【ユーザー事例】県内全市町村が共通のシステムを利用し、軽自動車税業務の効率化を実現
課税資料イメージ管理サービス > 奈良県奈良市
市民税課 課長 福山明美 氏 / 課長補佐 中川佳男 氏 /主事 阪本正高 氏
- 住所
- 奈良県奈良市二条大路南1-1-1
- 電話
- 0742-34-1111
- 面積
- 276.94km2
- 人口
- 361,132人(平成28年8月1日現在)
- URL
- http://www.city.nara.lg.jp/
──システム導入の経緯を教えてください。
福山 まず従来の軽自動車税申告書の流れですが、奈良県市長会の窓口で受け付けた申告書を、軽自動車協会でパンチ入力してデータ化します。その後、紙の申告書は市長会が各市町村へ郵送し、パンチデータは当市がとりまとめて各市町村に送付していました。
中川 これにより、申告書をデータ化し、課税に活用する仕組みは構築できていましたが、紙の申告書の整理に労力がかかっていました。新規登録があった申告書をナンバープレート順にロッカーに保管する作業と、廃車があった場合は登録時の申告書を抜き取る作業です。申告書は市民税課のロッカーに保管していますが、これまでは誰か一人が常に整理している状態でした。
そこへ税制改正に伴い、平成28年より地方公共団体情報システム機構(J-LIS)から軽自動車の検査情報が提供されることになりました。申告書のパンチ費用の負担も課題となっていたことから、これを活用すれば、パンチデータも不要となると考え、業務の効率化も含め新たな仕組みの導入を検討しました。
39市町村で共通のシステムを調達へ
福山明美 課長
中川 県内39市町村で検討を行った結果、まず課税情報として、J-LISの検査情報を活用することにし、パンチコストの削減を図ることにしました。また、①紙の申告書はイメージ化し、②OCRで車両番号等を読み取りイメージの検索キーを生成、③申告書イメージを39市町村が共同で照会できるシステムを構築することとしました。共同で利用できるようにしたのは、定置場が他市町村にある申告書も照会できる必要があるためです。検査情報に不足する納税義務者等の情報は申告書イメージを照会することで事務の効率化を図ることとしました。
──TASKクラウドイメージ管理サービスを採用いただいた理由は。
中川 今回のシステム調達で重視したのは、作業効率と費用対効果、そしてセキュリティーです。その中で、TKCのサービスを採用した決め手は、LGWAN回線を活用できる点でした。
今後、軽自動車税の申告書にもマイナンバーが記載される可能性があることから、システムを利用する回線もセキュリティーの高い専用線を用意する必要がありました。しかし、39団体全てに専用線を敷設するには莫大な費用がかかります。LGWAN回線を活用できれば、セキュリティーの問題も解決できますし、何より回線のための追加費用が不要です。eLTAX業務での高い実績も相まってTKCのサービスを導入することに決めました。
福山 費用面でも、J-LISへの情報提供料による負担増の相殺以上の大きな効果がありましたので、他の市町村でも合意しやすかったのではないでしょうか。
──導入時に苦労された点はありましたか。
中川 申告書をOCR用紙に変えるためのレイアウト変更に伴い、各関係機関との調整が必要でした。四輪車の場合、二枚複写の申告書用紙の一枚目が自動車取得税の用紙、二枚目が市町村用の申告書となります。そのため、奈良県自動車税事務所や軽自動車協会に何度も調整に行き厳しいなと感じましたが、今思えば良い意見をいただき感謝しています。
中川佳男 課長補佐
阪本正高 主事
また、意見を集約する点でも苦労しました。奈良県下39市町村で同じシステムを利用するために、奈良県市町会の主催での全市町村向けの説明会を行いましたが、合意を得るため説明会開催後も個別に市町村を回って説明を行いました。いろいろな議論がありましたが、最終的には賛同を得て前に進めることができました。
──システムの導入効果は。
阪本 奈良県下全ての市町村で申告書イメージの検索・閲覧が可能となり、申告書の整理にも時間をとられなくなりました。これは大きな効果です。
また、申告書は市民から照会があった場合に提示できるよう、これまでは登録時の申告書は廃車になるまで保管しておく必要がありました。そして、廃車の届出があった時点で登録時の申告書と合わせてさらに5年間保管してから廃棄するルールとしていました。
今回、イメージ管理サービスを導入したことで、市民からの照会には画面を見せれば済むようになりました。そこで、新たな申告書については箱にまとめて保管し、10年が経過したら廃棄するという運用に変更しました。
──他の市町村ではいかがでしょうか
中川 運用開始後の問い合わせ内容から、システムが利用されていると感じています。あくまでも軽自動車の課税は申告書をベースに行う必要がありますし、J-LISから提供される検査情報には含まれない納税義務者は申告書のイメージで確認する必要がありますので、利用頻度は高いと思いますよ。
──最後に当社に期待されていることがあればお聞かせください。
福山 LGWAN回線を利用したクラウド型のイメージ管理サービスは、軽自動車税以外でも色々な業務で活用できると思います。TKCにはこれからも業務効率向上ができるサービスの提案を期待しています。
掲載:『新風』2016年10月号