【ユーザー事例】業務の標準化と効率化を目指し、日々仕訳を共同利用

公会計システム> 長野県市町村自治振興組合

長野県市町村自治振興組合 事務局長 倉石剛佳 氏 / システム共同化担当係長 中村智郎 氏

住所
長野県長野市大字西長野字加茂北143-8
電話
026-232-4923
設立
1995年3月22日
構成
長野県内の全市町村
URL
http://www.union.nagano-map.lg.jp/
1995年3月に、長野県自治会館の設置および管理運営に関する事務を行うことを目的として設立。2001年9月には行政事務の効率化・高度化を目的として市町村・県・関係団体(県市長会・県町村会研修センター・広域連合)をインターネットを利用して結んだ「市町村行政情報ネットワーク」を整備し、その管理運用に関する事務を追加。2009年4月に市町村が行う事務の電子化を推進するための事務を追加し、現在に至る。

──システムの共同化に至った背景を教えてください。

倉石 長野県市町村自治振興組合は、1995年に自治会館の設置および管理・運営を目的に設立され、これまで全国に先駆けて、県内の約120市町村・県・関係団体をインターネットで結ぶ「市町村行政情報ネットワーク」の構築や、「ながの電子申請サービス」の運営を担ってきました。
 当時より、各市町村長や議員から専門的知識を持った職員の不足や、法改正等に伴うシステム改修費用の負担、業務継続性の確保など──情報化における課題が寄せられていました。
 そこで、2009年に組合に電子自治体推進部門を設置し、情報化の企画・立案をはじめ、システムの共同構築・運用、人材育成事業等を実施し、 市町村の事務経費の削減や、事務負担の軽減、職員の情報化に関連する技術・能力の向上に取り組んできました。
 また、同年には電子自治体の推進を共同で、円滑かつ効率的に行うため、77市町村で構成する「長野県市町村電子自治体推進委員会」が設置され、その事務局を組合が担っています。そして、いまわれわれの最大の命題である“システムの共同化”へ対応するため、委員会では13年に「基幹系業務システムの共同化基本方針」を決定し、15年には「長野県市町村電算システム共同化検討会」を発足して基幹系業務システムの共同化を14団体(17年4月現在、7団体稼働)で開始しました。
 今年4月には、財務会計システムを含む14システムを対象とした「内部情報系システム」の共同化にも取り組み、長和町と生坂村の2団体で順調にスタートしました。

予算編成等への活用と業務平準化で日々仕訳方式を選択

倉石剛佳 事務局長

倉石剛佳 事務局長

──今回、日々仕訳方式による財務会計システムを採用されました。調達で重視した点をお聞かせください。

倉石 国は、原則、17年度までに全ての地方公共団体に統一的な基準による財務諸表等を作成し、予算編成等に積極的に活用することを求めています。また、これに対応した複式仕訳の作成方式として「日々仕訳方式」「期末一括仕訳」を示しています。
 電算システム共同化検討会では、仕訳方式をいずれにするかなどを含め、過去6回検討を重ねてきました。総務省の研究会などでも日々仕訳方式が好ましいと示されていましたし、東京都などの先進団体ではすでに日々仕訳を行っているということもシンポジウムなどで聞いていました。そこで、国が示す“公会計の予算への活用”などに着実に対応できる、日々仕訳方式へ早い段階で取り組むことにしました。これにより、何よりも、“業務の平準化”が図れると考えたためです。
 ベンダーの選定に当たっては、日々仕訳方式を前提とし、固定資産台帳管理機能とも連携するなどを条件としました。最終的には3社に絞った中から、価格やサポート体制、会計にも精通しているなど、スムーズに導入できると判断してTKCを選定しました。

システム共同化へ 全市町村の参画が最大の使命

中村智郎 係長

中村智郎 係長

──実際にTKCシステムに移行してみていかがでしょうか。

中村 2団体では、17年度予算編成業務から利用をスタートしました。新しいシステムへの移行では、多少のクレームは覚悟していたのですが、そのような声は上がっていません。
 操作方法などの問い合わせはありますが、皆さん積極的に新しいシステムに慣れようと前向きですね。TKCの担当者も頑張ってサポートしてくれるので、われわれとしてはこんなに平穏でいいのかなと思うくらいです(笑)。

──今後の共同化の計画についてお聞かせください。

倉石 システムの更新時期などの理由で現時点では2団体でのスモールスタートにとどまっていますが、当組合の使命は77市町村全てで共同利用していただくことです。現に、今年に入って数団体からシステム移行について問い合わせを受けているところです。

中村 そうですね。統一的な基準では、原則、今年中に16年度の財務諸表等を作成し公表することとなっています。期末一括方式を採用した多くの市町村では、18年にも引き続き大変な事務負担を経験することになります。そのため、今年の秋から向こう1年間、システムの共同化について問い合わせが増えると見込まれます。
 また、日々仕訳を採用した長和町と生坂村に講師を依頼し、新公会計制度への取り組みの研修を検討しています。日々仕訳方式への移行を検討する市町村にとって大変参考になるでしょう。このような地道な活動が利用団体数を増やす結果につながると思います。ぜひ、TKCも協力してください。

──今後、当社に期待することは何ですか?

倉石 先行した2団体で財務書類を活用し、財務状況などの分析に役立てることに力点が移ります。その支援を期待しています。また、共同化検討会の構成団体はどこも少子高齢や人口減少などの課題を抱えています。このような中で公共施設や住民サービスのあり方を検討していくためにも、日々仕訳、発生主義で、財務諸類を一層活用していけるのではないかと期待しています。
 また昨年、「ワンストップ・カードプロジェクト」が公表されました。このような動きを見据え、住民サービス向けの共同化にも積極的に取り組んでいく予定です。これからも情報提供などに期待しています。

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