クラウド基幹業務運営協議会」を設置し、スタートしました。
──システム調達はどのように進められましたか。
矢島 他団体がいつでも参加できる茨城県の標準システムとするべく、調達仕様書や業務機能要件書の策定にあたっては、基幹業務システムのワーキングに参加する13市町で1年かけて検討しました。また、平成22年度の自治体クラウド開発実証事業調査研究報告書『パッケージソフトに対する要求仕様書(サンプル)』をベースとすることで、作業の負担軽減と要件の漏れを防ぎました。
その後に実施したRFIでは五つの事業者へ情報提供を依頼し、その回答結果を13団体の業務担当者でそれぞれ確認するなど、標準化に向けた作業を進めました。
なお、システム調達については公募型プロポーザルにより行うこととし、平成25年4月30日に公告しました。そして、実際に提案があった3社について、「業務機能」「価格」「デモンストレーション」「プレゼンテーション、技術提案書」の4点を総合評価方式により評価し、7月10日に4市町のホームページで結果を公表しました。
鳩貝 現在、3市の移行作業が進められているところですが、今回の共同事業で改めて感じたのは県の支援が非常に大きかったということです。県の後押しがなければ短期間での共同化の実現は難しかったでしょうね。
業務をシステムに合わせ効率化を図る
──システムを選定する上で重視した点を教えてください。
鳩貝浩之主幹
鳩貝 システムを選定する上では、①ノンカスタマイズを基本とした標準のパッケージシステムであること、②災害等が発生した場合でもシステムが止まらない安心・安全・安定したデータセンターであること、③番号制度についてどのような対応を考えているか──の3点を重視しました。
矢島 特に①については、4市町の中で2市町が同一のパッケージシステムを採用し、かつノンカスタマイズで運用していたことから問題ないと考えていました。
また、業務機能要件においても各システムで「改修が必要」、あるいは「対応不可」となったものが、RFI時で平均5・2%、RFP時では0・12%であったことから、カスタマイズが前提だった時代に比べパッケージシステムが進化していることを実感できました。
そこで、今回の共同調達ではよりよい標準パッケージシステムを採用し、むしろ「業務をシステムに合わせる」ことで業務改善にもつなげることを狙いました。
──最終的にTASKクラウドサービスを採用された理由を教えてください。
山中 総合評価による点数が一番高かったことが、直接の採用理由となります。その中でも評価したのは次の4点です。
1点目が、パッケージシステムの完成度の高さです。完成度の高い標準パッケージシステムの採用は共同化の目的を達成するためにも重要でした。
2点目は、クラウド基盤を活用した全国共同利用型のシステムであるという点で、稼働実績があることも評価しました。
3点目は、分かりやすい画面展開など職員が使いやすいシステムであった点です。デモンストレーションへは評価に直接関わらない職員も参加しましたが、彼らの評価も一様に高かったと聞いています。
そして4点目がサポート体制です。五霞町も含めてTKCのシステムを利用している市町において、これまでも「巡回訪問」で日常から定期的に訪問し、サポートしてくれていた実績を評価しました。
鳩貝 どんなによいシステムを導入しても、職員が全ての機能を使いこなすのは難しいでしょう。そのような時に定期的に訪問してくれて、業務の効率化につながるような助言をくれるTKCのサポート体制はありがたいですよね。クレームがある時だけではなく、普段の業務から職員の手助けとなる、もしくは職員の育成につながるようなサポートに今後も期待しています。
自治体クラウドから番号制度へ
──システムを共同調達することでどのようなメリットがありましたか。
矢島征幸副主幹
矢島 コスト面については、五霞町の例ではオンプレミス型で継続した場合と比較して約30%の削減効果を見込んでいます。
山中 コスト面での効果もさることながら、一番大きいのは4市町の心理的距離感が近くなったことです。非常によいチームワークで共同化へ取り組めたこともあり、今ではお互いの悩みや課題を共有できる関係が構築できています。その点においても効率化が図れ、これは大きな成果だったといえますね。またそれ以外にも、番号制度に向けて、4市町合同で研修会を実施するなど、新たな取り組みもスタートしています。
共同化によるメリットを生かし業務の効率化を進めながら、住民サービス向上につながる取り組みを今後も進めていきます。
掲載:『新風』2014年4月号